中学受験ノウハウ 連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

入試直前!冬休みをどう過ごせばいい?|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2022年12月15日 石渡真由美

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12月も半ばに入り、いよいよ入試本番が目前に迫ってきました。

受験生にとっては、最後のまとまった休みとなる冬休み。

あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ!と焦りが増していき、いったい何から手をつけていいのかわからないというご家庭も多いのではないでしょうか? 

そこで、今回は冬休みの過ごし方についてアドバイスをしたいと思います。

冬休みは苦手克服に取り組む最後のチャンス

もうすぐ冬休みがやって来ます。

受験生の6年生にとっては、まとまった休みがとれる最後の機会。

とはいえ、冬休みは案外短く、塾と家を行き来しているうちに、気づいたらあっという間に終わってしまいます。

そこで、冬休みが始まる前の今の時期に、具体的に何をどのくらい勉強するか決めておくようにしましょう。

得点力につながる「苦手」の克服を

優先すべき学習は、苦手単元の克服です。

その際、すべてを網羅する必要はありません。志望校の過去問を解いてみて、頻出する分野で苦手な単元があったら、その部分の学習を強化しましょう。

たとえば、算数の「速さ」の旅人算の問題が苦手だったら、そこを集中的に学習するというイメージです。

冬休みは苦手分野や苦手単元に向き合える最後のチャンス。ここでしっかり克服しておきましょう。

ただし、「場合の数」や「整数問題」などの単元は、算数的なセンスの有無も多少影響するため、これまでいくらやってきてもなかなか理解が進まなかったということなら、思いきってその単元は見切るという判断もこの時期は必要かもしれません。

大事なのは、今の頑張りが入試当日の得点力につながるかどうか、です。3月頃に「やっと実力が伸びてきた」というのでは遅いのです。

冬休みに優先すべき苦手科目は「算数」「理科」

科目の優先順位としては、まず「算数」の苦手分野・苦手単元の克服をしましょう。直前対策を得点につなげやすい科目だからです。

先ほども少し触れましたが、たとえば「速さ」の分野が苦手だと、「旅人算」や「通過算」、「流水算」というさまざまな単元に影響が出てしまいます。算数は一部の単元を除いて比較的苦手を克服しやすい科目ですので、諦めず最後まで粘りましょう。

次におすすめするのが「理科」です。理科は単元ごとに学習するので、苦手を見つけやすく、対策がしやすいからです。

たとえば、物理の力学分野が苦手という場合、「バネ」が苦手なのか、「テコ」が苦手なのか、それとも「浮力」が苦手なのかといった感じで細かくチェックし、そこをピンポイントに学習するようにします。

「植物」や「人体」などの暗記分野もこの時期にやっつけましょう。最後はゴロ合わせでもなんでも、無理やり頭に入れてしまえばいいわけで、たとえ2/10に忘れてしまっても構わないわけです。

「社会」「国語」には時間を使い過ぎない

「社会」は覚えては忘れ、覚えては忘れのくり返しになりますが、入試本番にできるだけ多くの知識が頭の中に入っているよう、詰め込むしかありません。

ただし、やみくもに詰めこむのは賢いやり方ではありません。覚えることが膨大にあるからです。

志望校の過去問をよく研究して、「この学校は近代史が必ず出るな。近代史を特にチェックしておこう」などと、ある程度の“読み”が必要になります。

「入試でヤマを張るなんて」と思われる方もいらっしゃるかとは思いますが、最初から最後までを薄―く覚えても、得点につながりにくいものです。それならばある程度重要そうなところに目星をつけ、そこを重点的に学習して知識を頭に入れた方が効率的なのです。

「冬休み中に鎌倉時代と近現代は完璧にする」という感じで目標を立て、頑張ってみてください。

「国語」はこの時期に頑張ったからといって、得点力に大きくつながるというわけではないので、いつものペースで漢字や語句の学習をする程度でいいでしょう。

冬休み中・冬休み後の家庭学習のポイント

冬休みは塾での拘束時間が長く、家庭学習でできることは限られています。

何を重点的に学習するか親子でしっかり話し合い、計画的に取り組むことが大切です。

それでも、苦手単元が克服できなかったという場合は、冬休みが終わった段階で「見切る」覚悟を持ちましょう。

そして、冬休み明けから入試本番までは、「基本問題は必ず正解する」「得意な分野はより得意に」と勉強のやり方を変え、子どもに自信を持たせてあげるようにしましょう。

コロナ、インフルエンザ、ノロウイルス、家族全員で万全な対策を

入試直前期は親も子も頑張りすぎてしまいがち。

でも、ここで体調を崩してしまったら、これまでの努力が水の泡となってしまいます。

この時期に最も大切なことは、健康でいることです。

不織布マスクで感染防止は基本

コロナ時代、マスクをつけることが日常となりました。そのため、以前よりもインフルエンザにはかかりにくくなっているようです。

私の塾でもコロナ時代になってからは、インフルエンザにかかる子がいなくなりました。

ところが、今年はインフルエンザにも注意が必要というニュースが流れています。マスクをしない人が増えたからかもしれません。油断は禁物です。

家族全員の健康管理に注意すること

11月に入ってから再び首都圏ではコロナ感染者数が増加傾向にあります。

新型コロナウイルスも3年目となると、社会も「withコロナ」の空気になり、リモートワークから出勤に変わった親御さんが増えています。

家族の誰かが外へ出る機会が増えれば、それだけ家庭内感染のリスクが高まります。受験生であるお子さんの健康管理には気を配っていると思いますが、親御さんご自身も十分な注意が必要です。

また、小さいきょうだいがいるご家庭では、幼稚園や保育園でノロウイルスをもらってしまうケースが見られます。

よく言われるように「中学受験は家族戦」です。家族一人ひとりの健康に気を配るようにしましょう。

焦って睡眠時間を削るのは逆効果

マスクも大事、ウィルスや病原菌を家庭に持ち込まないことも大事ですが、この時期に最も気をつけたいのは、勉強のやらせすぎによる睡眠不足です。

「まだこれもできていない」「あれもやらせなきゃ」と親御さんが焦る気持ちも理解できますが、相手はまだ11歳、12歳の子どもであることを忘れてはいけません。

十分な睡眠がとれていないと、必ずパフォーマンスは低下します。

学習時間を朝型に変え、夜はできるだけ早く休ませるようにしましょう。それこそが、親御さんの大事な役割だと思います。

どんな状況になっても慌てない併願パターンを決めておく

入試本番に近づくと、子どものメンタルを心配する親御さんが増えます。

しかし、長年、中学受験の指導をしてきた立場から見ると、当の受験生である子どもは案外ケロッとしているように感じます。

むしろ、心配でいてもたってもいられない親御さんの方が多い印象です。

受験校選びは幅広い視点をもって

まず前提として、中学受験でお子さんの人生が決まってしまうわけではないということを忘れてはいけません。

中学受験で第一志望に進学できる子は、受験生全体の約3割と言われています。その他大勢の子は第二志望、第三志望、第四志望校……の学校へ進学するわけです。しかし、多くの受験生が進学した学校で楽しく過ごします。

いっぽうで、親御さんが第一志望校にこだわるがために、ムリな受験をしてしまい、全落ちしてしまったり、一度も足を運んだことのない学校へ通うことになったりして、前向きになれないまま中学生活をスタートすることになるお子さんが一部見られます。

そうなってしまうと、つらいのはお子さんです。

ですから、これまでも何度もお伝えしていますが、受験校選びは幅広い視点を持つようにしましょう。

どんなに優秀で、ここまで順調に来た子でも、“絶対”がないのが受験です。

とくに、精神的にまだ幼い小学生の子どもが挑む中学受験は、当日何が起こるかわかりません。

高い目標に向かって頑張ること自体は尊いことですが、いろいろなケースを想定して受験校を選ぶことが、お子さんにとっても、ご家族にとっても、とても大切なことだと考えます。

納得のいく併願校選びがメンタルの安定につながる

1月の前受け受験はどこを受けるか。

2月1日の午前、午後はどこを受けるか。

2月1日の本命が不合格だった場合、2月2日以降はどうするか。

すべてが順調に進んだときはチェレンジ受験をするか。

あらゆるケースを想定して併願校を決め、必ず1つは合格を取るようにしましょう。

その際、どの学校へ行くことになっても「この学校に行けて良かったね」と言えるように、納得して選ぶことが大切です。

そうやって納得のいく併願校選びができていれば、たとえ今はまだ第一志望校に受かるかどうかギリギリの状態であったとしても、焦ることなく、「どうにかなる」と腹をくくることができます。

お正月はリラックスして過ごすことも必要

冬休みは入試直前の受験生にとっては、とても重要な時期ですが、新しい年を迎えるときでもあります。

お正月の元日くらいはのんびり過ごし、リラックスするのもアリかなと思います。塾の正月特訓に参加するということなら、終わった翌日でも構いません。

それくらいの心の余裕は持っておきたいものです。

なお、受験の神様に合格祈願をしにいくご家庭は少なくありませんが、有名な神社になればなるほど人が多く集まり、感染症のリスクが高まります。

初詣はご自宅から近い、あまり混んでいない神社をおすすめします。

冬休みが終わると、いよいよ埼玉県、千葉県をはじめに2023年度入試がスタートしますね。

受験生諸君の奮闘を期待しています!


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

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宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。YouTubeチャンネル「アテナチャンネル」を運営。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。