中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

やる気が出る勉強計画の立て方とは? その2 ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

2022年7月06日 菊池洋匡

自ら伸びる力を育てる学習塾「伸学会」代表の菊池洋匡先生がおくる連載記事。「親子で楽しく試行錯誤することで、子供が伸びる」ということを、中学受験を目指す保護者さんにお伝えします。

こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。

今回は、「やる気が出る計画の立て方とは?その2」ということで、先月の記事(その1 )の続きを書いていこうと思います。先月の記事をまだご覧になっていなかったら、ぜひご覧ください。

前回の記事の内容をサッと簡単にお伝えすると……、やる気を出すためには「いつ」「何を」「どれくらい」やるか決めなければいけないということでした。

そして「いつ」を決めるときにありがちな失敗などについてお伝えし、「うまくいくやり方を試行錯誤してみてくださいね」とお伝えしました。

今回はその続きで、「何を」「どれくらい」やるかの決め方の話をしていこうと思います。

何をどれくらいやればいい?

「何を」「どれくらい」やるかの決め方ですが、先に結論を言ってしまうと、「ほかの人に頼んだときに、相手が迷わず依頼を実行できるレベル」で詳しく決めておくとよいです。

「何をしたらいいんだっけ?」と迷いが生じると、そこで考えるのにエネルギーが必要になってしまって、考えるのを放棄してしまいたくなります。

つまり、やる気が失われるんですね。

多くの子どもが立てる計画、親が子どもに与える計画は、抽象度が高すぎて(具体度が低くて)、何をしたらよいかがすぐに出てきません。

たとえば、「今度の公開組み分けに向けて、苦手な単元を頑張る!」のような計画です。

「……苦手な単元って、なんだっけ?」

そんな迷いが生まれた瞬間に「終了」だと思っておきましょう。

スムーズに計画を実行して目標を達成するためには、計画を立てるときにしっかりと頭を使い、実行段階では頭を使わなくても自分がやるべきことがわかるようにしておく必要があるのですね

ではどうすればやるべきことを明確にできるのでしょうか。

これからその方法をお伝えします。

やるべきことを明確にする5ステップ

やるべきことを相手が迷わず依頼を実行できるレベルにまで明確にするには、次の5つのステップを踏みます。

[1]まずは結果目標を決める

計画を実行した結果、どうなっていたいのかを最初に決めます。

具体度を高めるには、数字を使って決めるのがおすすめです。

例)次回の組み分けで4教科の偏差値を5上げる。そのために点数を40点上げる。

必要であれば、ここで結果目標を分解して、より具体性を高めてください。

例)4教科の点数を40点上げるために、算数を25点、国語を15点あげる。理社は得意だからキープでOK。

[2]結果目標を達成するための行動計画を決める

結果目標を決めたら、行動の計画です。たとえば次のような具合ですね。

●算数を25点上げる

いつも計算問題を落とすから、計算練習をする。基本の小問集合も落としがちなので、基礎的な問題を完璧になるまで練習する。

●国語を15点上げる

記述問題がなかなか点数が取れないので、記述問題を解いて先生に見てアドバイスをもらう。

[3]さらに行動計画を分解して、より具体的にする

ここでステップ2よりも、さらに行動の具体度を高めてみましょう。

●計算練習をする

「計算」をサボらずに全ページ解いて、間違えたものはもう一度やる。

●基礎的な問題を完璧になるまで練習する

「予習シリーズ」の基本問題の試験範囲のところを2周解く。合っていたものも2回目をやる。

●記述問題を解いて先生にアドバイスをもらう

「予習シリーズ」の練習問題の記述を解く。物語文のほうが苦手だから物語文を優先する。

[4]分解した行動計画ごとに「いつ」を決める

行動計画を分解して具体度を高めたら、その行動の「いつ」を決めます。

●計算練習

毎朝1ページずつやる。
開始時刻は7時。
間違えたものは夕方学校から帰ってからリトライ。

「予習シリーズ」算数基本問題を解く

毎週土曜日18時に1回分ずつやる。
毎週日曜日18時に前の週の分を1回分ずつやる。

●記述問題を解いて先生にアドバイスをもらう

毎週日曜日20時から大問を1つ解く。
月曜日の授業で先生に見せる。

[5]1週間単位、または1日単位のスケジュールに落とし込む

ステップ4まで進んだら、それを週・日単位でスケジュール化します。

今週は…、

●算数
毎朝7時に第9回の計算を1ページ解く。
土曜日は18時に第9回の基本問題を全て解いて、日曜日18時に第8回の基本問題を全て解く。

●国語
日曜日20時に第8回練習問題[2]を解く。

……と、こんな具合の5ステップで、やるべきことを明確にします。

解くことに集中させる

繰り返しになりますが、最も重要なのは脳のエネルギーを「何をするのか」を考えることにムダづかいせずに、問題を解くことにすべて注ぎ込めるようにすることです。

「これってテキストに書き込むの? ノートに解くの?」などと、余計な迷いが生まれる可能性があるならば、そこまで事前に決めてしまっても良いでしょう。

これができていないと、「せっかく計画を立てても実行できなかった……」ということになってしまうんですね。

「何をするのか考えなくても実行できるレベル=ほかの人に頼んで実行してもらえるレベル」という基準をよく理解しておくと良いと思います。

さて……、ここで「でも、これって頼む相手のレベルにもよるんじゃない?」とお考えになった方がいるかもしれませんね。とても鋭いです。

人に何かを頼むとき、相手がそれに慣れていたら、雑な指示でも何とかなりますよね。これは自分に対しても同じです。

でも、慣れというのは、文字通り習慣のたまものです。

ですから何度も反復して、それが習慣になっていけばいくほど、計画はそれほど細かく立てなくても大丈夫になっていきます。

ずっとこんな面倒くさい作業を続けなければいけないわけではないので、安心してください。

ここでお伝えしたいのは、「はじめのうちだけは、とにかく丁寧に計画を立てることを心がけてください」ということです。

どこまで細かく計画を立てる必要があるのかは、お子さんの状況を見ながら、一緒に試行錯誤してみてくださいね。

こうした「いつ」「何を」「どれくらい」やるか、しっかりした計画を立てると、目標を達成できる確率が数倍にハネ上がることはよく知られています。

ぜひうまく活用して、お子さんを成績アップに導いてあげましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

菊池洋匡
この記事の著者

中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。大学生時代にアルバイトで塾講師をはじめ、情熱を持って取り組むうちに、子供たちの成績を上げるだけでなく、勉強を楽しむ気持ちや困難を乗り越え成長していくマインドを育てる方法を確立。その後、15年の塾講師生活で生徒と保護者に「勉強には正しいやり方がある」ということを一貫して伝え続ける。著書に『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。

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