【小5理科/物理】滑車の問題のポイント|中学受験のツボ[理科編]
こんにちは、倉石です。
今回は、滑車の問題を解くポイントをいくつか紹介します。
滑車に限らず、「力の問題」では基本的な解き方をしっかり身につけることが大切です。
“なんとなく解ける”ではなく、応用問題にも通用する解き方を早めに身につけましょう。
糸を引く力の求め方
まずは、糸を引く力の求め方についてです。
滑車やひもに加わる力の大きさを求めるときに重要なポイントは、主に3つあります。
- 同じ糸に加わる力はどこでも同じ
- はたらいている力を図に書き込む
- 力のつりあいを考える
1、同じ糸に加わる力はどこでも同じ
滑車の問題では、同じ糸が複数の滑車につながっていることがあります。
この場合、同じ糸であればどこでも加わっている力は同じになります。
2、はたらいている力を図に書き込む
滑車の問題では、糸ごとにさまざまな力がはたらきます。
そこで、どの場所にどのくらいの大きさの力がはたらいているかを、その都度書き込んでいきましょう。
3、力のつりあいを考える
力のつりあいを考えることは、滑車だけでなく、力が関係するほかの単元でも重要です。
物体が静止しているとき、物体にはたらいている力はすべての方向でつりあっています。
滑車の場合には「上下方向」しか力がはたらいていないことがほとんどです。ですから「上向きの力の合計」と「下向きの力の合計」がつりあっているということになります。
糸を引く距離の求め方
糸を引く距離の求め方としてまず知っておきたいのが「仕事の原理」を使う方法です。
仕事の原理とは、中学受験の範囲で説明すると「物体を動かすとき、力の大きさと動かす距離は逆比になる」ということです。
つまり、おもりの半分の力で糸を引くとき、おもりの倍の距離を動かさなければいけない、ということです。
ただし、仕事の原理が使えるのは「滑車の重さを考えないとき」に限ります。
滑車の重さを考えるときは、一度、滑車の重さを考えないものとして糸を引く力を求めます。
滑車の重さを考えても考えなくても、糸を引く距離は変わりません。ですから、滑車の重さを考えないで求められる力の大きさから、糸を引く距離が求められます。
例題
それでは、ここまで紹介した解き方を使って問題を解いてみましょう。
<例題>
下の図において、120gのおもりを10cm持ち上げるためには、右側の糸を何gの力で何cm引けばいいでしょうか?
今回は、滑車の重さは考えないものとします。
まずは、糸を引く力の大きさを考えます。
先ほど説明したやり方のとおりに図に力を書き込むと、次のようになります。
まず、左下の滑車に加わる力を考えます。
この滑車の両端につながっている糸は、1本の糸になります。ですから、これらの糸に加わっている力はそれぞれ同じです。
するとこの滑車には、下向きに120gの力が、上向きに同じ大きさの2つの力がかかっています。
「上向きの力の合計=下向きの力の合計」なので、上向きの力はそれぞれ60gと求められます。
同じように、真ん中の滑車でも力のつりあいを使うと、滑車の両端の糸に加わっている力は30gです。
この糸は、右側の引っ張る糸と同じ糸なので、糸を引く力も30gとなります。
次に、糸を引く距離を考えます。
120gのおもりを30gで引いているので、力の大きさは \(\frac{1}{4}\) になっています。
よって糸を引く力は、4倍の「40cm」です。
滑車の数が増えた場合でも、このような操作を繰り返していくことで、糸を引く力の大きさや距離を求めることができます。
まとめ
今回は、滑車の問題を解くポイントを紹介しました。
紹介したポイントは、発展的な問題でも重要になってきます。
まずは、シンプルな問題を解く段階から意識して練習していきましょう。
※記事の内容は執筆時点のものです
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