早期教育よりも、発達段階に合わせた学習を意識する|今一度立ち止まって中学受験を考える
近ごろ、低学年のうちから塾に入れる家庭が増えています。しかし、「急ぎすぎ」は禁物です。なぜなら子どもには成長の発達段階があり、早すぎる塾通いはタイミングが悪いというケースもあるからです。
子どもの発達段階4つのステップ
今の中学受験は昔と比べて学習量が増えています。また、年々内容も難しくなっています。高度な内容を多く学ばなければならないのですから、「早いうちから始めた方が有利では?」と考えたくなる気持ちは理解できます。しかし、私は過度な早期教育には反対です。なぜなら子どもには成長の発達段階があり、適切なタイミングで勉強をしなければ、効果が薄いからです。
スイスの心理学者ジャン・ピアジェは、子どもは次の4つの段階を経て発達していくという説を唱えています。
①感覚運動期(0~2歳ごろ)
脳に入った刺激に単純に反応する。
②前操作期(2~7歳ごろ)
ごっこ遊びなどをするようになる。
③具体的操作期(7~11歳ごろ)
数や量の概念が確立し、具体的な事物に対する思考が可能となる。
④形式的操作期(11歳以降)
形式的・抽象的な思考が可能となる。
この発達段階には個人差がある点が重要です。
これはかつての私の教え子の話です。算数に苦手意識を持っている女の子がいました。その子は、小学4年生で習う和差算が苦手でした。和差算の解法に「線分図」というものがあるのですが、形式的・抽象的な思考が必要になるため、発達段階が「形式的操作期」に入るまで、理解するのに苦労します。その子もそうでした。4年生以来、自分は算数が苦手だと思い込んでいたのです。
とじる
お気に入り機能は
会員の方のみご利用できます
会員登録のうえログインすると
お気に入り保存できるようになります。
お気に入りのコンテンツは、
マイページから確認できます