連載 中学受験は親と子の協同作業

中学受験 入試まであと100日! 親がやるべきこととは|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.43

専門家・プロ
2019年10月10日 石渡真由美

6年生の受験生は、入試まであと100日とちょっと。本番は刻々と迫ってきています。でも、当の本人からはそこまでの焦りは感じられないかもしれません。というのは、人生経験がまだ浅い小学生の子どもには、大人のように先を見通すことができる時間感覚がまだ身についていないからです。しかし、入試までの時間は有限です。入試まであと100日、時間感覚が身についている大人=親だからできること、やって欲しいことをお伝えします。

最優先すべきは子どもの睡眠時間をしっかり確保すること

中学受験の合否は、当日の入試の結果で決まります。そう思うと「何がなんでも高得点を取らなければ!」と、たくさん勉強をさせてしまう親御さんがいます。しかし、やらせすぎは危険です。

親御さんにとっての受験の記憶は、最後に経験した大学受験のときであることが多く、「毎日夜中まで勉強した」とか「1冊の問題集をボロボロになるまで何度も解いた」といった努力の結果で合格ができたという思いが強いようです。しかし、それができたのは、体力的にも精神的にも大人に近い18歳だったからであって、わずか11歳、12歳の子どもにそれと同じことを求めてはいけません。

小学生の子どもにとって一番大切なのは、十分な睡眠が取れているかどうかです。ベストな睡眠時間は子どもによって個人差はありますが、小学生の子どもであれば、8時間の睡眠時間は確保してあげたいですね。睡眠時間が足りていないと、勉強に集中できず、成績も伸びていきません。成績が伸びないからともっと勉強をさせると、さらに睡眠時間は削られていきます。こうした悪循環に陥ってしまうと、本番で最高のパフォーマンスを発揮することができなくなってしまいます。まずはしっかり睡眠時間を確保するようにしましょう。

爪かみ、円形脱毛症、体重増加、はしゃぎすぎ…子どものSOSに気づいて!

入試が近づいてくると、子どもにもプレッシャーがのしかかり、そのストレスが身体に表れることがあります。私が塾で講師をしていたときによく見られたのが、爪がなくなるほど噛んだり、髪を抜いたりといった行為です。また、本人が気づかないうちに円形脱毛症になっていることもあります。

また、これは男の子に多いのですが、やけにはしゃぎ過ぎの場合も注意が必要です。大人からすると、「入試が近づいているのに、うちの子はなんてお気楽なの?」と思ってしまいがちですが、これも不安解消の裏返しであることが多いのです。

子どもにこんな症状がでていたら要注意です。

□ 表情が暗い
……今さら頑張っても合格できないと思い込んでいる

□ やけにはしゃいでいる
……不安解消の裏返しの行動であることが多い

□ 文字が殴り書きなっている
……時間が足りないという焦りからきている

□ 著しい体重増加
……ストレスでついお菓子を食べ過ぎてしまう

□ お腹が痛い
……ストレスによるもの。胃潰瘍の疑いあり

こうした身体の症状は、子どものSOSサインです。直前期だからといってムリをさせず、子どもの健康面・精神面には十分な配慮を心掛けてください。お子さんのこうした変化に気づけるのは、いつもお子さんのそばにいる親御さんにしかできないことです。

過去問は予定をしっかり組んで取り組む。理社は前日まで毎日各30分

学習の進め方については、ここでは少しだけ触れておくことにします(詳しくはまた別の記事で紹介します)。

この時期の勉強は過去問を解くことが中心になります。過去問は第一志望校であれば過去5年分、第二、第三志望校であれば過去3〜5年分、“肩馴らし校”や“安全校”であれば、1〜2年分を解くのが目安です。

過去問対策は問題を解いて、答え合わせをして、解き直しをするといった振り返りまでを含めます。例えば、50分の算数の問題を解くとすると、振り返りまでを含めると3時間はかかると思っておいたほうがいいでしょう。

ということは、過去問対策にかなりの時間が必要になるということですね。それをすべてやるには、しっかり予定を立てて進めていかなければなりません。その予定を立てるのは、やはり子どもだけでは難しいので、親御さんが中心になって進めていくことになります。

この時期になると、土日も塾や模試があって、家庭学習に費やせる時間が限られてきます。優先すべきは過去問です。塾の宿題は「○△×学習法」で、取捨選択をしていきましょう。すべてをやることにこだわる必要はありません。すでにわかっている問題や、難しすぎる問題は“やらない”選択をし、あと少し頑張ればできるようになる「△」の問題だけ取り組むようにしましょう。

「頑張って!」の言い過ぎに注意。完璧を目指さず8割できていればOK!

中学受験は当日の入試の結果で合否が決まるため、親御さんは「完璧」を求めてしまいがちです。しかし、中学受験の入試で満点を取って合格する子はほとんどいません。みんな何かしらの苦手を残したまま、当日の入試に挑むことになります。過去問で8割程度できて理解できていれば、それで十分です。

ですから、苦手を深掘りする必要はありません。多くの親御さんは、お子さんのできないところに目が行ってしまいがちですが、苦手分野の克服は11月までと期限を決めて、それ以降は得意な分野の勉強にシフトチェンジしましょう。ただ、理科・社会のような暗記科目については、「覚えたことを忘れない」ことが重要ですので、入試前日まで毎日各教科30分取り組むようにしましょう。覚えることと、忘れることの「モグラたたき状態」は、本番前日まで続くことを知っておいてください。

入試が近づくにつれて、親御さんの不安も大きくなっていきますが、「算数の速さは大丈夫なの?」「理科の生物は大丈夫?」など、自分の心配を口にするのはやめましょう。また、「頑張ってね!」を連発するのも、子どもにプレッシャーを与えるだけです。何か言葉をかけてあげたいのなら「頑張っているね」と今のお子さんのありのままの姿を伝えてあげましょう。そうすれば、「お母さんは私のことをちゃんと見てくれているんだ。よし、あと少しだ、頑張るぞ!」と子ども自らが前向きになります。

入試まであと100日。お子さんを最後に伸ばすのは、親御さんの温かい見守りの姿勢です。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

合わせて読みたい