中学受験ノウハウ 連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

偏差値はぶっちゃけ上がるの? 偏差値に関する悩み&ありがちな勘違い|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2022年4月21日 石渡真由美

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模試の結果のたびに気になってしまうのが、偏差値です。親も子も、その値を見て一喜一憂しがちですが、偏差値がどういうものなのか、今一度確認したいところです。

偏差値は、試験の平均点を基準に自分が今どの位置にいるかを知るもの

「前回の模試よりも偏差値が下がってしまった」
「前回の模試よりも点が取れたのに、偏差値が下がった」
「偏差値の推移が凸凹している……。大丈夫だろうか」

このように、子どもの模試の結果が戻って来ると、まず目が行ってしまうのが偏差値でしょう。ところが、この偏差値のことをよくわかっていらっしゃらない親御さんが少なくありません。偏差値とは、テストを受けた集団の中で、自分がどれくらいの位置にいるかを表す数値です。模擬試験の平均点を偏差値50とし、平均点からどれくらい高い(または低い)点だったかを見て、その時点の受験生のポジションを相対的に把握します。

よく「前回の模試よりも点が取れたのに、偏差値が下がってしまって……、どうしてでしょうか?」という質問を受けますが、得点が良ければ偏差値が上がるというわけではありません。

たとえば、国語のテストで80点が取れたとしても、平均点が80点であれば偏差値は50です。逆にテストで50点しか取れなくても、平均点が40点なら、偏差値は上がります。ただ、実際はそこまで極端な平均点のブレは出ません。どの模試も平均点が60点くらいになるように、基本問題と応用問題のバランスを考えて作問をしているからです。

また、偏差値はその模試を受ける母集団によって数値が変わります。中学受験では難関校を狙う子が集まるサピックス模試、上位校・中堅校をボリュームゾーンとする四谷大塚模試、中堅下位校までカバーしている首都圏模試と主に3つの模試があり、それぞれの模試の偏差値は10ポイントほど異なります。

成績層で偏差値UPの難度は異る

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宮本毅

宮本毅

  • 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。YouTubeチャンネル「アテナチャンネル」を運営。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

石渡真由美

  • この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。