学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小5理科/物理】滑車の問題のポイント|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2024年9月25日 倉石圭悟

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。
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国語算数社会

こんにちは、倉石です。

今回は、滑車の問題を解くポイントをいくつか紹介します。

滑車に限らず、「力の問題」では基本的な解き方をしっかり身につけることが大切です。

“なんとなく解ける”ではなく、応用問題にも通用する解き方を早めに身につけましょう。

糸を引く力の求め方

まずは、糸を引く力の求め方についてです。

滑車やひもに加わる力の大きさを求めるときに重要なポイントは、主に3つあります。

  1. 同じ糸に加わる力はどこでも同じ
  2. はたらいている力を図に書き込む
  3. 力のつりあいを考える

 

1、同じ糸に加わる力はどこでも同じ

滑車の問題では、同じ糸が複数の滑車につながっていることがあります。

この場合、同じ糸であればどこでも加わっている力は同じになります。

2、はたらいている力を図に書き込む

滑車の問題では、糸ごとにさまざまな力がはたらきます。

そこで、どの場所にどのくらいの大きさの力がはたらいているかを、その都度書き込んでいきましょう。

3、力のつりあいを考える

力のつりあいを考えることは、滑車だけでなく、力が関係するほかの単元でも重要です。

物体が静止しているとき、物体にはたらいている力はすべての方向でつりあっています。

滑車の場合には「上下方向」しか力がはたらいていないことがほとんどです。ですから「上向きの力の合計」と「下向きの力の合計」がつりあっているということになります。

糸を引く距離の求め方

糸を引く距離の求め方としてまず知っておきたいのが「仕事の原理」を使う方法です。

仕事の原理とは、中学受験の範囲で説明すると「物体を動かすとき、力の大きさと動かす距離は逆比になる」ということです。

つまり、おもりの半分の力で糸を引くとき、おもりの倍の距離を動かさなければいけない、ということです。

 

ただし、仕事の原理が使えるのは「滑車の重さを考えないとき」に限ります。

滑車の重さを考えるときは、一度、滑車の重さを考えないものとして糸を引く力を求めます

滑車の重さを考えても考えなくても、糸を引く距離は変わりません。ですから、滑車の重さを考えないで求められる力の大きさから、糸を引く距離が求められます。

例題

それでは、ここまで紹介した解き方を使って問題を解いてみましょう。

<例題>

下の図において、120gのおもりを10cm持ち上げるためには、右側の糸を何gの力で何cm引けばいいでしょうか?

今回は、滑車の重さは考えないものとします。

 

まずは、糸を引く力の大きさを考えます。

先ほど説明したやり方のとおりに図に力を書き込むと、次のようになります。

 

まず、左下の滑車に加わる力を考えます。

この滑車の両端につながっている糸は、1本の糸になります。ですから、これらの糸に加わっている力はそれぞれ同じです。

するとこの滑車には、下向きに120gの力が、上向きに同じ大きさの2つの力がかかっています

上向きの力の合計=下向きの力の合計」なので、上向きの力はそれぞれ60gと求められます。

 

同じように、真ん中の滑車でも力のつりあいを使うと、滑車の両端の糸に加わっている力は30gです。

この糸は、右側の引っ張る糸と同じ糸なので、糸を引く力も30gとなります。

 

次に、糸を引く距離を考えます。

120gのおもりを30gで引いているので、力の大きさは \(\frac{1}{4}\) になっています。

よって糸を引く力は、4倍の「40cm」です。

 

滑車の数が増えた場合でも、このような操作を繰り返していくことで、糸を引く力の大きさや距離を求めることができます。

まとめ

今回は、滑車の問題を解くポイントを紹介しました。

紹介したポイントは、発展的な問題でも重要になってきます。

まずは、シンプルな問題を解く段階から意識して練習していきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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