今、教育は未体験ゾーンに入っている|三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」(11)
前回までの連載では、「選びたい教育――中学受験を選択する意味」と題して、おもに中学受験をする積極的な意味について、同時に受験校を選択する際の視点にも触れました。
今回からは、激変する中学入試や学校教育について、学校側の視点で切り取っていきます。はなはだ微力ですが、教育に関して保護者の方や受験生の方にいくらかでもお役にたつ情報や参考になる視点をこのコラムで綴れたらと思います。
学校側の視点で、中学入試の背景をとらえる
本コラムでは、新たな段階に入った中学入試や大学入試について一緒に考えてみたいと思います。今、中学入試や大学入試は、全ての関係者にとって未体験ゾーン入っていると思います。なにしろ中学入試では帰国生入試ではなく一般入試で英語入試を実施する学校も出てきたわけですから。
そこで今回は、大きく変わってきた中学入試を学校の背景から書いてみます。特に学校の意図を理解されることは重要だと思います。なぜならば、どんな準備をすることが大事なのか、そのヒントになるからです。
学校の独自性がより発揮できる時代に
新学習指導要領の方向性が「新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえて」「主体的で対話的な深い学び(アクティブラーニング)の視点から学習過程を改善」していくとされています。その資質・能力とは何であるかは学校が考え、それを達成するためにアクティブラーニング(AL)を取り入れるとなっています。
これは学校にとっても大変なことです。何を学びの中心に置くかは学校ごとに異なってきますし、どのようなALをするかは学校の判断となります。これはとても大きな変化ですし、今後の日本の教育は大きく変わっていくと思います。
学校の独自性がこれまで以上に発揮できる時代になったと言えるでしょうし、特に私学にとっては大きなチャンスだと言えます。
逆に言えば、果敢に目指す教育を実施していく私学と、そうはいってもなかなか変われない私学の違いはとても大きなものになると思います。
学校選びの判断指標がより重要視される
受験生や保護者の方は自らの判断で学校を選択し、中学受験をし、入学されるわけですが、学校により教育内容が相当に違う時代になったとみることができます。パッシブラーニングが中心であった時代は偏差値や大学合格実績が判断指標とされたのは理解できます。しかし、これからはその学校がどんな教育するのかを宣言し、それを本気で実現しようとしているか、その体制が整っているかをみる時代になったと思います。このことは最初にお伝えしておきたいことです。
次回はこの流れの中で新しい入試の方向性を一緒に考えていきたいと思います。
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