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大手進学塾と家庭教師・個別指導塾の併用 見極めのコツと注意点|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.34

専門家・プロ
2019年5月30日 石渡真由美

中学受験をするなら、中学受験に特化した勉強を指導する大手進学塾に通うのが一般的です。これらの塾では最難関校合格に向けたカリキュラムが組まれています。中堅校向けのクラスでも、カリキュラムの進度はそのままに、問題の取捨選択をおこなうことで、ペースをあわせているのです。

子ども達の理解スピードや、処理スピードがまちまちなのにもかかわらず、塾の授業は一定のスピードで確実に進みます。メリットは、入試までに必要な内容を教えきることができること。デメリットは授業のスピードについていけない子を多数置き去りにしてしまうことです。

ゆったりとした口調で教えたり、じっくり考えさせれば理解できるのに、急がせると途端について来られなくなる子が多数います。それらの子ども達は、とりあえず解き方を覚え込んでその場を乗り切ろうとしますが、この方法はどこかの時期で必ず限界を迎えることになります。

そんな時、強い味方になってくれるのが家庭教師や個別指導塾です。でも講師は玉石混交、見極めが必要です。

大手進学塾の授業についていけなくなったら

大手進学塾では、小学3年生の2月から4年生コースがスタートします。4年生のうちは、学習量はそれほど多くなく、授業も基礎的な内容を扱うので、大きく落ちこぼれることはあまりありません。しかし、5年生になると学習量が大幅に増え、応用的な問題を解くようになります。すると、塾の授業についていけない子が多数出現します。

そんな子ども達の受け皿となるのが、中学受験専門の家庭教師や個別指導塾です。しかし、インターネットで検索をしてみるとわかると思いますが、これらのサービスは無数にあります。どれを選択するのがベストかを判断するのは、とても難しいものです。

もし家庭教師をつけることを選択するなら、信頼できる家庭教師に出会うまでに、「2〜3人以上の体験授業を受けてみることが必要になる場合がある」ということを知っておいてください。家庭教師のタイプも力量もピンキリだからです。

2〜3人の体験授業を受けてから決めるとなると、それなりの時間がかかります。「家庭教師をつけたい」ということは、多くの場合、今、塾の授業についていけず困っている状態ということです。できるだけ早いうちに行動を起こしたほうがよいでしょう。

6年生の夏以降になると、「このままでは合格が難しいかもしれない。なんとかしなければ!」と駆け込み寺のように家庭教師の需要が高まります。その時期になると、優秀な家庭教師はほぼうまってしまっているので、遅くても6年生のはじめには、決めておいたほうがよいでしょう。

良い家庭教師、残念な家庭教師の見極め方

家庭教師をつける目的は、端的にいえば「成績を上げる」ことです。しかし、家庭教師をつけさえすれば成績が上がるわけではありません。やはり、優れた家庭教師に出会わなければ、成績は上がらないのです。

残念な家庭教師の見極め方として、次の3つをチェックしてみてください。

残念な家庭教師の指導の特徴

  1. 先生が一方的に説明をしている
  2. 「やればできる」「頑張れ」と叱咤激励だけ
  3. 子ども欠点だけを指摘する

多くの家庭教師は、お子さんの今現在の学力を判断するのに、過去のテストや模試の答案、ノートを確認します。それを見てつまずきの原因や間違えやすいクセを探り、そこを補ったり、対策を考えてあげたりするのが良い家庭教師です。間違った問題の解説をするだけの先生は、家庭教師としての力量が不足していると思います。

また、ベテランだと思い込んでいる家庭教師に多いのが、「問題量を増やせば成績は上がります。今は頑張るしかありません」といった叱咤激励タイプの教師や、「ケアレスミスが多いのは、問題文をよく読まないからだ」など欠点の指摘ばかりをする教師です。

家庭教師に子どもの短所を見抜く観察眼は必要ですが、それ以上に大切なのは、伸びる芽を見つける観察眼と、やる気にさせる表現力なのです。

親御さんが良い家庭教師か、残念な家庭教師かを見極めるときは、お子さんの表情に注目してください。お子さんの表情がいつもより明るくなっていたら、それは「わかった!」という快感が増えている証拠です。

個別指導塾を併用するなら1対1が鉄則

指導はしてもらいたいけれど、家に人を入れるのは面倒だったり、家だと子どもが勉強に集中できなかったりする場合は、個別指導塾を選択するとよいでしょう。ただし、個別指導塾と謳っていても、実際は先生一人に対し生徒が1〜3人という塾が少なくありません。

けれども、中学受験で個別指導塾を利用するのであれば、1対1の指導が望ましいと思います。同じ学力層の子どもなら2人一緒でもいいのではないかと思う親御さんもいますが(その方が料金も安いからです)、偏差値帯は同じでも、つまずきのポイントは人それぞれです。

つまずきのポイントを見極めるには、生徒が問題を解いているときに、どんな目の動きをして、どんな手の動きをしているかまでしっかり見る必要があります。それをするには、やはり1対1の授業でなければ難しいでしょう。

また、家庭教師と個別指導塾ともにいえることですが、中学受験で大手進学塾と併用する場合は、今現在通っている大手進学塾のテキストを使って指導してもらうことが原則です。

5年生までは、お子さんの学力のレベルにもよりますが、塾の授業についていけるようにすることと、クラスアップを目指すことが目的になります。それを無視して、自分が指導しやすいテキストを使って教えるような家庭教師や個別指導塾は、活用する意味がありません。ですから、各大手塾のカリキュラムに精通しているかどうかも、成績アップの条件になります。

6年生になって志望校が固まってきた状態であれば、塾の学習フォローから、その学校に合格するために勉強に変えていく必要があります。この場合、どこの学校の指導に強いかも確認する必要があります。

このように、良い先生を見つけ、正しい勉強の仕方を身につけていくことが大事です。よく家庭教師や個別指導塾は、子どもとの相性が重要といわれます。確かに相性は大事ですが、ただ優しくて面白い先生では、成績を上げることはできません。

中学受験をよく知り、子どものタイプや学力、間違えやすいクセなどを把握し、それに適応した指導ができる力のある先生を選ぶことが、合格への近道となります。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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