学習 連載 中学受験のツボ[国語編]

【小4国語/読解問題】読書をすると、読解問題が解けるようになる?|中学受験のツボ[国語編]

専門家・プロ
2023年1月15日 茂山起龍

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 国語編 松尾吉久先生、住岡大輔先生、茂山起龍先生が担当します。
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算数理科社会

こんにちは、應修会の茂山です。

読解問題が苦手な子をもつ保護者の方から、「うちの子、本を読まないから読解問題ができないんですよね」「まずは本を読ませないとダメですよね?」といったお話をよく聞きます。

読書は、読解力向上に優位に作用するのか
読解問題が苦手な子には、本を読ませたほうがいいのか

今回は、多くの方が疑問に思っているであろう「読書と読解」について、私の考えをお話します。

読書をしても、読解力がつくとは限らない

私は小学生時代、あまり本を読むタイプではありませんでした。学校の「図書」の授業くらいでしか、自分から本を手に取って読むことはなかったと思います。

しかし中学受験のときは、苦手だった算数や理科を引っ張れるくらい、国語が抜群に得意でした。その当時、国語だけは、渋幕や、女子学院に受かった女の子より得意だったと記憶しています(※)。

実際に教室で教えていると、当時の私のような「読書はほとんどしないけど国語は得意」といったタイプの生徒は多いんですよね。一方で読書が好きで、国語が得意な子ももちろんいます。本を読まなくて国語ができない子、本を読むけどできない子も同じくらいいます。

 

こうしたことからも、私自身、読書と読解については基本的には相関性を感じていません。理由はいろいろ考えられますが、「読書には“通読”が、読解には“精読”が求められるから」といったことが大きな理由として挙げられるでしょう。

※編集部注:渋幕(渋谷教育学園幕張)と女子学院の入試の国語は、文章のレベルが特に高いことで知られています

読書には「通読」が、読解には「精読」が求められる

本はどう読んでもいいですし、読んでどのように感じたとしても、それを「間違い」と咎(とが)められることもありません。読むスピードもさまざまでOKですし、飛ばし気味に読んだり、じっくり時間をかけたりしても問題ありません。

対して読解には精読が求められ、制限時間があることもあり、一定以上のスピードで読み進める必要があります。

つまり読書と読解は、そもそも別のものだということ。よって、ただ読書をしているからといって、読解問題が得意になるわけではないのです。

読書を読解問題に結びつけるのは、かなりハードルが高い

読書を読解問題に結びつけたい場合には、次の3点に気を配ることをおすすめします。

  • 読むスピードに「目標」を設定する
  • 読んだあとに、感想や、その本についてお子さんに紹介してもらう
  • できるなら親も一緒にその本を読み、内容について話し合う

このぐらいフィードバックができるのであれば、読解問題にいい影響を与えられるでしょう。

しかし、これはかなりハードルが高い作業です。本を読むたびにこれらの作業をするのは、なかなか骨が折れますよね。「これはもはや読書ではなくて、“国語の授業”の域に入るのでは?」と私も思います。

もちろん、こうした作業を楽しめるのであれば問題ありません。しかし勉強っぽさが出てしまい、前向きになれないのであればやめたほうがいいでしょう。

読書を“作業”にすると苦手意識が芽生える

ここまでお伝えしてきてお分かりかと思いますが、私は国語を得意にするために読書をさせることには反対です。

もちろん読書が好きで、結果として国語が得意になるのはいいことだと思います。ただしこのような子は、本を大量に読むことで一定のパターンや構成を読み取れているケースが多いのですが、小学生でそれができる子は多くなく、どうしても周囲のサポートが必要になります。

そしてそうした“作業”を、読書という範囲のなかでやらせることになると、将来、本がキラいな子になってしまうのではないか? とも思うのです。

そのため私は、読書を国語の手段とせず、純粋に楽しんだ先に国語があるのが理想と考えています。

 

ちなみに「図鑑や、ファンタジー系の本ばかり読むのは、国語が苦手になるからやめたほうがいい」という話もよくされますが、私は読書はあくまでも“趣味”の領域だと考えているので、図鑑やファンタジーが好きならそれらをたくさん読むべきだと思います。

知的好奇心の赴(おもく)くままに図鑑を読みあさる子、ファンタジーの世界をどっぷり感じられる子は、国語が得意な子とそこまで大差はありません。

まとめ

繰り返しにはなりますが、本を読んで、読解問題をなんとか得意にするのはおすすめできません。しっかりと解き方に沿って対策すれば、国語の成績はきっと上向きます。

本が大好きな子は、その思いをそのまま大事にしてほしいですし、本がキラいな子には、何かきっかけを与えて、素敵な本と出会えるようにしたいですね。そこに窮屈感が出てしまうようであれば、まずはテレビや映画、漫画といった媒体でもいいでしょう。

これから5年生へと上がり、国語の内容も難しくなるなかで「本を読ませないと……」と焦る保護者の方は増えていきますが、将来、お子さん自身が本と付き合えるようになるためにも、まずは子供と本との距離感を大切にしてほしいと思います。

※記事の内容は執筆時点のものです

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茂山起龍
この記事の著者
茂山起龍 専門家・プロ

中学受験指導塾「應修会」代表。自らも中学受験を経験。慶應義塾普通部に入学し、慶應義塾高校、慶應義塾大学へと進学。大学在学中から中学受験業界に足を踏み入れる。個別指導塾、家庭教師、大手進学塾で受験指導を行い、難関校から中堅校まで幅広く合格者を輩出。2011年2月、地元の西葛西に「應修会」を開校。5、6年生の4教科をレベル問わず指導する。受験生の親でもあるため、その苦労にも寄り添ったサポートをしている。