連載 三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」

必要とされる教育「コミュニケーション力」|三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」(8)

専門家・プロ
2016年6月29日 大橋清貫

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※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。

大学生の就職活動関係の雑誌などを読んでいますと、コミュニケーション力をアピールすることの必要性や方法がしばしば書かれています。それを裏付けるかのように日本経済団体連合会(経団連)は2014年1月に新卒採用(2013年4月入社対象)に関するアンケート調査をおこなった結果、2013年4月に入社した人材を採用した際、企業が最も重視した点は「コミュニケーション能力」(86.6%・5項目まで複数回答可)であったと発表しています。

実に10年連続で1位であったそうです。企業の必要痛感性がはっきりと出ている気がします。同様に、あまり注目されていませんが、「協調性」(51.8%)が4位、「誠実性」(41.0%)が5位に入っています。ずいぶんと変わった気がします。昔は「同じ釜の飯」を食べて「あうんの呼吸」で働く誠実性の高い人物が評価されていた気がします。学力についてはとにかく有名大学出身者であれば、18歳の時に頑張ったエビデンスがあるわけだから間違いないという感じでした。

学生に求められる資質や能力としてのコミュニケーション力、その本質について述べるのがここでの目的ではありません。かかる状況の中で中学高校に必要な教育とは何であるかを少しだけ書かせてもらいます。

今も多くの中学高校の教育の中心は教科書知識を生徒に理解してもらうことです。しっかりとおぼえてもらうことです。生徒の側にとっても学びとは教えてもらうことです。おぼえることです。この繰り返しを繰り返して卒業することで企業が第一の必要性と考えるコミュニケーション力に達すると考える方は少ないでしょう。それは大学に行ってからで十分という方もいらっしゃるでしょう。しかし、最も成長性の高い中高時代にこそ基礎力を身につけたいところです。

中高で学ぶコミュニケーション力、それは情報の収集力と選択力、その結果としての思考結果の伝達力と考えています。そのための授業、それを支える学校環境、それをつくっていく学校の意志、それらは様々なところで判断できます。どうか学校説明会に足を運ばれて目で耳でその本物感を確かめていただければと思います。

今、学校は時代に求められている教育はどうあるべきかを模索しています。各校とも何とかその答えにたどり着こうとしているところです。しかし、その道は平坦ではありません。なぜなら長い間に学校教育が行ってきたスタイルを抜本的に見直していく必要があるからです。簡単に見つかるものではありません。それができても合意形成に時間がかかります。それ以上に実行には多くの困難が伴います。

それでも前に着実に進んでいる学校は確かにあります。そういった学校こそ選んでいただきたい学校です。次回は必要とされる教育の条件から「2つのリテラシー」についてお伝えしたいと思います。

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■三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」バックナンバー

※記事の内容は執筆時点のものです

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