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中学受験 習い事はいつまで続ける? しこりの残らないやめ方とは|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.35

専門家・プロ
2019年6月17日 石渡真由美

幼児期や小学校低学年から始めた習い事。子どもが好きなことは伸ばしてあげたいし、子どもの可能性を広げてあげたいと思うのが親心です。そして今、いくつもの習い事を掛け持ちしている子も多いことでしょう。しかし、中学受験の勉強が始まると塾通いで忙しくなり、続けていくのが困難になることがあります。このまま習い事を続けていくべきか、やめるべきか。今回は中学受験と習い事の両立について考えていきます。

習い事はいつまでに整理すればいいのか

習い事は大きく分けると、次の3つに分類されます。

【スポーツ系】
水泳、体操、武道などの個人競技と、野球やサッカーなどの団体スポーツ

【勉強系】
公文や学研教室、そろばん、英会話教室や理科実験教室、プログラミング教室、大手進学塾の低学年コース

【芸術系】
ピアノやバイオリンなどの楽器、絵画教室など

今の時代の小学生は、一人でいくつもの習い事を掛け持ちしている子が多いようです。子どもの興味は変わっていきますし、どんな力を秘めているかもわからないため、幼児期から小学校低学年までは、さまざまな習い事をさせてみることのはいいと思います。しかし、スケジュールをぎっしりと詰め込み過ぎて、遊ぶ時間やぼーっとする時間がないというのは考えもの。子どもの習い事は「本人が楽しんでいるか」という視点で、選択をしましょう。

大手進学塾の受験コースは、3年生の2月から「4年生コース」がスタートします。4年生のうちは、塾に通うのも週2回と比較的時間に余裕があるので、習い事を2つくらいやっていても、さほど支障はありません。むしろ、この時期から受験勉強一色にならないように、子どもの好きなことをさせてあげてほしいと思います。

ただし、勉強系の習い事については、少し整理をしていきましょう。中学受験をするご家庭では、4年生から本格的な受験勉強が始まる前に、基礎学力や学習習慣をつける目的で公文に通わせることが少なくありません。

公文は自分のペースで無理なく先に進めるという利点がありますが、あまり先に進みすぎて方程式を解くようになると、中学受験の勉強をするうえで混乱してしまう恐れがあります。本人が楽しく取り組んでいるのならいいのですが、4年生の段階でFレベル(6年生レベル)まで進んでいたら、そのタイミングでやめてもいいと思います。

4年生の段階で、「あと少しでFレベルにいけそう」というのであれば、そのまま続けていいでしょう。同じくそろばんも4年生までに1級を目指し、それが達成できたタイミングでやめるという選択をしていいと思います。そこまでの計算力がついていれば、中学受験では大きなアドバンテージになるからです。

6年生でもひとつくらいは続けてOK。見極めは好きかどうか

中学受験の勉強は、学年が上がるごとにハードになります。よく塾の合格体験記などで、「6年生の夏までサッカーを続け、そこから気持ちを切り換えて見事第一志望の難関校に合格した」という子が登場しますが、それはごく稀なケースで、誰もができることではありません。

中学受験の勉強量を考えれば、できれば5年生から6年生に進級する段階で、サッカーや野球などの団体スポーツは、受験が終わるまで一時お休みをしたほうがいいでしょう。

ただし、個人スポーツや芸術系の習い事であれば、指導者と相談をしながら続けていくことも可能です。6年生でも週1回程度で、それが受験勉強のストレス発散になったり、運動不足の解消に役立ったりするのであれば、続けることをおすすめします。見極めのポイントは、「本人が好きかどうか」です。たいして好きでもないのに、ここまで続けてきたからといってだらだらと続けさせることはおすすめしません。

勉強の時間を増やす目的でやめさせるのは避けて。習い事でどんな力が身についたかに目を向ける

では、習い事をやめる時や、やめさせたい時はどのように声かけをし、促していけばよいのでしょうか?

やめる理由は、中学受験の勉強を優先させたいということですが、「勉強の時間を増やすためにやめる」という言い方はよくありません。

中学受験のカリキュラムは、学年が上がるごとにハードになることをあらかじめ伝えておき、「5年生、または6年生になったらやめようね」とか、「一時お休みをしようね」とか、もともと予定していたというニュアンスで伝えるようにしましょう。

そして、これまで頑張って続けてきたことを労ってあげてください。そうすれば、途中でやめてしまったという“しこり”を残さずに、受験勉強に向かうことができます。

また、一気にやめさせるのもよくありません。習い事をやめてしまったら、勉強だけの生活になってしまうことを嫌がって、勉強に身が入らない子もいます。それまでやってきた習い事の数にもよりますが、半年にひとつずつといった感じで少しずつ減らしていきましょう。

その際も「○○は、サッカーをやって、PKのときとか “ここぞ!” という時に力を発揮していたよね。お母さんは緊張感に打ち勝つ集中力はすごいと思ったよ」「○○はピアノの練習を毎日していたね。毎日コツコツ続けられたのは立派。今まで頑張ったね」と、その習い事をしたことでどんな力がつき、成長をしたか伝えてあげてほしいと思います。その言葉が自信となり、「よし! 受験勉強も頑張るぞ!」と前向きな気持ちにさせることでしょう。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。