
国語の詩が苦手な子どもに保護者はどう教える? 韻文の表現技法や解釈を話し合う
中学受験生が国語で苦手としがちなのが詩です。また、子どもに詩を教えようとしても教えにくくて困ってしまう保護者も少なくありません。今回は、「詩が苦手」という子どもに保護者が何をどう教えればよいのかをお伝えします。
Contents
詩をしっかり勉強すべきかどうかを判断する
子どもが「詩が苦手」と言うと、保護者は「苦手を克服させないといけない」と焦ります。しかし、塾の授業の復習だけなら、そこまで詩に深入りしなくても大丈夫です。一方、筑駒や青学中等部などでは、詩を題材とした設問が出題されやすい傾向があります。保護者はまず、子どもの受験校に合わせて、詩をしっかり勉強すべきかどうかを判断しましょう。
詩が難しい理由を子どもと一緒に考える
詩は大人にとっても難しいものです。その難しい理由を一緒に考えてみましょう。
詩とはどのような文章か?
説明文や物語文、新聞記事など、普通の文章は「散文」ですが、詩は「韻文」です。韻文とは、一定のリズムがあって、暗唱するのに適した文章です。短歌や俳句も韻文の一種です。そもそも詩は散文と性質の異なる文章なので、散文と同じように理解しようとしない方がよいでしょう。
詩でよく使われる表現技法
詩の内容を理解できなくても、詩でよく使われる表現技法の問題は難しくありません。なぜなら、知っているかどうかを問われる知識問題だからです。まずは表現技法をしっかり覚えることから始めましょう。
詩でよく使われる表現技法は次の通りです。
- 比喩…ある物事を別の物事にたとえること。「太陽のような笑顔」
- 倒置法…言葉の順序を入れ替えて強調すること。「飛べ、大空へ」
- 反復法(リフレイン)…同じ言葉を繰り返すこと。「森の中を歩く歩く歩く」
- 体言止め…文を体言(名詞)で終わらせること。「この先にある希望」
- 対句…対照的な表現を並べること。「青い空に白い雲」
比喩はさらに次の3つを覚えましょう。
- 直喩(明喩)…「まるで~ようだ」などの言葉を使って、比喩であることをはっきりと示す比喩。「彼女は一輪の花のようだ」
- 隠喩(暗喩)…「まるで~ようだ」などの言葉を使わず、比喩であることをはっきりと示さない比喩。「彼女は一輪の花だ」
- 擬人法…人でないものを人にたとえる比喩。「木の葉が舞い踊る」
詩の内容について子どもと話し合う
詩の解釈は、子どもだけでなく、大人にとっても難しいものです。その難しさを共有するためにも、保護者は詩の内容について子どもと話し合うとよいでしょう。
まずは歌の歌詞を解釈する
塾のテキストなどに載っている詩は、子どもにとってハードルが高いことがあります。そのため、子どもの知っている歌の歌詞を解釈することから始めるのがおすすめです。歌詞も詩の一種です。
「赤とんぼ」は、作詞者の三木露風が自分の幼少期を思い出しながら作った歌詞です。保護者はこのことを子どもに伝えた上で、「赤とんぼ」に込められた露風の気持ちを一緒に解釈してみましょう。
まず、「止まっているよ」という現在形の表現から、露風は竿の先に止まっている赤とんぼを見ながら、幼少期に見た赤とんぼを懐かしく思い出していることがわかります。
次に、「まぼろし」という言葉から、姐や(ねえや)におぶってもらって赤とんぼを見たのは、まぼろしと思えるくらい幸せなひとときだったのでしょう。一方で、「十五で~たえはてた」は、姐やや故郷との縁が切れてしまったことに対する寂しさを表していると考えられます。
このように、詩(歌詞)を解釈する場合でも、書かれていることがヒントになることを子どもに理解させましょう。
問題となっている詩を一緒に解釈する
歌の歌詞は比較的わかりやすいものが多い一方、国語の問題となっている詩はわかりにくいことがほとんどです。わかりにくいからこそ問題になっているとも考えられます。
萩原朔太郎「竹」は高校現代文でも採用されてきた有名な詩です。保護者は子どもと一緒にこの詩を解釈してみましょう。
まず、表現技法の反復法に着目したいところです。「竹が生え」が何度も繰り返されます。この反復法にはどのような意味があるのかを考えましょう。
次に、第一連の地下と第二連の地上の対比に着目します。第一連では、竹の根が地下に広がっていく様子が描かれます。一方、第二連では、竹が青空に向かって勢いよく伸びていく様子が描かれます。竹の力強い成長を支えているのが繊細な根であることがわかるでしょう。
ここまでをふまえて、「竹」が人生のたとえであると解釈してみてはどうでしょうか。人間も竹のように勢いよく成長するためには、地面に広がる根のような基礎が大切です。このように「竹」を解釈すると、「竹が生え」の繰り返しは、人間の成長がいつまでも続くことを暗示している、と考えられます。
「竹」に限らず、難しい詩を保護者と子どもが一緒に話し合い、お互いの解釈を伝え合うことが、詩の勉強では効果的です。
詩は難しいけれどおもしろい
詩は日常的な言葉の使い方とは違うので、さまざまな解釈ができることが少なくありません。そこが難しさである一方でおもしろさでもあります。親子で詩を楽しめるようになれば、子どもの「詩が苦手」は解消されるはずです。
※記事の内容は執筆時点のものです
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