連載 中学受験は親と子の協同作業

6年生 苦手克服は10月までに終わらせる|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.16

専門家・プロ
2018年10月11日 石渡真由美

入試本番4ヶ月前のこの時期でも、ほとんどの子どもは苦手教科や苦手単元を抱えています。みんながそうだからといって、そのまま放っておくわけにはいきません。教科全体の底上げをはかったり、欠けている知識を覚えたり、知識どうしのつながりを再確認しながら、少しでも得点力を上げる必要があります。

苦手の克服は、本来なら夏までに終わらせることが理想です。でも、実際はそれができている子などごくわずか。そこで、秋以降も続けていくことになりますが、入試直前までやるのはおすすめしません。それは、なぜでしょう?

10月は疲れが出やすい時。たくさん勉強するより苦手単元をコツコツ取り組むのがベター

前回記事『秋から始まる合否判定模試 模試を受ける注意点は?』では、受験生の秋の過ごし方をお伝えしました。

“受験の天王山”と言われる夏休みは、どの受験生もみんな一生懸命に勉強をしてきたことでしょう。9月・10月はその疲れが出やすいうえに、学校によっては運動会の練習が続きます。

気力・体力が消耗している時に、まだやり残していることがいっぱいあるからといって、たくさん勉強をさせても、あまり効果は期待できません。この時期は、過去問など新しいことをさせるよりも、苦手単元を丁寧に取り組む方がいいでしょう。

苦手分野の克服は、ピンポイントでじっくり取り組むことをおすすめします。まずは「どの教科の」「どの単元の」「どの部分」が苦手なのかを明確にします。そこを集中的に補うとよいのですが、その判断を家庭で行うのは難しいかもしれません。

その時は、塾の先生に相談をしてみるといいでしょう。しかし、この時期は塾の先生も忙しく、一人ひとり丁寧に見てもらえない場合もあります。そんな時は、家庭教師や個別指導塾(ただし1対1であること)の力を借りるのも一案です。その子の弱点をすぐに正確に捉え、その子に合わせた対策をとってくれるという点では効果は大きいでしょう。

ただし、家庭教師にもいろいろな人がいるので、「良い家庭教師」を見極める必要があります。良い家庭教師の見極め方はこちらの記事『入試直前期 逆転合格を導く「家庭教師」の見極め方』を参考にしてください。

結果が出にくい10月の模試。苦手教科を10点上げられたらOK

苦手単元の勉強というのは、子どもにとっては楽しいものではなく、気分は上がりません。

そして、残念なことに苦手単元を一生懸命勉強しても、著しく成績が上がるわけではありません。むしろ、苦手単元の勉強に時間をとられている間に、得意科目の知識が抜けてしまい、全体的には横ばいか、またはさらに成績が下がってしまうことが多いのです。

苦手教科で10点上げても、残り3教科がそれぞれ8点ずつ下がれば10-8✕3=-14ですから合計点は14点下がることになってしまいます。

でも、それは仕方がないことなのです。

10月の合否判定模試で思うような結果が出なくても落胆しないでください。苦手単元を集中的に取り組んでも、その成果はすぐには出ません。

その教科が10点上がれば、大成功と言えるでしょう。ぜひほめてあげてください。親御さんからすれば「たった10点で?」と思うかもしれませんね。でも、この10点が合否を分ける可能性が高いのです。

9月・10月は4科合計の成績が下がってしまっても、必要以上に心配したり、慌てたりしないでください。親の動揺は子どもに伝わるので、「今はこういう時期なのだ」とドンと構えましょう。

9月・10月でしっかり苦手単元を克服し、11月から徐々に成績を上げ、入試本番にピークを持ってくるのが一番理想的な形です。

私はこれを「合格の黄金曲線」と呼んでいます。この曲線を頭の中で描き、「この子は今、ここにいるのだな」と客観的に捉え、今やるべきことに集中しましょう。

11月になったら苦手単元を深追いせず、4教科の総合点を上げることに切り替える

11月からは4教科の総合点を上げていく勉強に切り替えていきます。苦手単元がまだ完璧に克服できていない状態でも、深追いはしてはいけません。「苦手単元の克服は10月まで」と割り切って、11月からは4教科全体の得点力を伸ばすことにシフトチェンジするのです。

11月の家庭学習は過去問を解くことがメインになります。過去問の取り組み方についてはこちらの記事『過去問はいつから始めればいい? どう取り組めばいい?』をご参考ください。

11月からの学習で大切なことは、子どもに自信を持たせることです。そのためには、得意科目や得点に結びつきそうな問題で確実に得点力を伸ばしていきましょう。こうして「合格に直結する学習」を進めていきます。

中学受験は4教科の総合点で合否が決まる。みんな苦手を残したまま本番を迎える

中学受験は4教科の総合点で合否が決まります。まだ算数にいくつか苦手単元が残っている状態だとしても、それらをすべて克服するのは難しく、現実的ではありません。上位クラスで難関中学を受験する子でも、みんな何かしらの苦手を残したまま本番を迎えることになります。

でも、それでいいのです。中学受験の入試で満点をとる子などほとんどいないのですから。合格に必要なのは、合格最低点をクリアすることであり、満点をとることではありません。

苦手単元の勉強は10月までと割り切って、11月から本番までは得意分野の学習を進めることで、得点力を伸ばしていきましょう。得意分野の学習は、子どもに自信を与え、「自分はできるんだ!」「絶対に合格するぞ!」という気持ちにさせます。小学生が挑む受験は、この自信が何よりも大きな力になります。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。