2020年度中学入試 時事問題はコレをチェック!|今一度立ち止まって中学受験を考える
入試直前期に押さえておきたいのが、社会・理科の時事問題です。今年は国内、海外でどんな出来事があったのでしょうか? 2020年度入試に出そうな内容を予測します。
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【ラグビーワールドカップ】出場国はどこにある? 今何が話題?
今年、日本中を熱狂させたものといえば、ラグビーのワールドカップではないでしょうか? これまでラグビーはどちらかといえばマイナーなスポーツでしたが、今年は「ワールドカップを観ているうちにハマってしまった」という人も多いでしょう。毎年話題になる「新語・流行語大賞」でも、ラグビー日本代表のスローガンとなった「ONE TEAM」が年間大賞に選ばれました。それだけ国民の関心が高かったといえますね。
中学入試の時事問題にも登場することが予測されます。例えば、ラグビーワールドカップ出場国が世界地図上のどこにあるかといった問題や、決勝戦に残った南アフリカとイングランドについての問題が出るかもしれません。
優勝国の南アフリカはかつて「アパルトヘイト」という人種差別政策をおこなっていました。アパルトヘイトというワードは、ラグビーワールドカップがおこなわれる以前より、中学入試では頻出です。準優勝のイングランドは、今年話題になったEU離脱問題について問われるかもしれません。さらに発展してEUについて聞かれることもあるでしょう。そもそもイングランドやスコットランドは、イギリスと何が違うのかについても出題される可能性もあります。時事問題は今年あった出来事そのものについて答えるだけでなく、それに関する周辺の知識も必要になります。今の時期になると、2020年度入試の時事問題に特化した問題集が書店に並びますので、どれか1冊を使って学習を進めていくといいでしょう。
【参議院選挙】選挙制度をきちんと説明できる?
もうひとつ押さえておきたいのが、今年7月に行われた参議院議員選挙です。今年7月の参議院議員選挙では、比例区で2席、埼玉選挙区で1席の3席増えて選挙前の242議席から245議席となりました。参議院議員選挙は3年に一度実施されます。次の2022年参議院議員選挙でさらに3席増えて、最終的に定数は6席増の248になります。
中学入試では選挙があった年に、多くの学校で選挙制度に関する問題が出されます。衆議院議員と参議院議員の人数といった基本的な問題から、参議院議員選挙と衆議院議員選挙の投票用紙の書き方の違いといったかなり細かいことを突いてくる学校もあります。
参議院議員選挙は、選挙区選挙と比例代表選挙からなります。選挙区選挙は原則、都道府県の区域で行われ、有権者は当選させたい候補者名を記載して投票します。一方、比例代表選挙は全国を単位に行われ、有権者は当選させたい候補者名、または政党名のいずれかを記載して投票します。一方衆議院議員選挙における比例代表制では、有権者は政党名のみを記載します。かなり細かいと思われる方もいらっしゃるでしょうが、選挙の経験がない小学生にも、選挙で必要な知識を求めるのが今の中学入試なのです。
【新元号「令和」】元号に関する出題は可能性大!
2019年は、元号が「平成」から「令和」に変わりました。令和に関してはその出典が万葉集にあることなどは話題にもなりましたし、一時的に万葉集に関する書物が売れたことも話題となりましたよね。しかしそれ以外にもふたつ、元号に関する出題が考えられます。
まずひとつは「平成時代」の総まとめ問題です。すなわち平成元年から平成31年までのさまざまな出来事が総合問題として出題される可能性があるのです。たとえば今年は消費税率が8%から10%に引き上げになりましたが、初めて消費税(3%)が導入されたのは平成元年でした。その後平成9年には5%に、平成26年には8%に引き上げられました。
また今年、「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されましたが、実はこれまで登録された日本の世界遺産はすべて平成時代に登録されているのです。日本初の世界遺産は、平成5年に登録された法隆寺・姫路城・屋久島・白神山地の4ヶ所です。現在日本では23の世界遺産(文化遺産19、自然遺産4)が登録されていますが、それらに関して位置と名称は確認しておきましょう。
元号に関してはほかの出題形式も考えられます。皆さんは日本の最初の元号をご存じですか? あの有名な「大化の改新」の「大化」なんですね。「大化」から始貞永式目まって「令和」まで実に248(偶然にも参議院議員の定数と同じ数字ですね!)もの元号がありますが、6分の1くらいは、中学受験に出てくる出来事と関連があります。「大宝律令」「天平文化」「延暦寺」「承平・天慶の乱」「貞永式目」「建武の新政」「正長の土一揆」「文禄・慶長の役」「享保の改革」など枚挙にいとまがないほど出てきますので、入試までにぜひ調べておきましょう。
【台風15号・19号】台風15号はなぜ千葉県に大きな被害が出たのか?
時事問題は社会入試だけではなく、理科入試でも登場します。今年最も話題になった自然災害といえば、台風15号と19号でしょう。台風15号では、千葉県で大きな被害が出ました。皆さんはお子さんから「なぜ千葉県に大きな被害が出たの?」と聞かれて説明できますか? それには台風のメカニズムを知っておく必要があります。
台風は巨大な空気の渦巻きになっていて、地上付近では半時計回りに強い風が吹き込んできます。そのため、進行方向に向かって右側の半円では、台風自身の風と台風を移動させるまわりの風が同じ方向へ動くため風が強くなります。台風15号で千葉県が甚大な被害に見舞われたのは、台風がちょうど東京湾に入り込む形で進んできたため、その進行方向の右側に千葉が位置していたからです。台風のメカニズムなども復習しておいてください。
また台風19号では、関東甲信越や東北の広範囲で、「千曲川」など多くの河川で氾濫が起こりましたね。これは理科ではなく地理の範囲となりますが、日本で一番長い河川である信濃川の長野県部分を千曲川と呼んでいます。被害にあった地域の場所や河川名を答えさせる問題が出ることも予測されます。
台風大型化の原因として挙げられるのが、地球温暖化です。地球温暖化といえば、今年は9月にニューヨークで開催された「温暖化対策サミット」でスピーチをしたスウェーデンの少女、グレタ・トゥーンベリさんの熱弁が話題になりましたね。同じ10代の若者の発言に対し、「あなたはどう思うか?」といった自由記述問題を出す学校もあるかもしれません。
時事問題は大問の一つとして出題されます。さまざまな分野のなかから入試問題を作るには、作問者としてはその年にあった出来事に関する分野の問題は作りやすく、そのため難易度にかかわらず多くの学校で取り上げられる傾向があります。直前期の今、あれもこれもと覚える時間はないと思いますので、ある程度予測をして取り組むことをおすすめします。
そしてこれは小学5年生以下の皆さんにも関係がある話ですが、各学校が時事問題を出す理由のひとつには、「受験のための勉強だけに気を取られるのではなく、日頃から世の中に関心を持って欲しい」という思いがあります。こうした興味・関心はある日突然生まれるものではなく、小さい時からの親の関わりなど家庭で育まれていくものだということをぜひ知ってほしいと思います。
これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える』
※記事の内容は執筆時点のものです
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