物語文の得意・不得意は「精神的にどれだけ大人か」がカギに|今一度立ち止まって中学受験を考える
国語入試で必ず出題される物語文。しかし、物語文が苦手で、国語の成績の足を引っ張ってしまっているというケースは少なくありません。「日本語で書かれているのだから、きちんと読めば分かるはず」と親は楽観的に捉えがちですが、それほど単純な話ではないのです。
今回は物語文に強くなる秘訣をご紹介します。
ジュニア文庫は早めに卒業、漫画なら少年漫画よりも少女漫画を
「うちの子、本を読むのは好きなのに、物語文が苦手で……」
中学受験の指導にあたるようになって20年以上が経ちますが、毎年必ずいくつかのご家庭からこのようなご相談を受けます。親御さんからすると「なぜ?」と不思議に感じるのでしょう。
読書好きな子は、日頃から文字にたくさん触れているので、国語が得意と思われがちです。確かに、幼い頃から本に慣れ親しんできた子は、国語が得意になる傾向はありますので、あながち間違いとは言い切れません。しかし、みんなが得意になるかというと話は別。ひとくちに“本好き”といっても、子どもによって読み方はさまざまです。お気に入りの本や図鑑を何度もくり返し読む子もいれば、物語のストーリー展開を楽しむだけでササッと読み終えては、次の本に手を出し、手当たり次第に読んでいく子もいます。両者のどちらが物語文で苦戦するかといえば、後者です。
ストーリーの展開を楽しむ子は、話の続きを早く知りたくて、ナナメ読みをします。単純に読書を楽しむのであれば、それでもいいでしょう。しかし、国語のテストで点を取るには、文章を精読する力が求められます。特に物語文は、複数の登場人物がどういう体験をして、どういう感情がわき起こり、それによってどのように成長したかといった“心の成長”の把握が必要になります。つまり、どれだけディテール(詳細な情報や状況)をつかみ取れるかがカギとなるのです。
ところが、ストーリー展開を楽しむ子は、場面の変化ばかりを追ってしまい、その行間に隠されている登場人物の気持ちに気づくことができません。特に子ども向けのジュニア文庫を好んで読む子は、その傾向に陥りやすくなります。心情理解に漫画は有効かというご質問を受けることがありますが、もし漫画で心情理解の訓練をさせるのなら少年漫画よりも少女漫画の方がいいでしょう。少女漫画の方が登場人物の心の機微が詳細に描かれていることが多いからです。
近年の中学受験の国語入試に出題される物語文は、場面設定が小学生の子どもが知らない世界だったり、自分とは違う世代や立場の人が主人公の話だったりと、小学生の子どもが理解するには内容がとても難しくなっています。以前は「こういうときは、こういう感情になる」「こういう言葉が出てきたらこういう意味だと捉える」といったように、大手塾などではマニュアル化して指導に当たっていました。けれど今では、こうしたパターン学習に疑問を持った学校が、裏をかいてより難しい内容の問題を出すようになり、難化傾向は加速していくばかりです。
では、どんな対策をしていけばよいのでしょうか?
とじる
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