学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小4理科/浮力】「水に沈む方法」と「空気に浮く方法」を考えてみよう|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2023年11月22日 伊丹龍義

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。
- 理科以外の3教科はこちら -

国語算数社会

私たちの身体は水に浮かびますが、空気には浮かびません。

これは私たちの身体が、同じ体積の水よりも(少しだけ)軽く、同じ体積の空気よりも重いからですね。

今回は、私たちが「水に沈みたい」ときや、「空気に浮きたい」と思ったときにどのようにすれば良いのかを、“理科的“な思考をもとに柔軟に考えていきましょう。

水に沈む方法

問題

私たちが水に沈むためには、どうしたらいい?
(柔軟な発想で考えてみよう!)

 

私たちの身体は、同じ体積の水よりも(少しだけ)軽いので水に浮きます。

そのため、体積を変えないまま重くする、つまり同じ体積の水よりも重くなれば沈みます

単純に考えてみると、いっぱい食べればより沈みやすくなりそうですよね(そのぶん、おなかが膨らんで体積が増えるのですが、ここでは考えないことにします)。

おもりをつけるのも、これと同じ発想です(もちろん体積は増えてしまいます)。

 

上記とは違った発想もあります。重さを変えなくても、体積を小さくして、同じ体積の水よりも重くなれば沈みます

単純に考えてみると、身体を縮めれば沈みやすくなりそうです。とはいえ、身体を丸めて小さくしたつもりになっても体積は変わりません……。

 

そのため妥当な方法としては、息をしっかり吐いて胸の体積を減らす、といったことなどが考えられるでしょう。

これでも水に沈むことはできませんが、それでも、いっぱい食べて、息をしっかり吐くと、”理科的“に考えれば水に沈みやすくなる、といえます。

解答例

いっぱい食べるなどして重さを増やしたり、息を吐くなどして体積を減らしたりすることで、同じ体積の水より重くする

 

保護者向け

(これも「柔軟に考えてみる」という視点で捉えてほしいのですが)たとえば筋肉の割合が大きくなると水に沈みやすくなります。脂肪よりも、筋肉のほうが密度が大きいからですね。

「水に沈む」ということを、より深くお子さんに印象づけたい場合は、こちらの例も使ってもらえればと思います。

 

空気に浮く方法

問題

私たちが空気に浮くためには、どうしたらいい?
(柔軟な発想で考えてみよう!)

 

私たちの身体は同じ体積の空気よりも重いので、空気に浮くことはできません。

それでも空気に浮きたい! といった場合にヒントとなるのが、先ほど紹介した「水に沈む方法」の逆を考えてみること。つまり、身体の体積を変えずに、同じ体積の空気よりも軽くなれば空気に浮くことができるのです。

 

ただしここで問題になるのは、私たちの身体も含め、すべての物質をつくっている「原子(小さな粒)」の存在。

実はこの原子、かなり小さいものの、しっかりとした「重さ」があるんですね。「固体 ― 液体 ― 気体」と状態を変化させても、この重さは変わりません。

そのため、重さのある「原子」でつくられている私たちの身体を体積を変えずに軽くすることは、どうやってもできないのです。

 

では、違った発想もしてみましょう。

たとえば、身体の重さを軽くしなくても、体積を大きくすることで同じ体積の空気よりも軽くなれば、空気に浮かべるようになります

単純に考えると、息を大きく吸えば少しは浮かびやすくなりますが、それでも空気の軽さにはまったく及びません。

 

では、空気よりも軽いものを身体に多くつけて体積を増やす、という手はどうでしょうか? 全体として同じ体積の空気より軽くなれば、浮かぶことができます。

身につけたぶんの重さはもちろん増えますが……、この方法が妥当なラインといえそうですね(※)

※水とは異なり、私たちの身体と空気では重さの差が大きいため、このように「重さと体積を調整する方法」を実現するのは実際には困難なようです

解答例

軽いものを多く身体につけて、同じ体積の空気より軽くする

 

保護者向け

(これも発想を広げて考えてみると)アニメでよく見られるように、身体を風船のように膨らますことができれば、人は浮かび上がることができます

とはいえ、空気は1㎤で0.001gくらいなので、たとえば体重65kgの私の場合には「65000000㎤」まで膨らむ必要があります。縦・横・高さとも”4mの立方体“くらいの体積にならないといけない、ということですね……。

※記事の内容は執筆時点のものです

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