連載 中学受験は親と子の協同作業

入塾テストの算数ってどんな問題が出るの?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.21

専門家・プロ
2018年11月19日 石渡真由美

11月に入り、各大手中学受験塾では、来年度の新4年生コースに向けた入塾テストがスタートしました。中学受験の“はじめの一歩”となる入塾テストの重要性は、以前の記事『目標は上位クラス 秋から始める入塾テスト対策』で説明していますので、ぜひこちらをご参考ください。

「入塾テストで上位に入ることが大事」ということが分かっていただけたという前提で、今回は改めて入塾テストがどんなものかを説明していきましょう。

中学受験で好スタートを切るために今からしておきたいこと

各大手中学受験塾の新4年生コースに向けた入塾テストは、3年生の11月・12月・1月に受けるのが一般的です。

その後も、月に1回程度は入塾テストを実施しているので、4年生になってから入塾することも可能ですが、一度カリキュラムがスタートしてしまうと、途中からついていくのが大変になるので、できれば3年生の2月に入塾することをおすすめします。

さて、その入塾テストを受けるタイミングですが、「上位クラスに入る」ことを目標に進めていくといいでしょう。

入塾テストは、11月からスタートしますが、何度か受けるチャンスがあるので、最初の11月は予行練習と考えて、12月や1月の入塾テストに照準を合わせて準備を進めるという手もあります。

1回目は会場の雰囲気にのまれて実力を発揮できないこともあるからです。本命の塾の入塾テストの前に、別の塾で“お試しテスト”をして、肩馴らしをしておくのもいいかもしれません。また、2回目以降の入塾テストでも成績が振るわなかった場合は、別の塾を検討してみるのも手です。

私の考えでは、レベルが高いと言われる塾で一番下のクラスに入るよりも、別の塾で上位クラスに入れるようなら、そちらをおすすめしています。なぜなら、大手進学塾のカリキュラムは、上位クラスの子が有利になるように設定されているからです。

小学校のテストと入塾テストの違い

入塾テストは「算数」と「国語」の2教科で、それぞれ40分程度の時間で行われます。今回は「算数」のテストについて説明をします。

中学受験に挑戦する子というのは、おそらく小学校では成績が良く、テストではいつも100点に近い点を取っていると思います。しかし、入塾テストは、小学校の算数のテストよりもはるかに難度が高く、何かしらの対策をとっていなければ、高得点をとるのは難しいでしょう。

入塾テストの「算数」で問われる力は、大きく分けて次の3つです。

[1]正確でスピーディーな計算力
⇒ 計算問題

[2]短い文を理解し、和差積商(+−×÷)を判断する力
⇒ 一行問題

[3]長い文を道筋立てて理解し、試行錯誤する力
⇒ 応用問題

中学受験では、小学校で習う範囲の学習を超えてはいけないという規定があります。確かに学習範囲は超えていないのですが、難しさは小学校の勉強をはるかに超えています。その難しい問題を解けるようになるための場として大手中学受験塾が存在します。

入塾テストは、これから勉強していく難しい問題を解くための基礎ができているか、素質があるかを見極めるために行われるもの。そのため、テストの内容も難しく設定されています。

こちらに小学校のテストと入塾テストの違いをまとめてみました。

  小学校の学習 入塾テスト
計 算 1段階の計算まで 四則混合、かっこの計算も出題。
3桁の和と差
応 用 小学校ではやらない 「もしこうだったら」「こうなるためには」という、次の1つ前を考える問題
⇒最難関校受験に必要な思考習慣
文章題 和差積商の単独問題 混合・言葉と記号のつながりの理解を問う
問題量 標準 小学校のテストの2〜3倍を同じ時間で解く
文字数 標準 これまで子どもが見たこともない文字数

入塾テストで高得点をとるには、問題に慣れることが大事

入塾テストで高得点をとるには、まず問題傾向に慣れておくことがアドバンテージになります。入塾テストは、単純そうに見える計算問題でもあちこちに「ひっかけ問題」が仕込まれていて、知らずに解くとつい間違えてしまうように作られています。

問題用紙も小学校のテストのように用紙1枚ではなく、B4サイズの問題用紙が7枚程度と非常に多く(サピックスの場合)、また文章の文字数も多めです。

このようなテストを一度も目にしたことがない子は、まずはその見た目の量にひるんでしまうでしょう。また、解き方がわからない問題にぶつかった時に、その問題に時間をかけすぎて、最後まで解けないことも多くあります。

そうならないためには、事前にテストの形式に慣れ、出題される可能性のある問題に触れておくことです。

手前味噌になりますが、この秋、「入塾テスト」に特化した学習ドリル『中学受験 入塾テストで上位に入る スタートダッシュ算数』(青春出版社)を出版しました。

このドリルでは、先に挙げた入塾テストの「算数」で問われる3つの力を第1〜第3章に章立てし、それぞれの練習問題と解説、ポイントを紹介しています。また第4章では、問題集と模擬テストもあります。各大手受験塾のこれまでの入塾テストを参考に作成していますので、このドリルをしっかり取り組んでいただければ、上位クラスが十分に狙える内容となっています。

やってみよう! 西村則康 作成の入塾模擬テスト

さて、最後にこちらのドリルから応用問題を一題、ご紹介しましょう。「えっ!? こんな問題が出るの?」と驚かれる親御さんも多いかもしれません。

幼少期から「迷路」に親しんでいた子は、感覚でスラスラと解けるかもしれませんが、ここで大切なのは「ルールに沿って解く」ことです。

では、早速やってみましょう!



いかがでしたか?

初めはうまく解けないかもしれません。でも、それはこうした問題に慣れていないだけのこと。何度かやっていくうちに、パターンが身につき、力もついていきます。

こうした問題に立ち向かっていくには、「よし、解いてみるぞ!」「私ならできる!」と自己肯定感を持たせることが大事です。それには、親御さんのほめ言葉がカギとなります。

「さすがだね!」
「ちゃんと読めば、こんなに難しい問題も解けるんだね」
「すごい!どうやって解いたの? お母さんにも教えて!」

こうした言葉が、お子さんのやる気をアップさせます。そして、こうした親の前向きな声かけが、これから中学受験の勉強を進めていく上で、とても重要になってくるのです。ですから、親御さんもこれから中学受験をサポートする“はじめの一歩”として、ぜひこの声かけを練習してみましょう。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。