子どもに「塾をやめたい」と言われたら?│中学受験塾のトリセツ#34
中学受験塾は子どもにとって、精神的にも身体的にも負担が大きいもの。
通っている途中に「塾をやめたい」と言い出すのはめずらしいことではありません。
もし言われたときは結論を早まらず、じっくりと原因を探ってみてください。
困りごとの中心が塾なのか勉強なのかそれ以外なのかで、どうすべきかも変わってきます。
今回は子どもに「塾をやめたい」と言われたらどうするかについてお話しします。
まずは原因を探そう
子どもが「塾をやめたい」と言い出したら、まずは原因を探るためじっくり話してみてください。
「塾をやめたい」と口にする理由はさまざまです。
塾をやめなくても解決できることも、塾をやめたいという思い自体が一過性ですぐ収まることもあるでしょう。
子どもが一時的に気持ちが乗らないというときに、「やめたい」と極端な発言をすることは少なくありません。
ほかには、通い始めたばかりの時期も、新しい環境になじめず「やめたい」という発言が出てきやすいです。
こういったケースは、慣れてくると塾が楽しくなってくることも多いので、励ましながら通い続けさせた方が本人のためかもしれませんね。
原因と深刻度を探るため、焦らずゆっくり話を聞いてあげてください。
親が取るべき行動は、子どもが「塾をやめたい」と言った原因によって変わってきます。
そこで「よくある4つの原因」を挙げながら、それぞれへの対応策を考えてみましょう。
原因1.勉強が難しすぎる
塾をやめたい原因が勉強の難しさにある場合は、まず家庭学習の見直しをしてみましょう。
予習が推奨されている塾では、予習をしっかりすることで授業についていきやすくなります。
多くの小学校では予習を必要としないため、子どもに予習の習慣をつけることがまず難しいんですよね。
初めのうちは、保護者さんが「次の授業では何を勉強するのかな?」とお子さんに声をかけ、親子で一緒にテキストを開くことからはじめてみましょう。実際に問題を解かなくても、テキストの文章にあらかじめ目を通しておくだけで、次回の授業内容がより吸収できるでしょう。
ただ、まるで初見の単元を、子どもが一人で読み進めるのはとても苦痛なこと。わからない言葉や公式が出てきたら親御さんが教えてあげられるような環境にしておくといいですね。
また、予習だけでなく復習にも効果があります。とくに連続して同じ単元を勉強するとき、しっかり復習しておけば、次回の授業の理解度に大きく影響します。算数であれば「比」や「割合」「図形」などの単元がそれにあたります。
社会の歴史分野も、前回の内容を理解していたほうがずっとわかりやすいですよね。
単元が独立している科目も、復習の小テストがある場合は、そこで点数を取っていくことで自信に繋がります。
もし、あまりにも塾についていけていない場合は、転塾を考えても良いと思います。
子どものレベルや勉強スタイルに合う塾なら、のびのびと勉強できるようになるかもしれません。
一つの選択肢として考えてみてくださいね。
原因2.勉強したくない
勉強が難しいのではなく、そもそも勉強をしたくないというときは、中学受験自体の見直しが必要です。
とくに低学年から塾へ入った場合、4年生以降の受験モードに心がついていかないことはめずらしくありません。
「楽しい授業は好きだけど受験前提の勉強はしたくない」というケースでは、中学受験塾そのものが苦しい場所になってしまいます。
まずは本当に中学受験をするかどうか、そのための勉強ができそうかどうかの確認からしてみましょう。
受験はしたいけど大変な勉強はしたくないということもあるでしょうし、受験自体に前向きでなくなっている可能性もあります。
したくないことを無理にさせるのは親子ともにつらいので、ここで中学受験をやめるという選択肢もとれます。
しかし、このケースでは、子どもの気持ちが一時的なものである可能性も大いにあるため、結論は焦らないのがベターかも。
頭と気持ちを冷やすため、日を開けて再度話し合いの場を設けてみるというのもひとつの手です。
このとき、「後で」という抽象的な言い回しではなく、具体的な日にちを決めておくのがポイントです。
「やめたい」という言葉を一旦受け止め、期日までは勉強をしやすい環境づくりやモチベーションを上げる声掛けなどを意識してみましょう。
ちなみに我が家は、娘が4年生のときに「勉強が大変だから今年で塾をやめる」と言っていたのですが、通っているうちにやる気が出たようで、今では「絶対受験する!」に変わりました。
いつの間にか本人の中で中学受験をすることが決まっていて、親の私が戸惑ってしまったくらいです。
子どもの気持ちって難しいですね。
原因3.先生や友人が苦手
塾をやめたい理由が先生や友人にある場合は、まず塾に相談してほしいと思います。
小学生が集まる塾では、生徒同士のトラブルが少なくありません。
本来は塾側が気づかなければならないのですが、残念ながら、保護者から指摘されて、はじめて気づくこともあります。指摘されてトラブルに気づけば、塾側でもいくつか対応をとることができます。
たとえば、生徒間のトラブルがある場合、それが授業中の話であれば、先生からの注意や席の変更などで対応してもらえる可能性があります。
もしトラブルが塾からの帰り道で起こっている場合は、親が送迎することで状況が変わるかもしれませんね。
怒る声が怖い、嫌な言葉を使ってくるなど、先生の言動が原因なら、それは完全に塾側の落ち度です。
塾に話すことで解決する可能性は高いでしょう。
塾に話すのはクレームのように思えてためらわれるかもしれませんが、塾としても言われることで動きやすくなることもあります。
というのも、教室は密室で他の先生が入ることもほとんどないため、ある程度は担当する先生の裁量に任せざるを得ない面があるのです。
保護者からの連絡があれば、塾長や室長、校舎長(塾によって肩書はいろいろですが、塾内の状況に責任を負う立場の人)はそれをきっかけに問題点を認識し、改めていけます。
塾としても、生徒にやめられてしまうよりは、塾の状況を改善して生徒に残ってもらいたいはずなので、相談を遠慮する必要はありません。
原因4.塾以外にやりたいことがある
塾が嫌なのではなく、他にやりたいことがあるから「やめたい」と言うこともあります。
「学校で友達から聞いて塾以外の何かをやってみたくなった」というのは、小学生にはありがちな現象かも。
我が子も、突然「ダンスやってみたい」と言い出した時期がありました。
「どんなダンスがしたいのか調べておいで」と言ってそのまま流れたのですが、本当に急でしたしやる気に満ちあふれているしで、おどろいたことを覚えています。
こんな時、子どもが「習い事はひとつだけ」と思っていると、ならば塾をやめなければという思考になってしまいます。
このケースでは塾をやめたいわけではないため、話し合ってより良い着地点を探りたいものですね。
6年生になると他の習い事との両立はなかなか難しいですが、4年生までならできなくはありません。
「できれば中学受験に集中してほしい」と親は思っていても、子どもにそのまま伝えてしまうと反発を招くリスクがあるので、まずは体験会を提案してみるのもアリです。
一度体験すると満足して毎週通わなくても良いと感じたり、趣味のひとつとして時間に余裕があるときに楽しんだりできるかもしれませんしね。
体験の結果「通いたい」となったときは、ゆるく楽しめるようなら両立を試してみてもいいと思います。
両立できるほど器用ではないタイプでも、週に一度楽しむ程度の習い事なら、いい気分転換になるのではないでしょうか。
子どもの「やめたい」にはいろいろな意味がある
子どもが「塾をやめたい」と言うとき、そこにはいろいろな理由が考えられます。
「やめたい」という子どもの言葉に、「塾をやめる」以外の問題解決法があることも多いのです。親が向き合うだけで、子どもはすっきりして問題なく通い続けられることもあります。
やめたいという強い言葉は一種の愚痴のようなものの場合もあるので、原因や深刻度をしっかり聞き取って対応しましょう。
結果的に塾をやめることになったとしても、親子でしっかりコミュニケーションをとったうえでのことなら、後悔したり「これでよかったのだろうか」と悩んだりすることも少ないはずです。
あわせて、勉強や塾に原因がある場合は、ぜひ塾にご相談くださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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