中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

子どもが勉強するようになったきっかけ3選 ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

専門家・プロ
2024年2月28日 菊池洋匡

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自ら伸びる力を育てる学習塾「伸学会」代表の菊池洋匡先生がおくる連載記事。「親子で楽しく試行錯誤することで、子供が伸びる」ということを、中学受験を目指す保護者さんにお伝えします。

こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です

今日は「子どもがなかなか勉強しない」とお悩みの親御さんのために、勉強をしなかった子たちが勉強をするようになったきっかけについてお話しします。

さまざまな理由がありましたが、まとめると「環境が変わった」という理由が圧倒的に多数派です。

なぜかというと、人は自分の意思で自分の行動を選んでいるようで、無意識レベルでは環境に流されて行動を選んでいることが多いからです。

「子どもが勉強をしなくて、どうしよう」と思ったら、子どもの行動を変えようとするよりも、子どもにそういう行動をさせている環境が何なのかを考えて、環境を変えようとする方が効果的です。

話がここで終わってしまうと、じゃあ変えるべき環境が具体的に何かわからなくて困ってしまいますよね。

そこで、これを変えると上手くいきやすいという具体例を3つご紹介します。

お子さんが勉強しなくて困っているようでしたら試してみてください。

1.学習環境を変える

志望校がありやる気がある子でも、家庭の中では勉強が捗らないのはよくあること。

家にはマンガやYouTubeやゲームなどなど誘惑がいっぱいです。

兄弟が邪魔になる場合もあります。

ついつい集中力が乱されます。

大人だって、テレワークが導入されたことで、生産性が激落ちした人が多いですよね。

その結果、テレワークを廃止した会社も多いです。

家では働けない大人が多いことを思えば、家では勉強できない子どもが多いのは不思議なことではありません。

そういう場合には家庭環境を見直してみるのが効果的です。

基本的に家はリラックスして過ごせる空間にしているものだと思います。

リビングには座りやすいソファーがあり、ソファーから見やすい位置にテレビがあり、といった具合です。

そうした設計を見直してみて、勉強に適した空間に再配置してみましょう。

リビングに勉強用の机を用意し、机に座ったときに視界に入る位置からはマンガやテレビなどの娯楽は撤去してみましょう。

スマホやタブレットは「タイムロックボックス」などに封印。

決めた時間が過ぎるまでさわれないようにするのです。

このように環境を整えることで、かなり勉強しやすくなります。

家庭環境をこのように変えることが難しければ、本人が勉強しやすい環境に移動するのも良いでしょう。

図書館や塾の自習室などを活用するということです。

私の経営する伸学会でも、家だと勉強しにくいと言って自習に来る子がたくさんいます。

あなたのお子さんが勉強しやすい環境を用意しましょう。

2.塾・学校を変える

やる気はあるけどやれないという場合には、やりやすい場所を作るかやりやすい場所に移動するのが効果的でした。

では、そもそもやる気がしない場合はどうしたら良いでしょうか?

こうした場合には、塾や学校を変えるという、もう少し大きな環境の変化が必要かもしれません。

なぜなら、通っている塾や学校が、子どもを勉強嫌いにさせている原因かもしれないからです。

最初から勉強が嫌いな子などいません。

人は本来学ぶことが大好きです。

そして、先生の期待に応えるために、いい子であろうともします。

しかし、期待に応えられず、いい子でいられなかったときには、勉強を嫌いになるしかなくなります。

特に、自分には無理な成果を出すことを求められたり、他者比較にさらされて心を傷つけられたりすると、勉強を嫌いになることが多いです。

先生が他者比較をしないようにしていても、子ども同士で競争意識が働き、それが悪い方向に作用して傷つく子が生まれてしまう場合もあります。

それ以外にも、先生との相性や、クラスメイトとの相性などの問題で、人間関係がストレスになってやる気が無くなる場合もあります。

こうした環境そのものを変えるのはなかなか難しいものです。

となると、自分が他の環境に移る方が、現実的な選択かもしれません。

実際に他塾から転塾してきて、親御さんから「とても勉強するようになった」と驚かれることがよくあります。

もちろん逆のケースもあるだろうとは思います。

環境が変わると人の行動は自ずと変わるということは間違いありません。

3.親自身が変わる

最後にお伝えしておきたい重要な環境が、「親」です。

子どもにとって、親は環境の中の大きな部分を占めています。

親の行動が変われば、子どもの行動も変わります。

先ほど、塾や学校が子どもを勉強嫌いにさせている要因かもしれないと書きました。

それは親も同様です。

子どもが勉強を嫌いになっているとしたら、自分の声かけや態度が子どもを勉強嫌いにさせているのではないか?と自問自答してみましょう。

以前の生徒で、塾を転々としてきて、最後に私のところに来た子がいました。

その子は勉強が大嫌いでした。

その子と信頼関係を築くのはなかなか苦労をしましたが、時間をかけて少しずつ関係性を作っていきました。

そして、信頼関係ができてきたときに、その子が勉強をしたくない理由を話してくれました。

それは「親が喜ぶから」でした。

その子にとって親は敵で、自分が勉強をすることは敵に敗北することを意味していたのです。

塾を転々として外的な環境を変えたところで、家庭環境に根本的な原因があり、それが変わっていないのだったら、子どもの行動が変わらないのは当然だと思いませんか?

そこで私は、親にどんなことをされて嫌だったのか、何を言われて傷ついたのか、少しずつ話を聞き、抑圧されていた気持ちを外に出させていきました。

そして、親御さんにも状況をお伝えし、良かれと思ってしてきたことが子どもを苦しめ、勉強を嫌いにさせてしまっていることを理解してもらいました。

子どもの足を引っ張っていたのは自分だったのかと、親御さんはショックを受けていました。

しかし、そこからお子さんへの声かけ、働きかけを見直し、変えていってくれました。

その結果、親子関係が徐々に修復され、子どもは少しずつ勉強に向かうようになりました。

この子のように「親が喜ぶから勉強したくない」とまで言う子はそう多くはありません。

ですが、その一歩手前、二歩手前のところにいる子はたくさんいます。

親を嫌いになることはできず、でも親の期待に応えることもできず、勉強を嫌いになるしかないという子たちです。

子どもたちが変わるためには、根本原因が解決されなければいけません。

根本原因が親である場合には、親が変われば子どもが変わります。

親を敵視するところまでいっていた子でさえ変わっていきました。

きっとみんな変わっていくことができると私は思っています。

まとめ

以上、子どもが勉強するようになったきっかけ3選でした。

あらためてですが、人は環境によって無意識に動かされています。

ですから、環境を整え、変えていくことを考えてください。

そうすれば、お子さんの行動は自然と変わっていきますよ。

お子さんを勉強させないようにしている環境は何でしょうか?

どうすれば変えられるでしょうか?

試行錯誤してみてくださいね。

 

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※記事の内容は執筆時点のものです

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