連載 ホメ夫先生のやる気引き出し術

中学受験の強敵単元「割合」どうやって克服する?|全力珍回答! ホメ夫先生のやる気引き出し術(28)

専門家・プロ
2016年9月28日 辻義夫

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こんにちは。

9月ですが、また蒸し暑さが戻ってきていますね。

この蒸し暑さのなか、麻婆豆腐の「激辛」を頼んだら「残す者が多い」という理由でプラス500円取られる中華料理屋さんで「中辛」を頼んだら、全身水をかぶったように汗だくになってしまった辻・アインシュタイン・ホメ夫です。

さて、今回の話題はお父さん、お母さんも覚えているかもしれない強敵である単元「割合」です。

正しい意味やニュアンスが正確な理解につながるとは限らない

「割合」の単元を考える場合、

・もとにする量
・くらべる量
・割合

この3つの言葉が登場します。

もとにする量 × 割合 = くらべる量

という関係があるのですが、この3つの言葉のせいで割合の単元がわからなくなってしまうお子さんが多いのも事実です。

言葉の持つ正しい意味やニュアンスを知るのも大切なことですが、何よりそれが原因でわからなくなってしまうと本末転倒です。

英語が苦手だったホメ夫は、中学生で関係代名詞を習ったとき、先生が

「I know a boy whose father is a doctor」

(私はお父さんが医者をしている少年を知っている)

という英文の訳を

「私は父が医者であるところの少年を知っている」

と言ったので、そのとたんわからなくなった記憶があります。

割合はつまり『何倍』ってこと!子どもが納得できるように工夫して伝える

さて、ある日算数のテキストを持って、口を尖らせながらホメ夫のところに質問にやってきたUさん。テキストの割合の単元を開いています。

Uさん:先生、この『もとにする量』ってあるけど、何をもとにしようと人の勝手じゃん。

聞きようによってはなんとも身勝手な意見ですが、気持ちはわからなくはありません。確かにわかりづらい(^^)

Uさん:先生、なんでこんなわかりづらい表現になってんの?

ホメ夫:確かにわかりづらいよね。じゃ、そんな言葉は忘れてしまおう。

Uさん:えっ?いいの?

ホメ夫:とりあえずいいよ。「割合は『何倍』ってことだ」とだけ覚えといて。

Uさん:わかった」

ホメ夫:たとえば、

「□円の25%は1240円です。」

っていう問題があるとするよね。

Uさん:25%が「割合」だよね。

ホメ夫:そう。25%は0.25のことで、割合は『何倍』ってことだから、

□円の0.25倍は1240円です。

□× 0.25 = 1240

ってことになるね。

Uさん:1240 ÷ 0.25 で□がわかる!

ホメ夫:そう。もう一問いこうか。

「1200円の□割は480円です。」

Uさん:1200円の□倍が480円だから、1200 × □ = 480 だね。

ホメ夫:そうだね。だから?

Uさん:480 ÷ 1200 で0.4!つまり4割!

ホメ夫:その通り!

こうなってくると、もう割合への抵抗感はなくなっています。

このやり取りをどんどん続けて、完全に慣れ親しんだ後に「もとにする量」の話をすると、すんなり納得してくれました。

「ハードルを下げる」を実践してみてください

最初に気持ちのハードルを下げる、というこの方法、さまざまな科目、分野で使うことができます。

たとえば浮力。

「アルキメデスの原理」をはじめに長々と説明されても、子どもたちの頭の上には「?」がたくさん浮かぶだけ。

こんなときは「とりあえず難しいことは忘れて、君が『水さん』の気持ちになって考えてね。幸せに住んでいた水さんたちの村に、よそ者が入り込んできました!さぁ、どうする?」

と言ってあげれば「追い出す~!」と元気な答えが返ってきます。

水が押しのけられた分だけ押し返す、ということをすっと納得するんですね

言葉は大切ですが、難しいものですね。

いろんな声かけ、例えなどの工夫で、お子さんの「納得感」を高めてあげたいものです。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです

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