学習 連載 中学受験のツボ[国語編]

【小5国語/国語力アップ】随筆の記述 ―― 筆者の主張の見つけ方|中学受験のツボ[国語編]

専門家・プロ
2022年9月15日 松尾吉久

保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 国語編 松尾吉久先生住岡大輔先生が担当します。
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算数理科社会

こんにちは、松尾です。

今回は、中学受験の国語で高得点をとるために必要な、「書く力」についてお伝えします。「書く力」を伸ばすために重要なのは「書くべきことを明確にする」ことです。

随筆でよく出題される、筆者の主張をまとめる記述問題。これを使って、5年生のお子さんの「書く力」を伸ばすポイントについてお話ししていきます。

随筆とは

随筆とは、筆者の経験をもとに、そのときどきで感じたこと・考えたことを、形式にとらわれず自由な形で記した文章のことです。

さまざまなタイプの文章がありますが、大きくは2つに分けられます。

① 筆者自身を主人公とする、物語に近い随筆
② 筆者の意見を、論理展開を意識しながら表現する、説明文に近い随筆

①の「物語に近い随筆」では「出来事と筆者の感想」を、②の「説明文に近い随筆」では「ある事実や体験と筆者の考え」を読みとることが重要です。

そして、筆者の主張をまとめる記述問題で書くべきポイントは、次の2つです。

 ポイント1:出来事・ある事実・体験
 ポイント2:筆者の感想・考え

では、実際に問題の解き方を確認していきましょう。

問題

【本文】
随筆は誰でも書けるが小説はなかなか誰にでも書けないと、ある有名な小説家が何かに書いていたが全くその通りだと思う。随筆は何でも本当のことを書けばよいのであるが、小説は嘘を書いてそうしてさも本当らしく読ませなければならないからである。

尤(もっと)も、本当に本当のことを云うのも実はそう易(やさ)しくはないと思われるが、それでも本当に本当らしい嘘を云うことの六(むつ)かしさに比べれば何でもないと思われる。実際、嘘を云って、そうして辻褄(つじつま)の合わなくなることを完全に無くするには、ほとんど超人的な智恵の持主であることが必要と思われるからである。

真実を記述するといっても、とにかく主観的の真実を書きさえすれば少なくも一つの随筆にはなる。客観的にはどんな間違ったことを書き連ねていても、その人がそういうことを信じているという事実が読者には面白い場合があり得るからである。しかし、本来はやはり客観的の真実の何かしら多少でも目新しい一つの相を提供しなければ、随筆という読物としての存在理由は稀薄になる。そうだとすると随筆なら誰でも書けるとも限らないかもしれない。

出典:寺田寅彦「八」『雑記帳より』より

【問】
この文章で筆者が述べようとしていることは何か、80字以内で書きなさい。

考え方

ポイント1:出来事・ある事実・体験

まず、「出来事・ある事実・体験」が何かを確認します。すると、1文目に「随筆は誰~書いていた」とあります。ここから、「随筆は誰でも書けるという意見を目にした」という出来事が、この文章を書くきっかけであったことがわかります。

ポイント2:筆者の感想・考え

次に、「随筆は誰にでも書けるという意見」に対する筆者の考えをさがします。すると、最後の文に「誰でも書けるとも限らないかもしれない」と反対意見を述べています。ですから、この部分が筆者の主張であることがわかります。

以上をまとめると、正解の記述が完成します。

解答

【答え】
随筆は誰にでも書けるといわれるが、何かしらの目新しい客観的真実を提供しなければその随筆の存在理由が薄くなることを考えると、随筆は誰にでも書けるわけではない。

まとめ

以上、随筆の記述問題で筆者が主張したいことをまとめる方法をお伝えしてきました。

書くべきことを明確にする練習には、随筆がおすすめです。ぜひ、ためしてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

松尾吉久
この記事の著者
松尾吉久 専門家・プロ

進学塾MIC代表。駿台池袋校、駿台シンガポール、LEC、MICなどの進学塾で20年間最難関クラスを担当指導。高校受験・中学受験で、開成、灘、首都圏早慶附属校に80名以上の合格者を出した実績を持つ。