学習 連載 中学受験のツボ[国語編]

【小5国語/記述問題】読み取ったことを証明しよう|中学受験のツボ[国語編]

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2023年2月08日 茂山起龍

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 国語編 松尾吉久先生、住岡大輔先生、茂山起龍先生が担当します。
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算数理科社会

こんにちは、應修会の茂山です。

5年生になると、どの科目もやらなければならないことが増え、内容も難しくなった、と感じる子は少なくありません。

特に国語は読解問題の難易度が上がり、苦戦する子が多くなります。記述問題の数も、字数も多くなり、「何を書いたら、どのように書いたらいいのかわからない」といった状況に陥りがちです。

そこで今回は、記述問題の解答を書くときに意識しておきたい「読み取ったことを証明する」という視点についてお伝えします。

例題

次の文章を読んでみてください。

【問題文】

修一は自分の描いた絵を視界に収め、心の中でこれまでの苦労を自分で労わっていた。穂高の山は雄大に、天を支えるかのごとく、そびえたっている。自分で描いた絵なのだが、穂高の自然にどっぷりとつかるような没入感がある。この山肌を再現するのにどれだけの……

「コレハ、アナタ、カイタ?」

後方から投げかけられた聴き慣れない声によって、個展会場に引き戻された。振り返ると、紺碧(こんぺき)の眼のその中に自分が揺らいでいた。なんとも情けない顔をしている。見るからに異国からやってきたその麗しい女性は、修一をその眼に捉えながら、黒部の山々に吸い寄せられているかのように首と顔が前に突き出している。

「あ、はい。い、いえす。あの、ぼくが、かきました」

ゆっくりと言葉を選んだ。日本人であるはずの修一の母国語は、バタバタとその場で踊っていた。

「スゴイ。コレハ、ワタシハスキデス。Switzerland(注1)、ワタシノクニ、イッショ」

修一はドギマギしながらも、その小さな口から発せられる言葉に心躍った。個展を開いて三日。今までそれなりの人間が表現力豊かに絵を褒めてくれたが、そのどれよりも彼女の言葉は自分を躍らせた。

「さ、さ、さんきゅー。これは、ほだか。穂高岳という、やま。マウンテン。ぼくは、穂高が好き。穂高は空に飛び立つ船なんです……ってわからないか」

修一は自分の口から出た言葉が彼女を困惑させていると思い、彼女の顔を捉えたその時、その紺碧の両の眼には燦然(さんぜん)と輝く北アルプスの青空を泳ぐ大帆船が映っていた。やがてその彼女の姿がぼやけ、修一は自分が涙を眼にたくわえていることに気づいた。

注1:スイスのこと

(筆者作成)

【問】

修一は自分が涙を眼にたくわえていることに気づいた。とありますが、なぜ修一は泣いたのでしょうか。

解答例

この問題に対して、次のふたつの解答があったとしましょう。

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茂山起龍

茂山起龍

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中学受験指導塾「應修会」代表。自らも中学受験を経験。慶應義塾普通部に入学し、慶應義塾高校、慶應義塾大学へと進学。大学在学中から中学受験業界に足を踏み入れる。個別指導塾、家庭教師、大手進学塾で受験指導を行い、難関校から中堅校まで幅広く合格者を輩出。2011年2月、地元の西葛西に「應修会」を開校。5、6年生の4教科をレベル問わず指導する。受験生の親でもあるため、その苦労にも寄り添ったサポートをしている。