学習 連載 中学受験のツボ[社会編]

【小4~小6社会/農業】比較してイメージしよう! 近郊農業と遠郊農業|中学受験のツボ[社会編]

専門家・プロ
2022年11月23日 吉崎 正明

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 社会編 吉崎正明先生池田良輔先生茂山起龍先生が担当します。
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国語算数理科

こんにちは、吉崎です。

今回のテーマは、農業。そのなかでも「近郊農業と遠郊農業」に注目して解説します。

近郊農業は中学入試でよく出題されますが、私の知る限り、遠郊農業はこれまで出題されたことはないはずです。しかし私が授業をする際は、知識がより定着するように、あえて近郊農業と遠郊農業を比較して解説しています。

それぞれの農業のイメージをお伝えしていきますので、これまで暗記に頼ってきた子は、知識の整理としてもぜひ読み進めてみてください。

近郊農業

近郊農業とは、大都市の近くで野菜や草花を栽培する農業のこと。一般には群馬県や長野県も含まれますが(※)、中学入試では、東京に近い埼玉県・千葉県・茨城県などでおこなわれているものが近郊農業とされます。

※塾で勉強している子は、群馬県や長野県では、涼しい気候で高原野菜をつくる「高冷地農業」がおこなわれている、と学習したはずです

 

大都市の近くでおこなう近郊農業には、ふたつのメリットがあります。

  • 大都市に近いため、出荷時の輸送費を安くできる
  • 収穫した作物を、新鮮なまま大都市まで運べる

近郊農業については、おそらくここまでしか勉強していないかと思いますが、ここでもう一歩踏み込んで理解していきましょう。

近郊農業で栽培されるのは、どんな作物だと思いますか?

 

基本的には、埼玉・千葉・茨城で栽培している作物のほとんどがあてはまりますが、特に覚えてほしいのが次のふたつです。

  • ねぎ
  • ほうれんそう

このふたつの野菜は、千葉県と埼玉県の「生産量ベスト3」に毎年入っています。では、どうして生産量が多いのでしょうか? これらの野菜を買って、家で保存して、食べるまでを想像すれば答えは簡単にわかりますよ。

 

ねぎや、ほうれんそうって、スーパーなどで買ってきたら早いうちに食べるように言われることが多いです。なぜかというと、日が経つと傷みやすいからですね。

つまり「傷みやすいので、大都市の近くで育てたほうが新鮮な状態で食べられる」ということ。

このようにイメージできれば、近郊農業の知識のほかに、ねぎや、ほうれんそうの生産量が多い県も答えられるようになるので一石二鳥でしょう。

ちなみに東京だけでなく、関西や愛知などにも大都市があります。これらの都市の近郊農業や、生産量の多い野菜も確認しておきましょう。

  • 兵庫県の淡路島……たまねぎ
  • 愛知県の渥美半島……キャベツ

遠郊農業

近郊農業についてお伝えしてきましたが、この近郊農業と比較しておきたいのが遠郊農業です。中学入試では遠郊農業を答える問題はまず出題されないので、ここでは知識のイメージができれば十分です。

遠郊農業の代表的な地域は、次のふたつです。

  • 十勝平野
  • シラス台地

まずは、北海道の十勝平野。ここで主に栽培されているのは、じゃがいもにんじんたまねぎです。“カレーの材料”と覚えておくと思い出しやすいですね。砂糖の原料「てんさい」も栽培されています。

鹿児島県を中心としたシラス台地では、さつまいもや、の栽培が盛んです。

 

十勝平野もシラス台地も「火山灰地」のため水持ちが悪く、作物を育てる地力(ちりょく)も弱いです。そのため、じゃがいも、にんじん、たまねぎ、さつまいも、茶など、土地が悪くても育てやすい作物たちが主につくられているんですね。さつまいも・じゃがいもは、江戸時代の飢饉(ききん)対策でも重宝されていました。

そしてこれらの作物は、涼しい場所に置いておけばかなり長い期間保存できます。先ほど紹介した「ねぎ・ほうれんそう」は大都市の近くから出荷する必要がある一方で、「じゃがいも・さつまいも」は遠くから出荷しても新鮮さにそこまで影響しないのは、こうした理由からです。

 

ちなみに宮崎平野や高知平野などで、あたたかい気候を活かして野菜の早づくりをおこなうことを「促成栽培」といいますが、立地的に見ると促成栽培は遠郊農業の仲間といえます。これらの地域ではピーマン・なすなど、主に夏野菜の早づくりに力を入れています。

まとめ

近郊農業と遠郊農業のイメージをまとめると、次のとおりです。

●近郊農業
大都市の近くで、「ねぎ・ほうれんそう」など、傷みやすい野菜を中心に栽培する

●遠郊農業
大都市から離れた場所で、「じゃがいも・さつまいも」など、傷みにくい野菜を中心に栽培する

今回のテーマではありませんが、次の内容も復習しておきましょう。

●促成栽培
あたたかい気候を活かして、野菜の早づくりをおこなう(宮崎平野・高知平野)。代表的な野菜は、ピーマン、なす、トマトなど

●高冷地農業
標高が高くて涼しい地域で遅づくりをおこない、高原野菜を栽培する(野辺山原・嬬恋村)。代表的な野菜は、キャベツ、レタス、はくさいなど

世の中にあるすべてのことが社会科です。
親子で会話を楽しむ際に、ぜひ社会ネタも入れてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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吉崎 正明
この記事の著者
吉崎 正明 専門家・プロ

現役塾講師。都内中学受験塾で社会・国語を担当。12年間在籍した大手進学塾では中学受験難関選抜ゼミ担当を歴任、社内数千名が出場する「授業力コンテスト全国大会」で優勝経験あり。その後家庭教師を経験し、2019年より現在に至る。指導方針は「正しい学習姿勢で、楽しく成績を伸ばす」。また、社会では「センス不要。イメージを作って考える」授業を実践しており、中学受験ナビでも「イメージで覚える中学受験歴史」を執筆。茨城県行方市出身。