連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

親子で納得できる志望校を選ぶには ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2019年7月22日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

前回は、「学力を伸ばすための『原動力』」について解説しました。今回は、親子で納得できる志望校を選ぶためのポイントについて亀山先生に伺います。

志望校は焦らずじっくり考える

志望校選びは二の次で、まず中学受験勉強を始めるご家庭があります。そういったご家庭は、志望校を決めていないことに不安を覚えるのか、「志望校はいつまでに決めればいいでしょうか?」という質問をよくされます。

私の塾は中堅校を目指す塾生を専門にしていることもあり、こうした質問に対しては、「出願の締切りギリギリまで考えて大丈夫ですよ」と答えています(※)。親子で納得のいく志望校を選ぶのに、焦りは禁物です。中高6年間を過ごす学校を、急いで決める必要はありません。

ちなみに大手の塾で難関校を目指している場合は、6年生の夏前に志望校を決めるのが一般的です。夏期講習で志望校別の対策授業が始まるからですね。

本格的に志望校の情報を集めるのは5年生から

「志望校をはやく決めたい」という場合は、4年生から志望校を考え始めて大丈夫です。気になる学校のパンフレットを集めて、学校見学に行ってみるのも良いでしょう。

5年生は、本格的に志望校を考え始める時期です。志望校になる可能性がある学校を大まかにリストアップし、分類していきましょう。「こんな学校もいいな」「この地域の学校にはこういう特色があるんだな」というように、より多くの情報を集められると良いですね。

6年生になったら、受験を考えている学校や興味のある学校に親子で足を運んで、中高6年間でどんな学校生活を過ごすのかをイメージしてみます。徐々に志望校を絞り込んでいきましょう。

親子で納得できる志望校の選び方

では、志望校の選び方について具体的に説明していきます。

合同受験相談会に足を運ぶ

首都圏には私立の中高一貫校が300校近くあります。そのため、「子どもにぴったりの学校を探し出すのは大変」と悩む親御さんは多いものです。

志望校選びで悩む親御さんには、まず「合同の受験相談会」に足を運ぶことをおすすめしています。多くの中学校が一堂に会する合同受験相談会に参加すると、気になる学校のブースで個々に話を聞くことができます。開催時期は春先から10月くらいまでが多いですね。

ただ、規模が大きい受験相談会だと、一度に200校近い学校が参加します。これだけの数の学校が集まると、1校ずつじっくりと話を聞くのは難しく、パンフレット集めだけでもひと苦労です。

そんなときは、塾の助けを借りるのもひとつの手です。受験相談会に行くまえに会場図をプリントして、「このなかでウチの子が対象になりそうな学校はどこでしょうか?」と塾に聞いてみましょう。

実際に受験相談会に足を運び、パンフレットを集められたら、次は気になる学校を絞り込みます。「興味が湧いてきた学校」と、「ちょっと違うかな」という学校に分けて、「興味が湧いてきた学校」のオープンスクール、学校説明会の日程を調べておきましょう。

学校見学では、子どもの素直な思いに耳を傾ける

パンフレットやホームページを見て学校を絞りこんだら、いよいよ親子で学校見学です。意外かもしれませんが、学校の門の前に立ったときに「ここに行きたい!」と子どもが思えたら、その学校見学はすでに”成功”といえます。

学校との相性は、何回も足を運んだからといって良くなるものではないんですね。校舎の前に立ったときの「行きたい!」という直観にも似た気持ちは侮れません。その後の勉強のモチベーションにもつながります。学校見学では、まず子どもの素直な思いにしっかりと耳を傾けることから始めましょう。

次に大切なのは、見学した学校に感じた親の気持ちです。たとえば、「管理的な教育の傾向が強いから、ウチの子にあわないかもしれない」「学校の先生と相性が悪いかも」といった印象を持つこともあるでしょう。こうした親の直観は、意外と的を射ているものです。

しかし、見学して「うちの子に向いていないかも」と思った学校があったとしても、「この学校はダメ」と選択肢からすぐ除外してしまうのはやめましょう。学校に対する印象はあとから変わることがあります。一旦保留にしておくことがおすすめです。

偏差値だけで学校を選ばない

6年生の夏くらいまでは、学校選びに「偏差値」を持ち込まないようにしたいですね。「この学校いいなぁ。だけど偏差値が高いから無理だ……」と諦めてしまうのは、とてももったいないことだからです。

前回お伝えしたように、気になる学校の偏差値が高くても、「この学校に行きたい!」という思いが強ければ、子どもは周りが驚くような成長を見せることがあります。

偏差値は参考程度にとどめ、まずは「子どもにぴったりの学校はどこか」という視点を第一に学校を選んでほしいと思います。

学校選びで悩んだら……、「子どもの気持ち」に立ち返る

学校見学を重ねても、その学校の全てがわかるとは限りません。親としては「本当にこの学校でいいのか……」と不安に駆られることもあるでしょう。そういうときは、この質問に答えてみてください。

「その学校に6年間通う子どもが、毎日ニコニコ過ごしているのを想像できますか?」

悩んだら、原点に立ち返ってほしいと思います。それは、「子どもの気持ち」です。当然ながら学校は親ではなく子どもが通うところです。1週間のうち5~6日は過ごす場所ですから、子どもには楽しい時間を過ごしてほしいですよね。

一方で、学校選びに親の視点がまったく入らないのもよくありません。親子で納得のいく学校に進めるように、お互いの気持ちを尊重した志望校選びができると良いですね。

次回は「低学年の子の夏休みの過ごし方」ついてお話しします。


これまでの記事はこちら『親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合理事、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。著書「ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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