連載 脳を育てる勉強法|ドクター吉田

勉強効率の低下は寝返り不足が原因かも? 受験医学のカリスマ、ドクター吉田の脳を育てる勉強法(11)


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入試が近づいてくると、多くの受験生が、夜中や明け方に目が覚めてしまうという症状に悩まされます。緊張するためだから仕方がないと、あきらめてしまう方も多いのですが、ちょっと待ってください。実は、寝返りの不足が原因となっている場合も少なくないことがわかってきたのです。

寝返り不足がもたらす悪影響

人間は、寝ている間、一晩で平均24回も寝返りを打っています。これによって、体重の下敷きになっていた筋肉への圧迫を開放し、血液の循環を回復させています。

ところが、受験生がストレスを抱え込むと、寝返りを打たせる全身への命令が脳から十分に出なくなります。また、日中、ずっと同じ姿勢で勉強を続けるため、全身の筋肉が固くなり、寝返りを打とうと思っても身体的にできなくなってしまうのです。

寝返りが打てなくなると、脳は仕方がないので、目を覚まさせるという最終手段を取ります。もちろん、十分な睡眠が確保されたから目が覚めるというわけではないので、日中は頭が働かず、勉強の効率も上がりません。

また、首や肩、それに背中にコリや痛みを抱える受験生も増加しています。寝返りが打てないことは、その原因にもなっているのです。

最近、寝返りが不足している中高年の方は、睡眠中に腰を圧迫することで、腰痛の原因になっていることがわかり、注目を集めています。若い受験生の場合、腰痛になるのはマレで、首・肩・背中に痛みやコリが生じる場合が多いのです。受験勉強の姿勢が、こうした部分に負担をかけ、さらに寝返りの不足が追い打ちをかけるためです。

寝返りを打って朝まで熟睡しよう

こうした症状を防ぐためにも、寝返りをしっかり打ちたいところです。そのために、真っ先にやっていただきたいのが、ベッドのマットレスを変えること。やわらかいマットレスは、起きているときには気持ちがいいものですが、寝てしまうと身体が沈み込み、寝返りが打てなくなります。マットレスはかためのものが望ましいのです。

また、私のクリニックでは、寝る前に5分程度、ストレッチ体操を行うよう指導しています。こうして全身の筋肉をほぐしてから眠ると、寝返りが簡単に打てるようになるので、朝まで熟睡するのに役立つのです。

「ヨガ用のピンクのマットを通販で買って、毎晩、楽しくやってます!」などと、受験生も前向きに取り組んでくれていて、すっかり熟睡できるようになり、志望校に合格した方もたくさんいます。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。


吉田たかよし(医学博士・心療内科医師)

灘中学、東京大学、国家公務員上級経済職試験、医師国家試験などの合格体験を元に、日本で初となる受験生専門の心療内科、本郷赤門前クリニックの院長を務める。カウンセリングと最新の磁気刺激治療を組み合わせ、「受験うつ」から早期回復を図るプログラムを開発。脳科学と医学を応用した受験指導にも取り組む。『今どきの大人を動かす「ほめ方」のコツ29』(文饗社)など著書60冊を上梓。

本郷赤門前クリニック
https://www.akamon-clinic.com/


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※記事の内容は執筆時点のものです

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