塾のタイプ・家庭のタイプ別「親の関わり方」 ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
中学受験が終了し、各塾で新学年の授業が始まりましたね。
小学校よりも一足早く進級し、まだ慣れないことも多い時期です。
特に、この2月から受験勉強をスタートしたというご家庭は、どのように子どもをサポートすれば良いのかも手探りではないでしょうか。
そこで、今日はこれから中学受験勉強をスタートしようという低~中学年のご家庭に向けて、塾のタイプ別に、親御さんがするべきサポートについてお話ししていきます。
Contents
塾のタイプによって親御さんがするべきサポートは違う
小学生はまだまだ未熟ですから、過酷な受験勉強を乗り越えていくためには大人のサポートが必要な場合が多いです。
そこで、受験に関わる大人たち(両親・塾・家庭教師など)が、それぞれどんなサポートをするのか、役割分担をしていく必要があります。
ここで覚えておきたいのは、塾がどこまでの役割を負うかに関しては、塾ごとにスタンスが異なるということです。
一口に飲食店といっても、調理はもちろん食器の上げ下げまでスタッフがやってくれるレストランタイプもあれば、調理は自分でやる焼肉・BBQタイプもあれば、調理はやってもらえるけれど食器の上げ下げは自分でやるフードコートタイプもあります。
提供されるサービスは様々ですよね。
塾も同じです。
自分たちでやらなければいけないことが多い焼肉・BBQタイプの塾にお子さんを通わせているのに、親御さんがお子さんへのサポートをしなければ、お子さんの勉強は生焼けになったり黒焦げになったりすることでしょう。
それに対して、全部お任せなレストランタイプの塾に通わせていながら、お子さんの勉強に手出しをし過ぎてしまうと、塾の方針とすれ違いが生じて上手くいきません。
レストランで厨房に入っていき「自分で肉を焼かせろ!」と言い出す人がいたら対応に困りますよね。
焼肉やBBQと、レストランと、どちらが優れているというものではありません。
それぞれに良さがあり、自分がやりたいこと・してもらいたいことに合わせてお店を選べば素敵な食事時間を過ごせます。
これは中学受験においても同じことです。
良い受験生活を過ごすために、自分がやりたいこと・してもらいたいことに合わせて塾を活用しましょう。
具体的に、どういう風に考えていけばいいかを、お話していきます。
まずは「我が家はどんな家庭か」を確認しましょう
まずは、あなたのご家庭について考えてみてください。
どんな家庭?その1「親が子どもから求められていること」
ご家庭について考えるとき、最初に考えるべきことは、「親が子どもから求められていること」です。
「わからないところを教えてあげること」
「勉強しているところを見守ること」
「頑張ったことを認めて褒めること」
「スケジュールを立てる手伝い」
「テストが終わった後の反省会の手助け」
「モチベーションを高める働きかけ」
など候補はいくつも考えられると思います。
こうした候補の中で、あなたのお子さんが親に求めることは何でしょうか?
子どもによって自分でできる・やりたいものもありますし、先生とやりたいから親には構わないでほしいと思っているものもあります。
そうしたものに対して干渉をすれば、親子ともにストレスがたまり、成績ダウンにつながっていきます。
お子さんがしてほしいと思っているサポートは何かを、最初に話し合って確認しておきましょう。
「親にしてほしいこと」「先生にしてほしいこと」「どちらでもよいこと」と分けられるともっと良いですね。
お子さんがしてほしいと思っているサポートをしてあげれば、お子さんは喜ぶし、やる気が上がります。
どんな家庭?その2「親がやりたいこと」
次に考えるべきことは、「親がやりたいこと」です。
子どもごとにやってほしいことが異なるように、親もそれぞれ自分がやりたいことは異なるのが当たり前です。
お子さんがやってほしがることはやってあげたいと思うのが親心かと思いますが、とはいえ自分がやりたくないことを長期的に続けるのはストレスに感じることもあるでしょう。
イライラしながらやったら雰囲気が悪くなりますから、お子さんに対してかえって悪影響になります。
それってもったいないですよね。
ご両親のどちらかが司令塔になり、他方に「これをやっておいて」と指示を続けると、そうしたもったいない状況になりがちです。
ご両親でそれぞれがやりたいと思うことを話し合って、分担を決めた方が良いでしょう。
ご両親どちらもやりたくないことであれば、それを代わりに担ってくれる塾を選ぶようにしましょう。
どんな家庭?その3「親ができること」
家庭について最後に確認するべきことが「親ができること」です。
子どもがしてほしいと思っていて、親もやりたいと思っていても、それが実際にできるかどうかは別の問題です。
どこのご家庭でも、親子仲良く二人三脚で中学受験を乗り越え、ハッピーエンドを迎えたいと思っています。
穏やかな日々を過ごしたいと思っています。
にもかかわらず、中学受験をするご家庭では、望まない親子ゲンカがたびたび頻発します。
親子ゲンカ以外にも、「責める」「非難する」「辱める」「脅す」「価値観を押し付ける」「罰でコントロールする」といった不適切な扱いをしてしまいがち。
それら1つ1つが、子どもの学習意欲・人格形成・自尊心の成長に悪影響を与えていく危険性があります。
このような子どもを傷つける対応をしたりするのは教育虐待で、そんなことをするのは子どもを大切に思っていないからだ、と思われがちですが、そうではありません。
愛情豊かで、子どもをとても大切に思っている親御さんたちが、こうした不適切な子育てをしてしまっています。
我々の世代が子どもの頃は普通のことでしたから、自分がされたこと以外にやり方を知らないと、同じことを子どもにしてしまうのです。
実際に、私のYouTubeで不適切な子育てをテーマにお話ししたとき、「親からされて嫌で、子どもにはしないようにと思っていたことを、気付くと我が子にしてしまっている自分がいて愕然とします」といったコメントをいただくことがたびたびありました。
これは子どもへの愛情が欠けているからではなく、知識の不足が原因です。
子どもへの声かけや関わり方は、正しい知識を必要とします。
不適切な声かけや関わり方は、子どもの心を傷つける凶器になるからです。
正しい知識を学ぶ時間や方法を考えてみましょう。
また、子どもと関わる際に時間・体力・気力に余裕があるかどうかも考えておきましょう。
子育てをしている親御さんであれば、自分の側に余裕が無くて、ついつい子どもにきつい言い方をしてしまい、後で後悔した経験が何度かはあるのではないでしょうか。
正しい知識があったとしても、それを実践するにあたってはもう1つ超えなければいけないハードルがあります。
それも含めて、できるかどうかを考えてみてください。
塾がしてくれることは何かを確認しましょう
次に、通っている塾で、どんなサポートがあるのかを確認しましょう。
自習室が完備されていて、先生が常駐していていつでも質問できる塾もあります。
質問をするのに長時間並んだりといった高いハードルがある塾もあります。
授業後に自主的に居残りができるようになっていて、宿題をある程度片づけられる塾もあります。
自習をできる環境が無い塾もあります。
宿題ができていなかったときに、放置される塾もあります。
「ちゃんとやりなさい」と叱られる塾もあります。
居残りでやらされる塾もあります。
ちゃんとできるようにスケジュールを一緒に立ててくれる塾もあります。
何をしてくれて、何はしてくれないのでしょうか。
塾に任せておけば大丈夫なことは何で、自分たちがやらなければいけないことは何でしょうか。
これから通おうとしている塾、あるいは今通っている塾は、どんなタイプなのかを確認してみましょう。
大まかに言って、首都圏の4大塾で言えば、SAPIXは塾へのお任せ度は低めです。したがって、家庭でのフォローが必要不可欠となります。
それに対して、四谷大塚・日能研・早稲田アカデミーはSAPIXよりも塾に任せられることが多くなっています。
同じ塾でも校舎によって、先生によって、多少のバラつきがありますので、その点も注意しましょう。
家庭と塾の方針をすり合わせよう
我が家はどんな家庭かを確認し、塾がどんな塾かを確認したら、あとはすり合わせです。
「わからないところを教えてあげること」
「勉強しているところを見守ること」
「頑張ったことを認めて褒めること」
「スケジュールを立てる手伝い」
「テストが終わった後の反省会の手助け」
「モチベーションを高める働きかけ」
といったことを、お父さん・お母さん・先生の誰がやるのかを確認しましょう。
面談で先生とお話ししておくのも大切なことです。
必要なサポートなのに誰もやっていないままになっていることがあると、後で困ることになります。
逆に、複数の人が連携なく重複して同じことをすると、子どもが混乱して困ることになります。
上手に役割分担してくださいね。
場合によっては個別指導や家庭教師、あるいは転塾といった手段を考えることも良いかもしれません。
みんながストレス無く、お子さんも勉強しやすい環境を作っていきましょう。
まとめ
塾ごとに面倒見の良さをアピールするところもあれば、「うちは面倒見が良い塾ではないから親御さんの負担は大きいです」とはっきり言うところもあります。
これらは良いか悪いかではなく、タイプの違いです。
ご家庭に合わせて合う塾を選ぶこと、または塾に合わせて家庭内でやることを選ぶことが大事です。
BBQに行きながら、料理を作る手伝いもせず子どもの遊び相手もせずにダラダラして食べたり飲んだりするだけだと家族から嫌われますよね。
そこでしっかり火を起こしたり料理をしたり子どもの遊び相手をしたりといった役割を果たすと、親は子どもにとってヒーローになります。
焼肉の際にも、材料の投入順序・火加減・焼け具合などに対して事細かに指示をしてあれこれ世話を焼きたがる「焼肉奉行」は、嫌がる人の方が多そうです。
エラそうに指図をして、自分では一切手を動かさない「焼肉将軍」なるタイプの人も世の中にはいるそうで……絶対嫌われますね。
必要に応じて助けてあげたり一緒にやってあげたりすれば、仲良く楽しく焼肉が食べられます。
そうしたことをしたくないのであれば、レストランに行ってお店にお任せするのが良いでしょう。
中学受験でも同じように、サポートが少なめな塾にお通いでしたら、親が子どものサポートをしながら二人三脚で中学受験を楽しむ方法を考え、学びましょう。
そうしたことをしたくないのであれば、サポートが手厚い塾を選ぶようにしましょう。
中学受験は長期間にわたる一大プロジェクトです。
ですから、ストレスなく過ごせるように、あなたのご家庭に合ったスタイルを確立してくださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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