連載 中学受験は親と子の協同作業

4・5年生 新学年を迎える前に心がけておきたいこと|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.25

専門家・プロ
2019年1月17日 石渡真由美

6年生の受験生は、入試本番まであと2週間。この時期の追い込みが合否を分けるかもしれないと、今一生懸命勉強をしていることでしょう。けれども、4・5年生にとってはまだ先の話で、自分事には捉えられないかもしれませんね。でも、新学年を迎える前の今の時期が、実はとても重要なのです。

大手進学塾では学年が上がるごとに学習量が増える

まずは、下の表をご覧ください。

これは大手進学塾の4年生~6年生までの3年間の学習量を表したものです。このように、4年生から5年生に学年が上がると、それまでの学習量からいきなり1.5倍に、5年生から6年生に学年が上がると、さらに1.5倍~2倍に増えます。この勉強量は1年間に少しずつ増えていくのではありません。新学年がスタートする2月を境に一気に増えるのです。

変わるのは学習量だけではありません。勉強の質も大きく変わります。中学受験の勉強は、4年生のうちは、まだ基礎的な内容のため、それほど難しくなく、反復演習と丸暗記でも対応が可能です。

ところが、5年生になると、4年生で学習した基礎知識をベースに、応用問題へと発展していきます。また、問題を速く読む、計算を速く解くなどの情報処理能力が求められるようになります。そして、受験で必要な分野の約8割の学習をし終えます。授業がどんどん進む上に、学習内容も難しくなるということです。

6年生からは大量の演習問題を解き、入試の対応力を身につけていきます。同時に、4年生から学んできた膨大な知識を再確認していかなければなりません。

つまり、いつまでも同じやり方で勉強を進めていてはいけないということです。

子どもの理解度を確認するミニ授業がおすすめ

では、どのように進めていけばよいのでしょうか? 各学年の勉強法のポイントをお伝えしましょう。

4年生までの学習は、「受験の基礎知識」を身につけるもので、くり返し学習をすればテストの点数は取れます。しかし、5年生になると、学習量が1.5倍に増えるため、これまで通りにくり返し学習をしていたら、時間が足りなくなります。

そのため、何度もくり返して覚えるやり方から、その単元の大枠を捉える学習へとやり方を変えていかなければなりません。

「この問題はこういうふうに解く」という覚え方ではなく、「このような問題のポイントはここだ」という覚え方をするのです。それには、授業の聞き方も変えていかなければなりません。

授業で初めてその単元を習ったときに、「この単元のポイントはここだな」という理解の仕方をし、納得感を得て覚えることが大事です。

この納得感さえあれば、塾から大量の宿題が出たとしても、それをすべてやる必要はありません。授業で理解できたところは省き、もう少しやれば理解が定着できそうな問題だけをやればいいのです。こうして、やるべきこととやらなくてよいことを取捨選択していきます。

しかし、子どもの「分かった!」は、当てにならないことも多いのです。本人は分かったつもりでいても、しっかり納得して分かっていなければ、「理解している」とは言えません。

理解を確かめるのにおすすめしているのが、お子さんによるミニ授業です。塾で新しい単元を習ったときに、「じゃあ、今日、塾で習ったことをお母さんにミニ授業をしてくれる?」と促し、子どもが先生役になってお母さんに教えるのです。

このとき、自分の言葉でうまく説明できなければ、おそらく納得のいく理解はできていないでしょう。このような問題を解くときに、なぜこの解法を使うのかきちんと説明ができなければ、少し数字や文章が変わっただけでお手上げになってしまいます。

うまく進める秘訣は、各学年の学習の意味を知っておくこと

中学受験の勉強を進めていく上で大事なのは、各学年の学習の意味と勉強のやり方を知っておくことです。

例えば算数なら、4年生なら「この問題はこう解く」という解法を知ることが主な学習となります。

それが、5年生になると、「この問題を解く時は、線分図と面積図の解き方があるけれど、今回は○○について問われているから、この解き方だな」といったように、自分が知っている解法の中で、どれを使うかを考える学習に変わります。

そして、6年生になると、さらに問題が難しくなり、どの解き方で解くかという選択以前に、解法自体を見つけることが課題となります。つまり、総合的に考える力が求められるようになります。

こうして、学年ごとに問題に対する取り組み方が変わってくるのです。

中学受験で成績が伸び悩んでいる子の多くは、この勉強の取り組み方を知らず、ただ闇雲に量を消化しようとしています。けれども、勉強は量ではありません。正しい勉強のやり方を身につけることが、結果につながります。

新学年を迎える今、そのことをしっかり頭に入れ、次の学年で好スタートが切れるようにしましょう。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。