【小6理科/コラム】昔の理科と今の理科のちがい|中学受験のツボ[理科編]
こんにちは、伊丹(いたみ)です。
理科は、次の3つを基本としている学問です。
- 再現できること
- 客観的に見て正しいと思われること
- 論理的に説明できること
ところが研究によって、これまで“正しい”と思われてきたことが“誤っている”とされることがあります。用語が変更されたり、基準の変更によって分類が変わったりすることも珍しくありません。
こうした結果、昔の教科書と今の教科書では、書き方が違っていることが多くあります。
今回はそのなかでも、特に有名なものを3つ紹介します。
太陽系の惑星の数
私は、太陽系の惑星は「水金地火木土天海冥」だ、いや、海王星と冥王星が逆になるときがあるから「水金地火木土天冥海」だ、と習ってきました。
しかし今の教科書では、冥王星は太陽系の惑星には数えられておらず、海王星までの8つとされています。
この理由は、研究が進むにつれて次のような発見があったからです。
まず、冥王星がそれほど大きくなかったことが挙げられます。
また、冥王星の軌道には同じレベルの星が多くありました。
つまり、冥王星を惑星とすると「冥王星と同じレベルの大きさの星も惑星とするべきだ」となってしまいます。
こうしたことから、冥王星は惑星からはずされたのです。
ちなみに現在では、「軌道上にほかの天体がない」ことが惑星の条件になっています。
日本の周りにある気団
私は、日本の周りにある気団は次の4つと習いました。
- シベリア気団
- オホーツク海気団
- 小笠原気団
- 揚子江気団
しかし現在の教科書では「揚子江気団」がなくなり、気団は3つとなっています(揚子江気団 → 長江気団と名前の変更もありましたが、あまり使われることがなかったようです)。
教科書から消えた理由は、揚子江気団が日本の気候に与える影響が大きくないとわかったからです。
そして、実は揚子江気団がシベリア気団と連動していることもわかりました。
こうしたことから、揚子江気団を単独の気団として考えないことになったのです。
脂肪(脂質)が消化されるとできるもの
親御さんのなかには、脂肪(脂質)が消化されると「脂肪酸とグリセリンになる」と習った方は多いでしょう。
しかし現在の教科書では、「脂肪酸とモノグリセリドになる」と書かれています。
少しマニアックな話になりますが、脂肪というのはグリセリンに3つ脂肪酸がついたものです。これが消化のときに、完全にバラバラになると考えられていました。
しかし研究の結果、実は3つのうち1つの脂肪酸だけがグリセリンにくっついたまま吸収されていることがわかりました。
1つの脂肪酸がグリセリンにくっついたものを「モノグリセリド」というため、現在では「脂肪酸(2つ)とモノグリセリドになる」と書かれるようになったのです。
ちなみに「消化の分野」では、「デンプンは消化によって“糖”になる」という表現も消えていくと思います(今のテキストには残っていますが……)。
現在の分類では「デンプンも糖の一種」と考えるようになったため、「デンプンが糖になる」という表現は正しくないと考えられているからです。
まとめ
今回紹介した以外にも、昔の教科書と今の教科書ではさまざまな変更点があります。こうした変更はこれからも増えていくはずです。
昔の知識のままお子さんに教えないように注意しましょう、ということもこの記事で伝えたい点ではありますが、それ以上に私自身、思うことがあります。
冒頭でもお伝えしたとおり、理科は「正しいかどうか」をしっかりと吟味して進めてきた学問です。
それでも、年々変わっていくものなんですね。
こうした“変化”を子供といっしょに保護者の方も学びつつ、知識や考え方をアップデートしてほしいと思います。
親御さんが学ぶ姿を子供が見ることで、「子供のころの学びは、大人になっても終わらずに続くんだ」ということを伝えられるでしょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
お気に入り機能は
会員の方のみご利用できます
会員登録のうえログインすると
お気に入り保存できるようになります。
お気に入りのコンテンツは、
マイページから確認できます