連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

コロナで塾に行けない! 映像授業を見る上での心構えと注意点|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2020年4月30日 石渡真由美

新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言発令を受けて、中学受験塾は対面での授業を控え、映像授業に切り替わっています。では、映像授業を見るうえで、どんなことに気をつければよいのでしょうか?

映像授業には2種類のタイプがある

映像授業には大きく分けて2種類のタイプがあります。ひとつはZOOMのライブ会議やfacebookのビデオ通話のようなライブ(リアルタイム)授業が受けられるタイプ。もうひとつは録画した映像を自分で見るタイプです。ちなみに私が代表を務めるアテナ進学ゼミでは、次のような対応をしています。

【算数】

facebookを活用した授業ライブ配信、およびLINEグループを活用した個別フォロー(質問対応・課題チェック・確認テスト)

【国語】

LINEグループのビデオ通話によるライブ授業

【理科】

YouTube上への動画授業のアップロード、およびLINEグループを活用した個別フォロー(質問対応・課題チェック・確認テスト)

【社会】

YouTube上への録画映像のアップロード

このように教科によって使い分けています。

映像授業のメリット・デメリット

ライブ授業と、録画映像を使い分けていることには、理由があります。多くの塾が活用している録画授業の配信は、いつでも何度でも見られるというメリットがあります。大手塾の授業はおおむねハイスピードで進められていきますから、日ごろ授業のスピードについていくのがやっとという子は、大事なポイントをもう一度聞き返すことができるので、それは大きなメリットといえるでしょう。

しかし一方で、何曜日の何時に見なければいけないという決まりがないので、学習スケジュールを組みにくいというデメリットがあります。また、一方的に流れてくる動画を見るだけなので、双方のやりとりができません。どのタイミングで、どのように見るかは、家庭任せというわけです。そのため、ついつい後回しになってしまうこともあります。

その点、ライブ授業は決められた時間に行われます。また、双方のやりとりも可能ですので、タイムリーに質問したり、先生や友達の表情が見えることで集中度がアップしたりします。ただし、ネット環境によっては、先生の声が聞きづらかったり、板書が見えづらかったりします。このように、それぞれにメリットとデメリットがあります。

私の塾で教科によって使い分けているのは、算数や国語はライブ授業でなければ、子ども達の反応がわからず、つまずきに気づきにくいからです。特に国語は、文章のどこを指しているのかとか、細かい記述のやり方を説明するときに双方向授業でなければ難しいと感じています。算数でfacebookを使っているのは、ライブ授業を受けた後に、facebook上に動画をアップもできるので、授業を見返すことができるからです。中学受験では算数は重要科目なので、オンラインでしかできない双方向授業と、何度も見返すことができる動画サービスの両方の良さを取り入れることにしました。

逆に理科や社会は、なにがなんでもライブにこだわる必要はないと考えています。実際のところ、私の塾では授業は私一人がやっているので、すべてをライブ授業にするのは難しいという面もあります。ただし、理科は苦手な子も多いので、LINEグループを活用して質問を受けています。理社の宿題は期限を決め、写真を撮ってLINEに送るように指示しています。

このように教科によって、いろいろ使い分けているのは、もうひとつ理由があります。それは、すべてが録画動画の配信だと、子ども達が飽きてしまうからです。月曜日の14時からは算数のライブ授業、水曜日の11時からは国語のライブ授業といったように、週に何回か普段のようにクラスの仲間と一緒に授業を受けることで、メリハリがつくという良さがあるのです。

家庭内でタイムスケジュールを決めておく

一方、社会と理科の動画をいつ見て勉強するかは、各家庭に委ねられます。小学生の子どもが自分から進んで見るということは、あまり期待できませんから、家庭内でいつ見るかあらかじめ予定を立てておくことをおすすめします。宿題をいつやるかも含め、毎日の学習スケジュールを立てておきましょう。ただし、たくさん時間があるからといって、たくさん勉強をやらせようとしないでください。

動画授業を見るときは、できれば親御さんも一緒に見てみるといいですね。多くの子どもは誰もいなところでは、勉強に集中できないものです。今はテレワークをされている方も多いでしょうから、もし家にいらっしゃるのであれば、お子さんと一緒に授業動画やライブ配信を見てみてください。そうすると、日ごろ、お子さんはこんなに難しいことを勉強しているんだと気づくことができるでしょう。また、お子さんが宿題を進めていくなかで、わからないことがあったら、「先生はこう説明していたわよ」とアドバイスしてあげることもできます。

どこの塾も休講時の一時的な対応で始めた映像授業です。対面と同じようにはできないことは多々あります。子ども達の反応がわかりづらいなかで、先生達はよりよい授業を提供しようと日々努力しています。親御さんも一緒に見て、もし何か感じたことがあれば、塾に伝えてみましょう。たとえば、映像だと板書がよく見えなければ、そう伝えた方がいいと思います。そうやってフィードバックすることでよりよい授業が生まれてきます。私の塾では、板書したものを写真に撮り、LINEで各家庭に送っています。このように塾側にも柔軟な対応を求めることが大事だと考えています。


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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