夫婦や祖父母間で中受への意思統一ができない!│中学受験塾のトリセツ#47
「中学受験は親子の戦い」と言われますが、夫婦間で意見が食い違うこともめずらしくありません。
夫婦間ではまとまっていても、祖父母とは意見が異なるケースもあるでしょう。
けれど中学受験に挑むなら、子どもが迷わず全力で受験に臨める環境をつくってあげたいもの。
そのためには、子どもを取り巻く大人の意見を統一させておくことも重要な要素です。
今回は、夫婦や祖父母間で中受への意思統一ができない理由と、その対策についてお話しします。
Contents
どうして意見が割れるのか
子どもの中学受験に対して意見が割れるのは、めずらしいことではありません。
夫婦のどちらかが率先して情報を集め、もう片方がそれに従うというケースが多いのではないでしょうか。
以前は母親がメインの家庭が多かったですが、最近では在宅勤務などもあり、父親のかかわりが増えているように感じます。
たとえば塾後に子どもを迎えに来たり、塾との連絡窓口になっていたりと、学習面だけでなく受験生活そのものを熱心にサポートしているお父さんも多いです。
結果、夫婦どちらも中学受験に積極的にかかわることで、意見も割れやすくなっているのではないかと思います。
中学受験自体への認識が違うから
意見が割れる理由として、そもそも夫婦間で中学受験自体への認識が異なっているケースが挙げられます。
高校や大学とは違い、中学は受験をしなくともどこかへ進学できます。
小学生が友だちや家族との時間を削って、夜遅くまで勉強をすることに疑問を抱く人もいるでしょう。
一方で「中学受験は大変なものだから、他をすべて犠牲にするくらいでないと」と考える人もいます。
高学年では寝る時間を削って勉強し、学校行事への参加や家族旅行をひかえるのが当然という認識です。
このように中学受験自体への認識が異なると、意見が割れるのも自然なことのように思えますね。
中学受験への経験が違うから
中学受験への認識は、実際に自分が経験したかどうかにも左右されます。
中学受験を経験している人は、自身の経験が良くも悪くもひとつの指針となります。
「自分はこの時期には○時間は勉強していた」「このレベルの問題は簡単にできた」「親にはこういうことをしてもらった」などです。
たとえば中学受験を考えず公立中学へ進んだ夫と、中学受験を経験した妻であれば、意見が割れるのも自然なことですよね。
また、自分が親として中学受験を支えた経験がある祖父母だと、親である夫婦に「こうすべき」といった意見が出ることも考えられます。
今の中学受験に対する情報量が違うから
中学受験に関する情報量の違いは、認識の違いに繋がります。
たとえば妻が率先して情報を集めている場合、妻は今の情報で、夫は自分の時代の認識で話してしまうため、感覚の食い違いが生まれるということも。
また、最新の情報を集めている妻は現実が見えて焦ってしまいがちです。
情報を集めるでもない夫の発言が、無責任なアドバイスに聞こえてしまうという話は、私自身も心当たりがあります。
これは年代に差がある親と祖父母でも起こりやすく、地域差も関係してくるでしょう。
意思統一ができないと子どもがつらくなる
夫婦間で意思統一ができなかったり、親と祖父母の意見が対立したりすると、勉強時間や志望校決定などがスムーズにいかないこともあります。
大人の意見がまとまっていないと、子どもは誰の話を聞けば良いかわからなくなってしまうんですよね。
たとえば、親に言われたことをしてみたら祖父母に嫌な顔をされた、という状況は避けたいものです。
また、夫婦間で意思統一ができないと、塾との連携が取りにくくなります。
塾講師として学習相談に答えるかたちで保護者に電話をしたとき、「母親はそう言っているのですが私(父親)としては……」と一向に解決しないこということも、実際に何度かありました。
塾側では「ご家庭で話し合ってください」としか言えないので、家庭内である程度方向性が定まっていたほうが塾との話し合いもスムーズですね。
意思統一が難しいときはどうすればいい?
では、意思統一が難しいときはどうすればいいのでしょうか。
話し合って意見をすり合わせるのが良いとは思いますが、それができれば苦労はしないんですよね。
家庭によって状況はさまざまなので、「こうすれば誰でも解決」という完全な解決策はありませんが、試してみてほしいものをいくつか紹介しますね。
情報をアップデートする
中学入試は多様化し、中学校も変わっています。
夫婦も祖父母も合わせて、中学受験にかかわる保護者はみんなで情報をアップデートしてみましょう。
たとえばかつては偏差値40未満だった「渋谷女子中学校」は共学化し、現在は「渋谷教育学園渋谷中学校」となって偏差値も60を超えています。
親世代が子どもの頃といえば約20年前で、その頃と比べると中学校の形態も偏差値もずいぶん変わっています。
一気に情報を詰め込むのは難しいので、まずは塾や情報サイトにある学校一覧や偏差値を見てみると良いでしょう。
子どもの考える志望校について、最新の偏差値を知ることで話し合いもしやすくなります。
私の場合、娘の志望校を祖父に話したところものすごく嫌な顔をされました。
そして、「え、あのバカ学校に行かせるの?」と言われたんですよね。
私の親なので40年以上前のイメージだけでしゃべってしまったようですが、娘の志望校をそんな風に言われるのは心外でした。
しかしパンフレットや偏差値表を見せると印象もアップデートされたようで、施設や進学実績、系列校の情報を知ると一転して応援ムードとなりました。
やはり実際に今の情報を知るのは大事なのだなと思ったエピソードです。
最新のデータに目を通すことは意見のすり合わせに効果的だと思います。
フラットに子どもに意見を伝える
夫婦間で異なる考えを無理矢理合わせるのは難しいですよね。
志望校などについて意見が違うこともあるでしょうし、夫婦の意見に祖父母が賛成しないという場合もあるでしょう。
家族関係が良好で、子どもが親の話を真面目に聞けるなら、親や祖父母の意見の違いをそのまま伝えるのも良いと思います。
ポイントは、それぞれをひとつの意見としてフラットに伝えること。
「母はこう思う、父はこう思う、祖父母はこう思う。あなたが決めていいんだよ」というように、選択肢として提示できると子どもも落ち着いて聞けるのではないでしょうか。
選択肢があることで視野が広がり、ひとつがつらくなったときに他に逃げられるというメリットもありますね。
大事なのはストレスを抱えないこと
保護者間での意思統一はできるに越したことはありませんが、無理に合わせようとしてケンカになるのも良くないですよね。
子どもの将来がかかっているため、意見が異なるのは仕方がないことです。
その中で、情報をアップデートしつつ適宜話し合いをしていくのがベター ではありますが、意見の完全な一致を見ないことも当然出てくると思います。
その場合、入試に向けて子どもの心はどんどんデリケートになるということを思い出し、
子どものために保護者間の空気が悪くなるのは避けようという点でなら合意できるのではないでしょうか。
塾や志望校を選ぶのも、入試のために勉強をするのも、保護者ではなく子どもです。
子どもが迷わず前に進めるよう、ストレスを抱えない範囲で話をして意見をすり合わせていってほしいと思います。
※記事の内容は執筆時点のものです
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