連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

中学受験におけるお父さんの役割とは|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2020年8月06日 石渡真由美

中学受験といえば、これまではお母さんと子どもの二人三脚というイメージがありました。ところが近ごろは「子どもの受験に関わりたい」というお父さんが増えています。

リモートワークで子どもの受験に関わるお父さんが増えている

新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増えている今、家族が一緒に過ごす時間も増加しています。すると、今までは受験にノータッチだったお父さんが、子どもの勉強をチェックするようになります。そして、「ダラダラしないで、ちゃんと勉強しろ!」「なんでこの問題がわからないんだ?」などと、小言を言ってしまうのです。しかし、それでは子どもはやる気をなくすだけです。お父さんが関わることで、かえってマイナスになってしまいます。

そうならないためには夫婦である程度、役割分担をしておくとよいと思います。私は中学受験でお父さんの持ち味を発揮できるは、「学習フォロー」と「学校選び」だと考えています。中学受験の勉強は、受験算数など特殊なものも多いので、親が手とり足取りで勉強を教える必要はありません。しかし、お子さんが宿題で困っているときなどは、一緒に考えたり、ヒントを出してあげたりして、学習に寄り添ってあげるとよいでしょう。ただし、その時に冒頭のような子どもを責める言葉を投げるのは禁物です。

中途半端に関わるなら、お母さんに任せた方がいい

もうひとつ気をつけて欲しいことがあります。それは「子どもの中学受験に関わる」と、ひとたび決めたら、きちんと関わってあげていただきたいのです。お父さんにとって、仕事が最優先なのは理解できますが、自分の時間がある時は面倒をみて、忙しくなるとまったく見なくなるようでは、子どもは落ち着きません。気まぐれや、自分の時間があいた時だけ首を突っ込むくらいなら、中学受験に関してはお母さんに一任した方がよいと思います。

もし子どもの勉強に関わるのであれば、見てあげる時間を決めておいた方がいいでしょう。たとえば「朝6時に起きて、1時間ほどは算数と理科をチェックする」といったように予定を立てておくのです。夜だと仕事が終わらず帰りが遅くなってしまうなど、予定を立てにくいと思いますから、お父さんの担当は朝学習にするのをおすすめします。

日々の仕事が忙しくて、子どもの勉強を見てあげられないという場合は、宿題でわからなかった問題を週末にチェックするというのもいいでしょう。そうやって、無理なく、しかし確実に見てあげられる時間を作っておくのです。

中学受験における夫婦の役割

中学受験で、学校選びはとても重要です。今年は新型コロナウイルスの影響で、例年春から夏に実施される学校説明会は、オンラインで実施する学校が多かったようです。秋に実施される説明会はどのようなスタイルになるのか、まだハッキリとわかりませんが、学校説明会は必ず夫婦で参加してほしいと思います。私の経験上、お母さん達は学校説明会の雰囲気や、校長先生の見事なプレゼンに感化されがちです。どちらかというと、お父さんの方が実社会を知っていて、冷静に観察・判断できることが多い気がします。したがって、学校選びはお父さんも一緒に進めていく方がいいのではないかと思われます。

では、中学受験におけるお母さんの役割は何でしょうか? 私はお母さんの役割は、子どもの健康管理とメンタルフォローだと考えています。今はリモートワークで、お父さんも家にいる時間が増えていますが、それでも子どものそばにいる時間が長いのはお母さんでしょう。お母さんは、生まれた時から、子どもの世話をし、子どもの様子を敏感に感じとっています。子どもの健康・メンタル面で察知する力はお母さんのほうが勝っているのです。

このように、中学受験における夫婦の役割は異なります。小学生の子どもが挑む中学受験は、親のフォローなしでは成り立ちません。お子さんが安心して勉強できるよう、親はそれぞれの役割を意識しフォローしてあげましょう。


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。