ほとんど私が教えている気がする……塾に通う意味はあるの?│ 中学受験塾のトリセツ#05
塾で勉強してきているはずなのに、家で復習や宿題に取りかかろうとすると、わからないところばかりの我が子。
結局親が教えることになってしまうなら、塾に通う意味はあるのだろうかと考えてしまうこと、ありますよね。
我が家でも、塾の授業時間以上に私が勉強を教えている……ということもよくあります。
もちろん、中学受験には親の学習サポートが欠かせませんが、「親がほとんど教えている」と感じるほどの状況は、はたして正しいといえるのでしょうか?
子どもをうまく指導してほしくて通塾しているはずなのに、親へとのしかかる学習指導の負担が重すぎる……。
個別指導塾や家庭教師という選択肢をとる前に、今、通っている塾をもう少しうまく利用できないかしら。
この記事では、そんな悩みをお持ちの保護者さんに向けて、現状を改善するきっかけや考え方についてお話します。
Contents
塾にお任せでうまくいくことは珍しい!
まず現実的なお話として、残念ながら、多くの場合、塾に任せているだけでは、中学受験はうまくいきません。
もちろん、塾で身につくことはたくさんありますが、塾にいる数時間で習った知識やテクニックを自分のものとして定着させるためには、授業以外の時間に家庭学習が必須です。
そして、一般に小学生は遠い目標に向かって1人で家庭学習ができるほど成熟していません。
とはいえ、親が1から10まで教え直さなければいけないようでは、塾に通っている意味が感じられませんよね。
理想はあくまでも、親は「子どもが塾で学んだことを身につけるためのサポート役」という立ち位置になること。
理想に近づけばそれだけ、子どもをサポートする親としての負担も、軽くなっていくはずです。
まずは今、子どもがどういう状況にいるのかを見極めたうえで、もう少しサポート役に回れないかを検討してみましょう。
親が子どもに勉強を教える時間が伸びる3つの理由とその対策
親が子どもに勉強を教える時間が伸びていく理由には、主に次のようなものがあります。
- 子どもが塾の授業を理解できていない
- 子どもが家庭学習を一人でできない
- 教えなくていいことまで教えてしまっている
1. 子どもが塾の授業を理解できていない
子どもが塾の授業そのものを理解できてない場合は、早急に改善が必要です。まさしく「通っている意味がない」状態にかなり近いからです。
授業が理解できない原因としては、たとえば次のような理由が考えられます。
- 人間関係や教室の雰囲気などが原因で、塾の授業に集中できていない
- 塾やクラスの進度が合っていない
- 塾の授業を理解するために必要な、家庭学習ができていない
まずは原因の見極めのために、子どもに授業の様子を聞いてみるのが良いでしょう。
子どもが使っている授業用のノートもチェックしてみると、より授業中の様子がわかります。
もしノートに余白が目立つようなら、授業に集中できていないかもしれません。
授業中にしっかりノートをとって家で見せるよう伝えると、授業へのモチベーションが上がる子もいるので、試してみてください。
進度が合わない。もしくは家庭学習をしっかりこなしているのに授業を理解できていない場合は、塾に相談するのが手っ取り早いでしょう。
家では見せない顔を塾では見せている、ということもあります。
今の家庭学習状況が正しいのか、改善法をアドバイスしてもらえることもあるはずです。
2. 子どもが家庭学習を一人でできない
家庭学習を一人でできないというのは、多くの小学生にとっては当たり前のこと。ある程度サポートは必要と割りきったうえで、子どもの成長具合をみきわめながら、少しずつ手を放していくことを目指しましょう。
とくに、一日の勉強スケジュール作成や、勉強を始めるタイミングの管理は、多くの子どもが苦手とするポイントです。ここはぜひ、親が助けてあげたいところですね。
漢字の書き取りや単語帳を使うような反復学習も、一人で黙々とやっているだけでは、なかなか内容が頭に入らないという子は多いです。
ただ、ずっと横にいて見張っているのではなく、合間合間で、たとえばクイズ形式の声掛けをするなどしてリフレッシュをサポートすると、同じ課題でも子どもがやる気を出してくれることがあります。
宿題の採点が親の役割というケースも多いと思います。4年生ぐらいまでは、まだまだ採点には親の目が必要ですが、ある程度学習習慣がついているようなら、少しずつ自己採点もさせてみるといいですよ。
採点も学習のうち。採点しながら自分の答えと解答を見比べることで、自分の理解度をあらためて意識するチャンスが作れます。
まずは算数など答えに幅のないものから採点をさせ、徐々に、できることを広げていきます。
慣れないうちは、採点後に親が確認してあげると安心です。
10問まとめて大きく丸をつけていたり、バツがあるのに100点と書いていたりしたら、採点が雑な可能性があります。
一人で採点までやりきったことを褒めつつ、間違いは指摘して、正確に採点できるよう促してあげてください。
家庭学習は本人がメインで進めるもの、という意識を持たせることが大切です。
3. 教えなくていいこと まで教えている
「本当にこんなことまで親が教えなくてはいけないの……?」と思っていたら、本当は教えなくていいどころか、教えないほうがよかった、ということもあります。
中学受験では、親が勉強を教えることには、次のようなデメリットもあると知っておきましょう。
- 学年が進むにつれて学習内容が難しくなり、わかっているつもりの親もきちんと理解できていない
- 塾で習った解法と違うことを教えてしまい、実際のテストでは役に立たない
- 親子という近い距離感ゆえに、お互い感情的になってしまう・素直に言うことが聞けない。期待する学習効果が得られない結果に
もちろん、親子関係は家庭の数だけさまざまなので、「親塾」でうまくいくケースもあります。
でも、基礎的なこと、テキストや解答に書いてあること以外を親が教えなければならない事態になっていて、その負担を親として重く感じているようなら、一度、思いきって直接教えるのをやめてみるのがいいでしょう。
そして、基礎的なこと、書いてあることで理解できないものがあれば、塾の先生に聞くように子どもに促してみましょう。
塾で聞くのが嫌だから、何が何でも自分で理解しようと奮起するお子さんもいますよ。
親が直接教えるのでなく、「どこを読めばわかるか」「何を調べればわかるか」といったヒントだけを提示するという方法もあります。
子ども一人で勉強できるようになることを最終目標に、できないなら、その一部だけを肩代わりするようにしていくと、子どもの自主性も育っていきます。
何より、親が「なんでもかんでも私が教えなくちゃ」という不要なプレッシャーを手放すことで心理的に楽になるなら、子どもにとってもそのメリットは大きいはずですよ。
子どもの自立をサポートしよう!
せっかく塾に通っているのだから、塾をうまく利用して、学習にいかしたいですよね。
「こんなことまで親が教えなきゃいけないの?」と思ったら、「教える」というより「答えへと導く」ことを意識して、親としての役割を少し見直してみましょう。
あくまで、子どもが自分で勉強できるようになることが目標で、そこに向かって導いていくのが親の役割だと考えてください。
一ヶ月二ヶ月の短いスパンではなかなか変化は見えないかもしれません。ぜひ、長い目で見てあげてください。
子どもの成長には大きな個人差がありますが、どんな子どもにも中学受験は6年生のタイミングでやってきてしまいます。なかには、自分で学習できるようになるタイミングが受験の前にはこないという子どももいます。
それでも、受験の先のことを考えれば、少しずつ自主性を養うよう子どもをサポートする親の努力が、無駄になることは決してありません。
少しずつ子ども自身が勉強することを学び、親はそれをサポートするという方向へ切り替えていけるとよいですね。
※記事の内容は執筆時点のものです
とじる
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