学習 連載 中学受験のツボ[国語編]

【小6国語/実践】論説文の問題を解いてみよう(発展編)|中学受験のツボ[国語編]

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2023年12月19日 松尾吉久

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説
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算数理科社会

こんにちは、松尾です。

今回は6年生の子に向けて、難易度が高い「論説文の問題」を解いていく流れを、実際の問題を使いつつ解説します。

文章を読むコツも紹介しますので、参考にしてみてください。

論説文の問題

【本文】

 バリアフリーと聞くと、真っ先に車いすを思い浮かべるほど、車いすは話題になることが多い。それでは、車いすは椅子なのか車なのかと問われたら、どのように答えるだろうか。私自身答えを持たないまま長い間過ごしていたが、特に困ることもなかった。

 あるときヨーロッパを旅する機会があり、そこで木製の車いすを見て、それまでの疑問がすっかり解けた。その車いすは車輪はついているものの、その原型は食事の際に使うような椅子であり、車いすは、椅子の文化から生まれたものだと理解できた。

 車いすの歴史を椅子文化の発祥までさかのぼって調べてみると、案外古くから車いすの原型は登場する。

 1500年代にスペイン王フェリペ2世が車いすに近いものを利用していたという資料がある。その後も、木製の椅子や籐(ラタン)製の椅子に木や鉄の車輪がついたものがあちこちの資料に登場し、いくつかは現物が残っている。

 それまでの車いすは、椅子に車輪がついたというところから抜けきらないのだ。それまでを車いす第1世代と呼ぶなら、それを大きく打ち破る 2 車いす第二世代が、20世紀になってようやくアメリカから登場した。

 第1次世界大戦終戦の年、アメリカでも多くの傷痍軍人(しょういぐんじん/戦争で負傷して障碍者になった軍人)が生まれたのだろう、自分で歩けない人のために利用されてきた車いすに、一大革命が起こった。それは、金属パイプ製の折りたたみ式車いすだ。「エベレスト・アンド・ジェニングス」という会社が発明したもので、この車いすはアメリカはもちろんのこと、世界中で売れた。日本には、1960年ごろに紹介された。

 1945年型車いすはスチールのパイプでできており、折りたたみができ、それ以前のものと比較して軽いため、世界中に普及した。目的地の近くまでは車で移動し、その後車いすに乗り換ることで、歩けない人が目的の場所まで容易に移動できるようになった。

 さらに、1970年代に入って、車いすに乗ったままスポーツを楽しむ人があらわれるようになると、そのことに対応するために、車いすの技術が大きく飛躍した。これが第2次車いす革命と呼ばれるもので、車いすは介助する人のための用具だったものが、第2次車いす革命により、座る人自身の用具に変化した。

(筆者作成)

 

1、書き抜き問題

<問1>
傍線部1「それまでの疑問」とはどのような疑問か、本文から15字以内で書き抜きなさい。

 

問いを確認すると「“それ”までの疑問」とあるので、指示語“それ”が指す、なんらかの疑問を述べている部分を直前から探しましょう。

すると第1段落の2文目に「と問われたら」とあり、この直前が疑問を表していることがわかります。

<問1>の答え

車椅子は椅子なのか車なのか(13文字)

 

2、記述問題

<問2>
傍線部2「車いす第2世代」の便利な点を30字以内で答えなさい。

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松尾吉久

松尾吉久

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進学塾MIC代表。駿台池袋校、駿台シンガポール、LEC、MICなどの進学塾で20年間最難関クラスを担当指導。高校受験・中学受験で、開成、灘、首都圏早慶附属校に80名以上の合格者を出した実績を持つ。