連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

【4・5年生】最初が肝心! 新学年で好スタートを切るには|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2019年12月26日 石渡真由美

もうすぐ6年生は入試本番を迎えます。受験生にとって最も大事なラストスパートの時期ですが、実はこの時期は現4・5年生にとっても大事なのです。

塾での勉強は学年が上がるごとにハードになる

一般的に中学受験の勉強は、塾のカリキュラムがスタートする3年生(新4年生)の2月から6年生の入試本番まで、3年間かけて進めていきます。塾のカリキュラムは学年が上がるごとに授業時間が増え、学習する内容も難しくなっていきます。小学校では4月に学年が上がりますが、塾では2月が新学年のカリキュラムのはじまりです。塾の授業は学校よりも進度が早いため、勉強についていけなくなってしまうことがあります。しかし、あらかじめ心構えができていれば、過度に心配しなくても大丈夫です。では、どのような準備をしておけばいいのでしょうか。

算数は計算力を重視。ミスをしない訓練を続ける

中学受験において算数は重要科目です。特にどんな問題を解くうえでも必要とされる“計算力”は着実に身につけておきたいものです。現4年生なら小数、分数の計算や四則計算がスラスラと解けるようにしておきましょう。ここで時間がかかってしまうと、5年生から習う「割合」「速さ」などの重要単元でつまずきやすくなります。冬休みは塾の冬期講習がありますが、講習の勉強のほかに計算ドリルをしっかりやっておくことをおすすめします。計算力を鍛えておく必要があるのは現5年生も同様です。

多くの塾では中学受験で特に重要な算数の範囲を5年生でほぼ学習し終えます。そのため5年生の授業は本当に重要です。解法がわかっていても、計算ミスをしてしまうと得点にはなりませんし、計算に時間がかかりすぎると、解いている途中で解法そのものを忘れてしまうこともあります。

計算に時間がかかってしまうのを避けるために、簡単な2桁×2桁の計算や平方数の計算、3.14の計算は暗記してしまうといいでしょう(詳しくはこちらの記事『「脱筆算」で計算ミスをなくす』をご参考ください)。「たかが計算」と侮るなかれ。入試では相当難しい計算問題が出題されます。

中学入試 計算問題の一例

※吉祥女子中HP 過去の入試問題 より/2019年度 第1回 入学試験問題 算数 大問1(2)

国語力は家庭で育む。1学年上のレベルの語彙力を

算数同様に重要科目となるのが国語です。国語は「日本語だからいずれ何とかなる」と楽観視されがちですが、中学受験で求められる国語力は「いずれ何とかなる」レベルのものではありません。

国語力を伸ばすのに欠かせないのが語彙力です。新しい言葉を覚えるときは、まず耳から覚えます。子どもたちが言葉を吸収できる環境は学校、塾、そして家庭です。学校と塾で十分な語彙力を身につけられれば理想的ですが、ほかの科目学習もあり、なかなかそう上手くいかないのが実情でしょう。そうなると、家庭の時間をどうしても軽視できません。つまり、子どもの語彙力は家庭の会話(過ごし方)で身につくものが随分違ってくるということです。

国語をなんとかしたいのであれば、まず親御さん自身が変わらなければなりません。塾のテキストの問題を一緒に解いてみると、どのくらいのレベルの語彙力が求められているかがわかります。中学受験に必要な語彙力の目安は、1学年上のレベルの語彙力です。4年生なら5年生レベル、5年生なら6年生レベル、6年生なら中1レベルの語彙力を身につけましょう。難関中学を受験するのであれば、さらに上の学年の語彙力が必要になります。

語彙の習得にドリルなどを使うのもよいのですが、できるなら家庭で会話のレベルを上げていきましょう。ニュースを見るときに親子で考え、話し合ったり、会話の中にさりげなくことわざや四字熟語を入れてみたりするといいですね。

新学年の準備は冬休みから徐々に進めておく

社会は現4年生であれば、今のうちに都道府県の位置と県庁所在地を完璧に覚えておきましょう。地理の学習は5年生の1学期まで続きます。5年生の2学期からは歴史を習いますが、例えば「薩摩藩」「長州藩」といった言葉が出てきたときに、今のどの県を指すのか、関連づけて覚えられるようにしておけるのが理想的です。このように地理と歴史は切り離さず、つながりを意識して覚えてくと記憶に残りやすくなります。

現5年生は6年生の1学期まで歴史、公民と新しい単元が続きます。そのためたとえ「地理が苦手だ。模試でも出題されるし、覚え直さなければ」といっても、今の時期に地理の振り返り時間を確保するのは難しいでしょう。入試では歴史からの出題ウエイトが高いので、まずは目の前の単元に集中して暗記を進めましょう。

理科は単元間の連関が薄い特徴があります。たとえば現在「植物」を習っていて、来週から「力のつり合い」を習うとします。この場合、「植物」があまりよく理解できなかったとしても、次の週に習う「力のつり合い」には影響がありません。ですので、今の時期から「新学年に向け、アレもコレもしなければ」と焦る必要はありません。優先順位としては低めに捉えていいでしょう。

今の時期に優先すべきものは、算数なら計算力、国語なら語彙力を鍛えることです。そしてもうひとつ大事なことがあります。それは勉強の体力をつけておくことです。中学受験塾は学年が上がるごとに授業時間と通塾日が増えます。要するに勉強量が大きく増えるということです。

2月になって勉強量が増え、「宿題が終わらない!」と慌てることがないように、冬休みの今のうちから徐々に家庭学習の時間を増やしていくようにしましょう。新学年の授業がスタートするまで、あと1カ月ほどあります。その間に少しずつ勉強に向かう体力をつけておき、ペースがつかめるようにしておくのです。何事にも始めが肝心です。新学年で好スタートが切れるように、今から準備をしておきましょう。


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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