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心情語を覚えて使いこなすコツとは? 国語の物語文が苦手な子どもへの関わり方

2024年5月03日 みみずく

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国語の物語文では、主人公をはじめとした登場人物の気持ちを理解する読み方を求められます。このときに役立つのが、気持ちを表す心情語です。人生経験が少ない子どもは、知っている心情語が少ない上に、言動を心情語となかなか結び付けられません。そんな子どもに心情語を理解してもらうためのコツを紹介します。

心情語とはどのような言葉か?

「うれしい」「怒る」「安心」など、気持ちを表す言葉は「心情語」と呼ばれます。心情語には、「うれしい」「悲しい」「楽しい」「さびしい」など、「い」で終わる形容詞がたくさんあります。また、「怒る」「悔やむ」などの動詞や、「怒り」「後悔」などの名詞も心情語です。

これらの心情語は、言葉自体の辞書的な意味を問われることがあります。しかも、物語文の読解では、記号選択問題でも記述問題でも心情語が解答のポイントになることがほとんどです。

心情語の教え方を工夫する

保護者が子どもに心情語を教える場合、「『ためらう』は、迷ってなかなか決められないことだよ」と言うだけでは、子どもは覚えてくれません。そんなときは教え方を工夫するとよいでしょう。

心情語を日常的な経験と結び付ける

子どもは心情語の辞書的な意味を覚えても、すぐに忘れますし、生きた知識として使いこなせないものです。そのため、保護者は心情語を日常的な経験と結び付けてあげましょう

子どもに「後悔」を教えたいならば、保護者は「勉強しなかったことがテストに出て、そこが全然できなかったらどう思う?」と問いかけることからスタートします。子どもは「くやしい」「情けない」「反省する」などと答えるかもしれません。そうしたら、保護者は「何かをした後にそういう気持ちになることが『後悔』だよ」と伝えてあげれば、子どもは「なるほど」と納得するはずです。

心情語の漢字の訓読みに注目する

子どもにとって特に覚えにくい心情語は二字熟語です。保護者は子どもに熟語を丸暗記させようとせず、使われている漢字の訓読みに注目させましょう

「熱望」を「熱」と「望」に分けてそれぞれを訓読みすれば「熱く望む」です。子どもが「望む」の意味をわかっていれば、「熱望」の意味もわかるはずです。また、「歓喜」も「歓」と「喜」に分けると、どちらも「よろこぶ」と訓読みするので「歓喜=よろこぶ」と判断できます。このように音読みと訓読みを紐づけることで、漢字や語句の学習にもなって一石二鳥です。

心情語を使う機会を増やす

子どもはせっかく心情語を覚えても、しばらくすると忘れてしまいがちです。保護者が頻繁にテストして定着させるのも良いですが、それよりも心情語を使う機会を増やした方が効果的です。

国語の勉強で言いかえさせる

国語の勉強では、保護者が子どもの答案を丸付けしたり、子どもに文章を音読させたりするとき、子どもに心情語を言いかえさせましょう

たとえば、保護者は子どもに「ここに太郎の気持ちが『うれしい』と書かれているけれど、これを他の言葉に言いかえたら?」と聞いてみます。親子の会話を通して、「うれしい」「イライラする」などの簡単な心情語から、日常的にあまり使わない「心躍る」「焦燥」などの慣用句や熟語へと広げていくのがおすすめです。どちらが多く言いかえを挙げられるか、親子で競争してみるのもおもしろいでしょう。

保護者も言いかえがわからない場合は、インターネットで「うれしい  言いかえ」のように検索すれば、辞書のサイトにたどり着きます。親子で一緒に調べて、初めて知った言葉をノートなどにメモしていくと、それがオリジナルの心情語辞典になります。

日常会話で難しめの心情語を使う

子どもは「楽しい」「悲しい」などの簡単な心情語を使うので、心情語のバリエーションがなかなか増えません。そこで、保護者は、子どもとの日常会話で、意図的に難しめの心情語を使いましょう。心情語は、普段から使うことで定着すると同時に、そのニュアンスもしっかり理解できて自分の言葉となるからです。

保護者は、子どもを中学の文化祭に連れて行った帰り、「今日は楽しかった?」ではなく「今日は気分が高揚した?」と聞いてみます。子どもが「高揚」を理解していないようなら、保護者は「高揚=気持ちが高まること」という意味と、「胸が熱くなる」「血が騒ぐ」など、言いかえとなる慣用句を教えるとよいでしょう。

また、子どもと一緒に悲しい映画を観た後、保護者は子どもに「主人公の沈痛な面持ちが印象的だったね」と感想を伝えます。子どもは「沈痛な面持ち」と言われても理解できないでしょうから、これをきっかけに「沈痛」の意味や、気持ちが落ち込むことを「沈む」と言えることも教えてあげましょう。映画の印象とともに、子どもの中に新しい心情語が刻まれるはずです。

心情語は覚えて使いこなすもの

国語の物語文が苦手な子どもは「精神年齢が低いから仕方ない」といわれがちです。しかし、精神年齢が低いというよりも、心情語を知らないだけのことも少なくありません。保護者は「心情語は覚えて使いこなすものである」と声がけして、子どもに積極的に心情語を教えることが大切です。

※記事の内容は執筆時点のものです

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