学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小5理科/生物】トンボってすごい!―― ひとつのことを調べてみよう(昆虫編)|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2024年9月02日 伊丹龍義

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。
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国語算数社会

こんにちは、伊丹(いたみ)です。

トンボは身近な昆虫ですが、私たち人間と違うことはもちろん、そのほかの昆虫とも大きな違いがあります。

ほかの生き物と比べて、トンボはどんなところがすごいと思いますか?

読み進めるまえに、まずはお子さんと一緒に少し考えてみましょう。

今回はトンボのすごさを見ていくなかで、ひとつのものを徹底的に調べることの楽しさと重要性も知ってくれたらうれしいです。

今まででいちばん大きな昆虫はトンボの仲間だった

地球上に生息していた昆虫のなかで最大のものは何か? という問いにはいくつかの答えがありますが、その答えのひとつがトンボの仲間の「メガネウラ」です。

メガネウラは今から約3億年前の地球にいた昆虫で、羽を広げたときの大きさが60㎝くらいだったと言われています。

身長120㎝の半分と考えると、その大きさがわかりやすいでしょう。

 

メガネウラは、今のトンボと同じく肉食だったと考えられています。

ということは、まわりの昆虫からはかなり恐れられていたかもしれませんね。

 

現在の最大の昆虫は、羽を広げた長さでは「ナンベイオオヤガ」や「アレクサンドラトリバネアゲハ」とされており、それぞれ28㎝くらいです。

体長では「ナナフシ」が最大とされ、23.8㎝くらいと言われています。

これらに比べると、メガネウラ(約60cm)がいかに大きいかわかりますね。

 

トンボは空中の同じところで留まることができる

トンバは空中の同じ場所で留まることができます。これはいわゆる「ホバリング」といわれる能力です。

トンボのほかにホバリングができるのは、ハチやハチドリなど、数少ない生物のみと言われています。

特にトンボはその場に留まるだけではなく、宙返りや、前後への移動といった複雑な飛行もでき、飛行速度が時速70kmを超えるトンボもいるようです。

このようにトンボは、昆虫のなかでも“飛ぶこと”がとても得意なのです。

 

ちなみにトンボは後ろにも飛べますが、だいたいはその場に留まるか、前に進んでいます。

そのため“常に前進し続ける生き物”ということで、昔から縁起のよい生き物とされてきました。

 

トンボはスズメバチを食べることもある

スズメバチは「強い昆虫」とよく言われますよね。

ところが実際には、大型のトンボであるオニヤンマなどは、その強靭なあごを使ってスズメバチを仕留め、食べることがあります。

そのため「トンボの姿がある場所にはハチが寄ってこないだろう」と考える人もいます。

 

ハチが寄ってこないように、トンボの形をしたバッジをつけている人も数年ほど前から見かけるようになりました。

私も10㎝くらいの実物大のオニヤンマのバッジを帽子につけていましたが、小学生に怖がられることが多かったので、今は小さなバッジにしています。

 

ちなみにトンボは作物を食べず、作物を食べる昆虫を食べてくれるため、農業では「益虫(人間の生活に役立つ虫)」とされることも多いようです。

 

トンボの目は10000個以上ある

人間の目は左右にひとつずつありますが、トンボは10000個以上の目を持つと言われています。

トンボの目の部分を拡大してみると、六角形をした小さな目(複眼)がいっぱい集まっているのがわかります。

この目によって、左右や真横はもちろん、後ろのほうまで、さらには上下も同じくらい見えているようです(270度くらいのようですね)。

私たち人間に見えているのは左右200度・上下130度くらいなので、トンボが見ている範囲がいかに広いかわかるでしょう。

 

まとめ

よく知っているように思うトンボも、改めて調べるといろいろな発見があります。

今回紹介した以外に、次のような話もありますよ。

トンボの別名は「ヤンマ」だが、“ヤンマの子”が短くなっていき、トンボの幼虫が「ヤゴ」と呼ばれるようになったと言われている

このようなことも、自分で1回でも調べてみたことがあれば記憶に残りやすいでしょう。

 

ちなみに「トンボの目は小さな目が集まっている」と紹介しましたが、これはトンボだけでなく、昆虫や甲殻類にも共通するつくりです。

こうしてひとつのことを調べることで、ほかの事柄との共通点や相違点も見つけやすくなります

理科の昆虫や動植物などが苦手な子は、まずはひとつの生き物を徹底的に調べてみましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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