連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

入試本番目前! 今、受験生とその親がすべきことは?|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2019年1月20日 石渡真由美

1月10日から埼玉入試、20日から千葉入試がスタートし、いよいよ2月から首都圏の中学入試が本格化します。すでに合格を手に入れた埼玉県・千葉県の受験生のなかには、中学受験にピリオドを打った子もいるでしょう。しかし、東京都・神奈川県の受験生の本番はこれからです。本番までの期間、受験生とその親は何をすべきなのでしょうか?

1月受験の合格は謙虚に受け止め、不合格はチャンスと捉える

すでに多くの受験生は、本番前の「前受験」で、埼玉県・千葉県の入試に挑んだことと思います。近年は、1月の「前受験」でも安全校とチャレンジ校の2校を受けるのが主流です。この「前受験」で合格をひとつ取っておくと、気持ちとしては安心しますが、不合格になってしまうこともめずらしいことではありません。

というのも、地元の埼玉県・千葉県以外に、東京都・神奈川県からたくさんの受験生が押し寄せてくるために、受験者数が5000人を越える学校もあるからです。不合格はつらいですが、「今ここで弱点に気づけてよかった」とプラスに捉え、本番へ気持ちを向けていきましょう。

長年、中学受験生を見てきて思うのは、「子どもは案外メンタルが強い」ということ。不合格だった場合、もちろん合格発表当日は落ち込んだり、泣いたりもしますが、その晩に好物のハンバーグを作ってあげたり、「大丈夫よ、本番はこれからなのだから!」と親御さんが明るく励ましてあげたりするだけで、「そうだよな。僕の行きたい学校の入試はこれからだもん!」とすぐに気持ちを切り替えることができます。ですから、保護者のみなさんがそれほど心配することはありません。

逆に気をつけてほしいのが、親御さんが必要以上に焦ったり、がっかりしたりすること。子どもは親の表情をよく見ています。親が過剰に慌てたり、落胆したりすると、子どもも「大変な事態なのかもしれない……」と動揺し、本番までの2週間、集中して勉強ができなくなってしまいます。

一方、合格を手に入れた場合は、浮かれすぎないことが肝要です。とくに、1月の「前受験」で安全校とチャレンジ校で2勝すると、「な~んだ、楽勝! 受験なんてこんなものか」と気がゆるみ、本番に向けたラストスパートで勉強がおろそかになってしまう恐れがあるからです。合格はあくまでも安心材料。本番はまだまだこれからなのだということを意識させましょう。

2月入試。早い合格で“安心”を手に入れたいなら、午後入試がおすすめ

年が明けると、おおよそのご家庭では受験校が決まるものです。しかし、1月の「前受験」の結果で、受験校を変えなければならないご家庭も出てくるでしょう。また、1月のチャレンジ校で合格を手に入れた場合は、もう少し強気の受験を検討してもいいかもしれません。

ただ、あくまでも本命は2月1日~3日に入試を実施する学校だと思いますので、そこで合格が取れるように受験校を選択する必要があります。

近年、2月1日や2日に午後入試を実施する学校が増えています。今年、私が受け持っている生徒のほとんどが午後入試を希望しています。そのくらい、今は午後入試を受けるのが主流です。いつ頃から午後入試に挑む生徒が増えたのか、当塾のデータを見てみると、2009年頃から徐々に増加し、2012年には半数以上の子が受験をしていました。

首都圏の入試は2月1日から始まり、そこから3日間で決着をつけるというのが一般的です。受験日の少ない関西に比べると、連日受けられるという見方もありますが、一度入試が始まって、最初の入試でつまずいてしまうと、3日間引きずったまま、本領を発揮できず、「全落ち」になってしまう子もいます。首都圏はたくさんの私立中高一貫校があるので、4日以降でも入試を行っている学校はありますが、試験会場へ向かう親子の悲壮感ただよう姿は、見ていられないほどつらいものがあります。

そうならないためにも、できるだけ早い段階でひとつでも合格を手に入れておくことをかなり強くおすすめします。午後入試は、2月1日や2日の午前中に実施される本命校や第二志望校の入試の後、午後に「安全校(滑り止め校)」として受けるのが一般的です。

1日のうちに2校受験をするのは、小学生の子どもにとって負担がかかりすぎるのでは? と心配する親御さんは少なくありません。しかし、私の塾生から話を聞くと、「それほど大変なことではない」そうです。むしろ、「忙しいのでいろいろ考えないですむし、夜はぐっすり眠れた」という子もいました。

また、午後入試を実施する学校側も受験生の負担を配慮して、入試科目を1教科や2教科にしたり、試験開始までの時間を長く設けたりしています。前の入試の影響で遅刻してしまった場合でも、到着した時間から受けられる学校もあります。

2月1日午後入試のよいところは、早い段階で合格を手に入れることで、その後の入試を思い切って受けられることです。ですから、安全校を受験することが必須です。

とはいえ、最終的にその安全校しか受からず、そこへ進学する可能性もゼロではありません。ですから、安全校だからと適当に選ばず、わが子が通うことになるかもしれない学校と頭に入れ、受験校選びをしましょう。

直前期の勉強は上乗せをしないで、子どもに自信を持たせることが最優先

では、本番までの残りの限られた期間、勉強はどのように進めていけばよいのでしょうか?

直前期は子どものできないことばかり気にかかり、あれもこれもとやらせたくなるものです。しかし、ここで何か新しいドリルを与えたり、苦手単元をイチから復習したりしても、時間ばかりかかって効果は薄いです。それよりも、過去問の間違えたところを確認したり、今まで勉強してきたことのまとめを振り返ったりするほうがいいでしょう。

また、できていないところをできるようにするのではなく、できているところを確認することも大切です。そうやって、子どもに自信を持たせてあげることが大事です。直前期は、負荷をかけるのではなく、子どもの体調とメンタルを整えることが最優先。それには、十分な睡眠も必要です。

さらに、この時期は風邪やインフルエンザにかかりやすい時でもあります。受験で学校を休むことに対しては賛否両論ありますが、私はこれまで3年間頑張ってきたのだから、最後の1週間くらいは万全の体調で挑むために、思い切って学校を休んでもいいと思っています。

どうか悔いのない受験をしてください。春はもうすぐそこまで来ています。


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※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。