学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小6理科/化学総合】気体の集め方と、つくり方|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2022年9月20日 伊丹龍義

保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 理科編伊丹龍義先生山崎翔平先生ヤジマ先生が担当します。
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国語算数社会

今回は、化学分野の中でも出題が多い、気体の発生のイメージを確認します。また、気体の発生に関連する用語の確認もしていきます。

内容チェックポイント(気体の回収法)

問題

問題:
酸素、二酸化炭素、水素、塩素、アンモニア
それぞれの気体を集めることができる方法を「水上置換法」「上方置換法」「下方置換法」から選んでください。

気体の範囲では、気体を作る実験の問題が多く出されます。

問題をしっかり解けるようにするには、次の2つをおさえることが重要です。

・3つの回収法、「水上置換法」「上方置換法」「下方置換法」の違い
・それぞれの気体について、「水に溶けるか」「空気より重いか」などの性質

詳しく見ていきましょう。

3つの回収法の違い

まずは3つの回収法の違いから。

気体を集めるときに「集まっている気体が見える」「空気が混ざりにくい」という点で、いちばん優れているのが「水上置換法」です。

ただし、水上置換法は、発生した気体を水の中に通します。ですから水に溶ける気体の場合は、集められる量が減ってしまったり、そもそも集められなかったりします。

そのため水に溶ける気体の場合は、空気と比べて軽い気体なら、空気中で上の方に集める「上方置換法」を使います。逆に、空気と比べて重い気体は、下の方に集める「下方置換法」を使うことになります。

問題で取り上げた5つの気体の場合、「酸素」「水素」は水にほとんど溶けず、「二酸化炭素」は少しだけ溶けるという性質があります。ですから、この3つを集めるときには水上置換法を使うことがほとんどです。

ただし、発生量をはかるときには、二酸化炭素は空気より重いので下方置換法で集めます。(※1)

気体の重さ

次は、気体の重さについても見ていきましょう。

問題で取り上げた5つの気体のうち、空気より軽いのが「水素」「アンモニア」、空気より重いのが「二酸化炭素」「塩素」「酸素(※2)」です。

そのため、水上置換法で集められない「アンモニア」は上方置換法で、「塩素」は下方置換法で集めることになります。

解答

解答例
酸素:水上置換法(△下方置換法)
二酸化炭素:水上置換法、下方置換法
水素:水上置換法、上方置換法
塩素:下方置換法
アンモニア:上方置換法

保護者向け(実は)

※1:二酸化炭素の発生量を厳密にはかる場合には、水上置換で集める前に「空の三角フラスコを挟む」ことによって、二酸化炭素の発生量と同じ量の空気を水上置換ではかる方法もありますが、今回は省略します。

※2:空気は窒素と酸素を主成分としており、窒素のほうが酸素より少し軽いため、空気全体の平均は酸素より少し軽いことになります。そのため、理屈上は酸素も下方置換法で集められるのですが、実際には、重さの差が小さいため難しいようです。

おまけ(気体のつくり方のポイント)

今回の気体のうち、「酸素」「二酸化炭素」「水素」の3つは、つくり方をお子さんが説明できるかどうかも確認しておきましょう。

下に、重要なポイントをまとめておきます。

酸素のつくり方

過酸化水素水(オキシドール)+二酸化マンガン

二酸化マンガンは触媒(しょくばい)としてはたらきます。

触媒とは、難しい言い方をすると、反応に必要な活性化エネルギーを下げるものです。簡単に言うと、触媒があると酸素が発生しやすくなるのです。これを反応の活性化といいます。

このとき、触媒自身は反応しないので、使いまわしができます。また、触媒の量が増えても酸素の発生量には影響ない、というのがポイントです。

二酸化マンガンのかわりに、血液(血液内の酵素)でも同様の反応が起こりますが、高温にすると失活により、気体が発生しなくなるというのもポイントです。

二酸化炭素のつくり方

石灰石+塩酸

石灰石の主成分は炭酸カルシウムです。そのため、炭酸カルシウムや石灰石の原料となる「貝殻」、それと同じ成分の「卵の殻」などでも、塩酸との反応で二酸化炭素をつくることができます。

石灰石をさらに押し固めたものが大理石(変成岩)です。そのため家に使われている大理石も、コーティング等がない場合は塩酸と反応するというのが、理科的な小ネタです。

炭酸水素ナトリウム(重曹・ベーキングパウダー)+塩酸などの酸(加熱でも発生)

この炭酸水素ナトリウムに酸を加えると、二酸化炭素が発生するという現象は、普段の生活の中でも多く活用されています。たとえば発泡入浴剤や、スポンジケーキ作り、また重曹洗剤としての利用法にも関わっています。

水素のつくり方

金属+塩酸

ただし、金属のなかでも金・銀・銅を使った場合は発生しません。また、金属がアルミニウムの場合は、酸だけでなく、水酸化ナトリウム水溶液とも反応して、水素を発生します。

まとめ

このように、気体の発生の分野は、さまざまな内容との関連が多い分野です。この分野の見直しの中で、化学分野の全体の知識を総点検していきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

伊丹龍義
この記事の著者
伊丹龍義 専門家・プロ

SRP教育研究所 所長。自身の塾で中学・高校受験、中高一貫校サポートを担当。教育格差解消と学習の効率化のため廉価に、そして自分のペースで見られ、電子辞書代わりにも使える映像授業に積極的に参加。学びエイド鉄人講師・家庭教師のトライ「TryIT中学理科」、同トライのオンライン集団ライブ授業(小学算数・中学数学・中学理科)担当。「観てわかる中1理科」(小学館)映像担当、その他、学習塾・参考書の映像授業担当多数。個人として「たこやきまるめがね」名義でYouTubeで中学受験算数・理科の映像授業準備中。プログラミング・ゲーム・パズルを教育現場に広める活動中。クイズ番組等の問題作成・監修多数。