連載 中学受験は親と子の協同作業

入試当日 今ある力を最大限に発揮するには?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.26

専門家・プロ
2019年1月29日 石渡真由美

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2月1日からいよいよ東京・神奈川の中学入試がスタートします。この日のために頑張ってきた受験生、それを支えてきた親御さんは、今、大きなプレッシャーを感じていることと思います。でも、ここまで来たら、あとはお子さんの力を信じてください。入試前日から当日までの過ごし方をお伝えします。

入試前日は解いた過去問の見直しを

入試前日は何を勉強すればよいのかという質問をよく受けます。親御さんとしては、まだ気になることがたくさんあると思いますが、今ここであれもこれもとやらせるのは、お子さんの気持ちを焦らせるだけ。前日はこれまで解いて過去問を見直しする程度でいいでしょう。問題文と解説を見ながら、気づいたことを書き出して、「この問題のポイントはここだな」と確認をしておきましょう。

このときに気をつけて欲しいのが、すべてを完璧にしようと思わないことです。中学入試では満点で合格する必要はありません。正解率の低い難問は捨てる覚悟で、正答率の高い問題を確実に取ることに目を向けてください。

理科・社会の暗記分野は、ポイントをまとめた暗記本などをさらりと見ておきましょう。実は多くの子は、ほとんどの知識は覚えています。でも、時間が経つうちにうる覚えになってしまっているだけなのです。それを思い起こすという目的で、“まとめ本”をさらりと見ておくだけでも効果はあります。

当日緊張しないためのイメトレをしておこう

大人でも試験や発表会など、何か結果や成果を出さなければいけないときは、緊張するものです。まして、わずか11歳・12歳の子どもが挑む中学受験。大人のように人生経験が豊富なわけではないので、当日どのような状態になるか、親にも本人にも分かりません。

そこで、ぜひおすすめしたいのが、入試当日の自分をイメージトレーニングさせることです。

朝起きてから、ごはんを食べて、試験会場へ向かい、入試に挑む自分。そのときの様子を頭で描けるように、親御さんはこんな声かけをしてあげてください。

「朝起きたら、どんな天気だった? 何か音は聞こえた?」
「うん、晴れていた。台所からお母さんが何か作っている音がした」
「お母さんは何を作っていた?」
「目玉焼きかなー」

「学校に近づいてきたよ。まわりはどんな感じ?」
「すごく人がいっぱいいる。○○先生が見送りに来てくれるって言っていたから、来ているかもしれない」

「さぁ、いよいよ試験が始まるよ。『はい、始め!』って合図があったら、まず何をする?」
「受験番号と名前を書く。それから問題を一通り見て、どういう順番で解いていくか考える」
「落ち着いているね。それなら、もう大丈夫よ」

このように、その日の自分の行動やまわりの様子をイメージしておくと、落ち着けるものです。

私のこれまでの経験からすると、試験当日、なんらかの理由でギリギリに到着する子は、実力を発揮できないケースが多い気がします。試験会場には開門時間くらいには到着しておくことをおすすめします。そうすれば、余裕を持ってトイレにも行けます。

また、中学受験ではお馴染みの“塾の見送り”では、先生と握手をして会場に向かうという流れになりますが、その時に先生の手を握りつぶすくらい力強く握る子は、なぜか合格する子が多いのです。これらはあくまでも私の経験から感じるものですが、ぜひご参考にしてください。

直前期 親が言っていい励まし・言ってはいけない励まし

入試前はとにかく否定的な言葉はかけてはいけません。合格可能性が高かったり、過去問で合格平均的を超えていたりするような子であればいいのですが、ほとんどの子は、合格ギリギリのラインにいます。そういう子は、これまでの模試や過去問の結果を見て、「今さら頑張っても……」と思い込んでしまっているので、最後までやる気を見せてくれないこともあります。

そんなお子さんの姿を見て、「そんな自信なさそうな顔をしていると、落ちてしまうわよ!」と発破をかけたくなりますが、それは逆効果。そういう子には、「さぁ、そろそろ本気出そうか!」と声をかけてあげてください。それだけでも効果があります。

また、親御さんとしてはできていないところが気になるものですが、今はもうあれこれ忠告をするのはやめましょう。でも、どうしてもひとつ言っておきたいことがあれば、こう言ってあげてください。

(問題をよく読み飛ばしてしまう子に対して)
「あなたは問題さえよく読めば、大丈夫だから」

このひと言があるだけで、「そうだ、僕は焦るとすぐ問題を読み飛ばしてしまうんだ。よし、当日は落ち着いてしっかり問題を読むぞ」と意識するようになります。

また、親御さんはよく言ってしまいがちなのが、「絶対、合格よ!」という言葉。これは、その子自身が「合格できそう」と思っている場合はいいのですが、そうではない場合は、単にプレッシャーになってしまうので控えましょう。

すべての受験生が今ある力を最大限に発揮できますように、心から応援しています!


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

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