中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

中学受験塾は欠席しても大丈夫? 欠席したらどうすればいい?│中学受験塾のトリセツ#31

2024年2月06日 天海ハルカ

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塾の日なのに熱が出た、学校行事が重なった、習い事の発表会が……。

さまざまな理由で塾を欠席することはあるでしょう。

しかし、できることなら欠席はしたくないもの。

欠席しても大丈夫なのだろうか、欠席すると後で困らないかと心配ですよね。

結論からいえば、「理由があっての欠席は仕方がない。欠席後にしっかり取り返そう」です。

今回は中学受験塾の欠席についてお話しします。

塾は欠席してもいいの?

結論からいえば、「塾は欠席してもいい」です。

もちろん無遅刻無欠席が理想ではありますが、無理して行くところでもありません。

体調が悪いなら無理せず欠席を

残念ながら、体調が良くない状態で来て教室で突然吐いてしまう子は毎年いて、本人がつらいのはもちろん、感染症であればクラスメイトへうつしてしまう恐れもあります。

塾へ来たものの顔が真っ赤で熱を測ったら38度、授業を受ける前に早退したというケースもありました。

低~中学年だと、体調不良で集中できずに苛立ちを覚え泣いてしまう子もいます。

子どもの心に傷を残すことにもなるので、体調が悪いときは無理せず欠席させてあげてほしいですね。

学校行事は塾より優先

運動会や林間学校など、学校行事で授業を欠席せざるを得ないこともあると思います。

特に6年生では学校行事を休んで塾へ行くという家庭もありますが、私が勤めていた塾では学校行事を優先するよう伝えていました。

たしかに受験勉強は大切ですが、子どもにとって学校行事は今しかできないことです。

たった一日の授業のために、一生に一度のイベントを犠牲にする必要はないと考えています。

どの塾も、一日欠席しただけで受験ができなくなるようなカリキュラムは組んでいません。

大事なことは何度も繰り返して勉強するようになっているので、ちゃんと取り返せます。

ですから、学校行事は心おきなく参加して楽しんでほしいですね。

講習や特別授業を丸ごと欠席するのは?

夏期や冬期など、特別講習を丸ごと欠席する子どもは学年に1~2人います。

遠方への帰省などもあるのでしかたのないことです。

ただし、講習のカリキュラムによっては注意が必要かもしれません。

復習がメインの講習であれば問題はないのですが、その間も勉強が進む場合は講習を休むことで勉強に大幅な遅れが生じてしまいます。

可能であれば、講習を丸ごと欠席するのではなく、たとえば夏期講習はお盆以降だけ欠席するなど、できる限り出席しておくと安心ですね。

欠席する人はどのくらいいる?

私の担当していたクラスは15~20人在籍していましたが、クラスで月に1人か2人欠席が出るくらいです。

ただし、林間学校や修学旅行の時期には一気に欠席者が増えます。

塾からすると、全体を通して欠席する子は多くありませんが、めずらしいことでもないという印象です。

欠席にネガティブな感情は抱かないので、欠席を連絡するときも安心して伝えてくださいね。

6年生の1月は欠席者が増える

受験を控えた6年生だと、直前の1月は丸ごと欠席するという子は多いです。

通塾は行き帰りの電車も含めて人との接触が多いもの。

風邪やインフルエンザなどのリスクは極力減らしたいですもんね。

塾へ行くと自然と就寝が遅くなってしまうので、入試に向けた朝型リズムを作るために休むというご家庭もあります。

直前期の授業は新しい知識を学ぶものではないため、欠席しても支障はありません。

通塾時間をそのまま自分の時間にできますし、本人が納得しているのであれば1月の授業をすべて欠席するのも良いと思います。

一方で、1月もいつも通りを過ごすことで「平常心が保てる」「勉強のリズムが崩れない」というメリットも考えられます。

塾の先生や友達と勉強することでガス抜きができるという面もありますね。

受験直前の緊張感を共有できるのは塾の強みです。

家だとついテレビを見てしまうなど、塾のほうが集中して勉強できるという子もいるでしょう。

6年生の1月を欠席することにはメリットもデメリットもあるため、家庭や本人が納得するほうを選ぶのが良いと思います。

欠席の後にすべきこと

欠席後に気になるのは「抜けた分の勉強をどうするか」ですよね。

体調不良で休んだ場合は、体調を戻すことが最優先です。

勉強に手をつけるのは体調が回復してからでOKなので、まずはしっかり静養してください。

授業の内容と課題は塾から聞けるはずです。

快復したら欠席分の授業内容を確認し、次の授業に備えましょう。

振替授業があるなら活用

塾によっては振替授業が受けられます。

新しい内容を家庭で勉強するのは大変なので、振替授業制度があるなら活用したいですね。

振替授業のシステムは塾によって異なります。

「予約が必要か」「希望すれば必ず利用できるのか」「別途費用がかかるのか」など、あらかじめ確認しておくと安心ですね。

勉強は授業内容の理解を優先

欠席すると授業内容を別の日に勉強することになり、家庭学習の負担も増えてしまいます。

スムーズに進めるためには、優先順位を意識しましょう。

授業で出た課題や小テスト準備も必要ですが、最優先は欠席した日の授業を理解することです。

課題や小テスト準備は、授業の理解があってこそのもの。

まずは家庭学習や振替授業などで授業内容を理解し、それから課題や小テストの準備にとりかかりましょう。

可能ならすべていつも通り終わらせたいものですが、欠席した分を別の日に学ばなければならないため、いつもと同じように終わらせるのは大変です。

多少の遅れはしかたがないと割り切ることも必要ですね。

授業の内容はしっかり学習し、あとはできるところまで頑張ればOK。心配なら別のあいている日に復習しましょう。

科目は算数を優先

「欠席が続いた」「複数科目の授業を欠席した」というとき、科目の中で優先したいのは算数です。

算数は積み重ねが重要なため、知識が抜けると後で困ってしまいます。

たとえば三角形の面積の求め方がわからないと四角形、平行四辺形の授業についていけませんからね。

逆に、優先順位が低いのは国語です。

読解は解法や読解ポイントなど他と繋がるテクニックはあるものの、読解文自体は毎回独立しています。

もちろんどの科目も勉強はすべきですが、使える時間には限りがあります。

国語の授業内容はざっとテキストを読む程度にとどめ、残りは授業の漢字小テストなどに備えたり算数の理解にまわしたりすると、次回以降の授業へスムーズに入れると思います。

欠席時には連絡を

体調不良や学校行事などで塾を休むのはしかたがないことです。

塾としては欠席自体にネガティブな感情は抱かないので、欠席の際は必ず塾に連絡してください。

多くの塾では、連絡もなく子どもが塾へ来ない場合は電話をかけます。

それは欠席を責めるためではなく、事故などを心配してしまうからです。

実際に「宿題を忘れたことに気づいた子どもが、塾へ行きづらいから近くの公園にいた」というケースもありましたので……。

中学受験までは、年単位の戦いになります。

必要なときは無理せず欠席し、その分しっかりと次の授業に備えてくださいね。

この連載では匿名での質問を受け付けています。ぜひ、塾について、中学受験についての質問などを、こちらの質問受付フォームからお寄せください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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