学習 連載 中学受験のツボ[社会編]

【小6社会/選挙】衆議院と参議院の選挙、その仕組みや違いについて|中学受験のツボ[社会編]

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2022年8月09日 茂山起龍

保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 社会編 吉崎正明先生池田良輔先生茂山起龍先生が担当します。
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国語算数理科

2022年7月10日に参議院選挙が行われました。中学受験社会のなかでも選挙はよく取り上げられる単元ですが、衆議院が解散されない限り、ここから3年間は大きな選挙がないことから、23年の中学入試では選挙に関する出題がやや増えるのではないかと考えています。

そこで今回は衆議院と参議院の選挙について、その仕組みや違いをまとめていきます。

選挙権

まず、選挙権について確認していきましょう。

日本で初めて選挙権が認められたのは、1889年。当時の選挙人(投票する人)は「直接国税15円以上を納める満25歳以上の男子」とされていました。一定の金額の税金を納めていないと、選挙権が認められなかったのですね。少し難しい言葉になりますが、これを納税要件といいます。

その後、納税要件がゆるめられて、1925年には納税要件が撤廃されます。つまり、納めている税金の額にかかわりなく、「満25歳以上の男子」とされたわけです。そう、普通選挙法ですね。

戦後、1945年には婦人参政権が認められて、「満20歳以上のすべての男女」となります。それから、長らくこの選挙権の条件に変わりはありませんでしたが、2016年に「満18歳以上の男女」と投票年齢の引き下げが行われました。

この流れはよく出題されます。現在の投票年齢が「18歳」だということを、お子さんに確認してみましょう。

この投票年齢引き下げの背景には、特に20代、30代の投票率の低下が挙げられます。高齢者ばかりが投票にいくようになるため、各政党の政策も高齢者向けとなってしまうのです。この状況を「シルバー民主主義」といいます。そこで、選挙権を持つ若年層の割合を増加させ、投票率を上げようと考えているわけですね。

選挙の仕組み

次に、選挙の仕組みについて確認していきます。

ここは衆議院と参議院で大きく違いがあるので、注意する必要があります。

選挙区制について

選挙区制とは、得票が多かった候補者が当選する制度のことです。

あたりまえのように感じますが、ここにもうひとつの「比例代表制」との違いがあります。

この選挙区制、衆議院は1選挙区につき1名が当選する「小選挙区制」をとっていて、全部で289区あります。

これに対して、参議院は基本的には「都道府県を単位とする選挙区制」となっていますが、45区しかありません。

47都道府県なのに、2区足りないですよね。これは島根と鳥取、高知と徳島がそれぞれ「合区」、つまり一緒になったからです。

そして、参議院は選挙区によって複数の候補者が当選します。たとえば、東京は12名、大阪は8名、先ほど挙げた合区となった島根と鳥取は合わせて2名、といった例があります。

衆議院は人口に合わせて選挙区の範囲を変えています。

参議院は都道府県の人口に合わせて定数を変えています。

これは、「1票の格差」の問題を解決しようとしているからです。

人口の多い選挙区でも少ない選挙区でも、同じように1人の当選者が出るとすると、1票の価値に差が生まれてしまいます。人口の多い都市部では1票の価値が低くなり、人口の少ない地方部では1票の価値が高くなるという問題が起こるわけです。この問題を「1票の格差」といいます。

「1票の格差」は、日本国憲法が定める「法の下(もと)の平等」に反しています。そこで、この問題に対して、衆議院は選挙区を変え、参議院は定員を変えることで、解決しようとしているわけです。

比例代表制について

比例代表とは、各政党の当選者数を「ドント方式」によって出し、各政党が出した名簿の上位から順に当選者を決める制度です。ここに衆議院と参議院で大きな違いがあるのです。

衆議院は全国を11のブロックに分け、有権者は政党名を書いて提出します。当選者はあらかじめ各政党から提出されている名簿の上位から当選者を決定します。

ただし、衆議院では小選挙区と比例代表の「重複立候補」ができるため、重複立候補した者は同じ順位がつけられて、小選挙区で当選に近かった順に当選者が決まります。つまり、小選挙区で落選しても、比例選で復活当選することが可能なのです。

参議院ではこの「重複立候補」ができないため、最初から名簿に順位がなく、有権者は比例代表制でも政党名、候補者名のどちらを書いてもよいことになっていて、候補者の得票数の上位から順に当選者が決まります。これを非拘束名簿式と言います。

まとめ

少し難しかったと思うので、現在の選挙制度について簡単におさらいしていきます。

・選挙権があるのは満18歳以上の男女
・選挙区制では衆議院は289区、参議院は45区
・比例代表制では衆議院は拘束名簿式、参議院は非拘束名簿式

今回は以上です。ただ暗記をするのではなく、「なぜ?」を大切にしながら理解するよう、お子さんにお伝えください。

※記事の内容は執筆時点のものです

茂山起龍
この記事の著者
茂山起龍 専門家・プロ

中学受験指導塾「應修会」代表。自らも中学受験を経験。慶應義塾普通部に入学し、慶應義塾高校、慶應義塾大学へと進学。大学在学中から中学受験業界に足を踏み入れる。個別指導塾、家庭教師、大手進学塾で受験指導を行い、難関校から中堅校まで幅広く合格者を輩出。2011年2月、地元の西葛西に「應修会」を開校。5、6年生の4教科をレベル問わず指導する。受験生の親でもあるため、その苦労にも寄り添ったサポートをしている。