【理科】大学入試改革を見据えて10歳前後にやっておきたいこと |本物の力を育てる「合格する子どもの伸ばし方」
東京都世田谷区の東京都市大学付属中学校は、近年、大幅に偏差値が上がった学校として知られています。
この学校の魅力のひとつに「科学実験」の授業があります。週に1回、教室での理科の授業とは別に行われ、中学3年間で60ものテーマを扱います。
しかも授業はクラスを分けて、20人前後の少人数制で、全員が実験器具に触れながら参加できます。そして、実験後は記述式のレポートの提出が必須で、個別添削指導が毎回受けられるというのです。
大幅に偏差値が上がった学校といえば、港区の広尾学園中学校も外せません。
医進・サイエンスコースの入試で早稲田・慶應普通部・都立小石川中学校より偏差値が高く、駒場東邦・武蔵・雙葉中学校といった名門校と並んでいます(2017年日能研全国公開模試)。研究室レベルの最新設備を備えた環境で、中学・高校の授業の枠にとらわれない実験を体験することが魅力のひとつでしょう。
暗記より実験することが、大きく伸びる鍵になる
中学受験で急速に人気を高めている学校は、時代を先取りしています。
小学生の間でも、理想としては、実験教室や科学館などで、本物の実験器具に直に触れさせることをおすすめします。ただ紙で勉強するのと、実物に触れて操作した経験とでは、記憶の残り方も違うものです。
実験教室に通う時間がなくても、家庭で代用できる経験は多々あります。
たとえば、ビーカーに水を入れて加熱していく実験では、沸騰する前に、水の中に気体が見えてきます。その正体が空気なのか水蒸気なのかを問う問題がよくテストで出されるのですが、これはお蕎麦などを鍋でゆでる際に、鍋でお湯を沸かす過程を観察すれば、まったく同じ現象を見ることができます。
ビーカーにおが屑を入れて、温められた水が対流している様子を観察する実験も、ゆでられた蕎麦がお鍋の中でクルクルと回る現象とまったく同じです。
台所でお手伝いをする時間も、十分実験教室になるのです。
でも、言われればわかるけれど、そういうものはなかなか思いつきませんよね。そんなときには「家庭でできる理科実験」と検索すればいろいろ出てきますし、学習研究社の『小学生の100円ショップ大実験』がおすすめです。自由研究にも使えますし、そうでなくても、低学年のうちに自宅で楽しんで学ぶことができます。
大学入試でも「実験」での体験がプラスになる
実験は、大学入試改革にも活きてきます。
大学入学共通テストの試行試験(プレテスト)を踏まえて、大手予備校が教科別の分析を公開していますので、ここでは代々木ゼミナールから引用します。
【物理:日常生活と関連した設問が増え、数値計算の割合が格段に増した。実験手順の把握、実験データの解析やグラフの書き方など実験を主体とする設問が増えた。数値計算、実験データの解析など、解答に時間を要する。リード文が会話文となり、その中から内容を解釈し、情報を引き出させる設問が見られた】
【化学:単純な知識問題はほとんどなくなった。教科書で見かけないようなグラフを読み取る問題や、目盛りの数値の振り方も受験生自身が考え、グラフを作成して考察する問題が出題された。大問1題すべてを用いて、1つの実験に関する問題が出題された。とくに実験に関する問題が大幅に増加した】
明らかに実験の重要性が増しています。単語の暗記では、もう太刀打ちできません。その流れは中学入試でもすでに表れています。実験を素材にした問題や作図問題が、難関校だけでなく、全体的に増えているのです。とくに自分でグラフを書かせる問題が多くなっているのは、中高の先生がトレンドを察知しているからでしょう。
理科はなかなか親が手伝えない教科と思われているかもしれませんが、家庭でできることもありますし、プラネタリウムや、昆虫の展示会に連れて行ってみましょう。
イラスト hashigo(silas consulting)
※記事の内容は執筆時点のものです
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