連載 中学受験は親と子の協同作業

[4・5年生]10連休をどう活かす? GW中の理想の学習とは|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.32

専門家・プロ
2019年4月17日 石渡真由美

新年号のスタートに伴い、10連休になる2019年のGW。せっかくの休みだから「思いっきり遊びたい!」と思う反面、受験勉強もおろそかにはできない……。6年生に比べ、まだ時間的な余裕がある4・5年生は、この連休をどう過ごすのが理想なのでしょうか?

GWは苦手単元を克服するチャンス。「何をやるか?」連休前にリストアップしておく

中学受験に向け塾通いが始まると、5年生の終わりまでは、授業で毎回新しい単元を学び、どんどんと進んでいきます。そのため、苦手単元を克服できないまま、先へ進むことになります。

でも、今年のGWはこれまでにない10連休。苦手単元を克服するいい機会です。塾によっては、GWに特別講習を実施するところもありますが、4・5年生は2~3日と期間が短く、比較的自由に過ごせます。連休中に積み残してしまった苦手単元をぜひ復習しておきましょう。

4年生なら、塾の勉強が始まった2月~4月までの苦手単元を克服することを目標にします。具体的なやり方として、サピックスならマンスリーテスト、四谷大塚なら組分けテストで間違えてしまったところに目を向けます。

なかでも、正答率が高い問題で間違えたものが要注意です。解き直してみて正解なら、ケアレスミスが原因だと考えられますが、そうでない場合は、その単元のなかに理解しきれていないところが残っているということになります。

正答率が高い問題というのは、今の段階で解けるようになっていなければいけない基礎問題がほとんどです。そこが正解できていないなら、一度テキストに戻って、しっかり復習をする必要があります。

苦手単元は、GWが始まる前にピックアップしておきましょう。「10日も休みがあるから大丈夫」と、のんびり構えているとあっという間に過ぎてしまい、「結局全くできなかった」なんてことになりかねません。休みの前に苦手単元を見つけ、「いつ、何をするか?」計画的に進めていきましょう。

学習量が増え「アタフタ学習」になりがちな5年生は、あえてゆっくり解く練習を

5年生は、苦手単元の復習に加えてさらにやって欲しいことがあります。それは、日頃やりたくてもできない「ゆっくり解く練習」です。

5年生になると、学習量が4年生の1.5倍に増え、かつ難易度が上がります。塾からは大量の宿題が課せられます。宿題を終わらせることに必死になり、陥ってしまうのが「アタフタ学習」です。

アタフタ学習になると、課題を終わらせることに気を取られて、問題をじっくり読まなくなってしまいます。算数では、「なぜこの公式を使うのか?」を考えることなく、習った公式にただ数字を当てはめるような解き方をしてしまいます。しかし、5年生になると応用問題を多く扱うようになるので、単純に数字を当てはめただけでは答えを出すことはできない問題が増えてきます。

さらに、本来なら解けるはずの問題なのに、時間に追われて焦って解いてミスをすることが増えます。こうした“5年生ならではの壁”をすでに感じているお子さんも多いでしょう。

こういったお子さんこそ、連休を上手に使って欲しいと思います。まずは問題を最後までゆっくり読み、ゆっくり考えて解いてみるのです。

たとえば算数なら、頭のなかで解けそうな問題でも、面倒くさがらずに図を描いて解く。国語なら大事なところに線を引くなど、書きながら解く練習をします。時間を気にする必要はありません。多少時間がかかっても、「絶対に正解させるぞー!」と問題に向き合うことが大事です。そうすると、案外解けるものが多いのです。

そうやって、一つひとつ丁寧に解かせることで、「なーんだ、ちゃんと丁寧に解けばできるじゃないか」と気づかせ、自信を持たせてあげましょう。

5年生はこれから先、どんどん内容が難しくなります。一度、自信を失ってしまうと、「どうせ僕はできないんだ……」とマイナス思考のループにはまり、抜け出すのが困難になります。ですから、その前に「ちゃんと問題を読んで、手を動かしながら考えればできる」ということを実感させてあげてください。

「これから学ぶこと」「学んだこと」を自分の目で見る機会に

GWは苦手単元の克服にあてる絶好の機会です。でも、家のなかで10日間ずっと勉強なんてさせないでくださいね。

せっかくの大型連休です。ぜひ家族でどこかに出かけて、楽しい時間を過ごして欲しいと思います。そのときに、ちょっとだけ勉強を意識すると、有意義な休みになります。

たとえば4年生なら、これから学習する地理の予習として、どこかの地方を訪れてみるといいですね。飛行機に乗るなら、日本がどんな地形をしているのか見てみるといいでしょう。電車や車の旅なら、地図を見ながら、目の前に見えている山や川の名前を確認するのもいいですね。

5年生なら、歴史で習った場所を実際に訪れてみることをおすすめします。テキストの文字を覚えるだけの勉強は退屈ですが、実際に自分の目で見ると、「ここがあの10年玉にデザインされている平等院鳳凰堂かぁ~! 赤くてカッコイイなぁ~!」と感動をプラスして記憶できます。この感動が大事なのです。

訪れる場所は、もちろん近場でも構いません。たとえば家の近くの公園で「春の七草を探す」というものよいでしょう。

GWは学んできたことを自分の目で確認できる絶好のチャンス。外で体験できる学びと、家でコツコツ取り組む学び。その両方をバランスよく行うことが理想です。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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