連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

「コロナで塾に行けない」はピンチではなくチャンス|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2020年5月11日 石渡真由美

引き続き新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐための活動自粛が続きそうです。学校がいつ再開するのか、塾の勉強は今後どうなるのかなど何もわからないなかで、受験勉強を進めることに不安を感じている親子は多いでしょう。でも、それはみんな同じです。むしろピンチをチャンスだと思って取り組む方が“吉”となりそうです。

コロナ影響はいつまで続く? 夏期講習がなくなるかも?

緊急事態宣言の延長が決まり、子ども達が学校や塾に行けない状況が続いています。このまま長期間休校が続くと、夏休み中に学校に通うことになるかもしれません。そうなると、今年は塾で夏期講習が実施されなくなってしまうことも考えられます。6年生の夏休みは“中学受験の天王山”と呼ばれるほどです。私の塾でも夏休み期間中は150時間くらい勉強します。それができなくなってしまうと、「受験に不利になるのではないか……」と不安を感じてしまうかもしれません。

しかし、これはすべての受験生にいえることです。わが子だけが不利というわけではありません。この状況を受け入れ、そのうえで今やるべきことをコツコツと取り組んでいきましょう。くれぐれも焦らないことです。

時間がある今のうちにこれまでの総復習を

首都圏の多くの塾では対面授業ができなくなり、映像授業に切り替わっています。映像授業はZOOMなどを使った双方向授業と、動画配信タイプの授業があります(詳しくは前回記事をご覧ください)。まずは、それをしっかり見て、塾から出された宿題に取り組みましょう。今は学校も休みなので、普段より時間があります。この時間をぜひ有効に使いましょう。

とはいえ、たくさんの問題を解かせたり、実力以上に難しい問題をやらせたりする必要はありません。新型コロナウィルスが収束すれば、塾ではこれまでの時間を取り戻すために、急ぎ足でカリキュラムを消化することになるでしょう。例年であれば6年生は7月頃にはすべての学習範囲が終わり、夏期講習でこれまで習ってきた内容を総復習しますが、今年の夏は塾での対面授業が行われたとしても、通常のカリキュラムを終わらせるだけで精一杯かもしれません。そうなると、これまでの総復習をする時間が確保できなくなります。そこで時間がある今、総復習することをおすすめします。

6年生なら、5年生のテキストを一度全部振り返っておきましょう。たとえば算数の場合、年間で40単元くらいを学びます。苦手単元に的を絞れば、この1ヶ月の間にすべての復習を終えられそうです。これは学校が休みだからこそできることです。4、5年生であれば、これまでに習って分野のなかで苦手なままになっているところを見直しておきます。そうすれば、夏休み中に焦ることもなくなります。むしろ今、じっくり復習ができるのは、受験生にとってチャンスともいえます。

マジメにコツコツ取り組んできた子が強い

緊急事態宣言が出ている間は、塾で模試も受けられず、6年生は志望校選びをどのように進めていいものか心配していることでしょう。多くの塾では模試を自宅に郵送し、家庭で取り組むように指示をしています。

しかし、私は家庭で模試に取り組むのはあまりおすすめしません。やはりテストというものは、ある程度緊張感を持ちながら取り組むものだからです。家だとどうしても時間管理が甘めになってしまいます。また、リラックスした状態で問題を解くので、いつもよりいい点が取りやすいのです。それを実力だと思って、その後、気を緩めてしまう子もいるでしょう。ですから、私は今の時期にあまりあてにならない模試を、無理に受けなくてもいいと思っています。

模試に関しては、9月以降に実施される合否判定模試のほうが重要でしょう。9月以降の模試は中学受験に必要な全範囲が出題され、志望校選びの参考になるものです。9月以降の模試を受けておけばそれで充分ともいえます。

新型コロナウィルスの影響が今後いつまで続くのかは、今の段階では誰もわかりません。今は、これまで習ったことを総復習するなど、できることを取り組みましょう。映像授業はできれば親御さんも一緒に見てください。そうすると、子どものつまずきに気づけるようになります。宿題に出された問題がわからず、子どもが進められずにいたら、「映像授業で先生がこんなこと言ってなかった?」と教えてあげ、もう一度見返してみましょう。

そうやって、毎日コツコツ勉強を続けてください。今年の受験は、家庭学習が大きな要になります。きちんと計画を立て、毎日まじめに取り組んできた子が結果を出す入試になるでしょう。


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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