学習 連載 中学受験のツボ[社会編]

【小5社会/日本の貿易】輸出入品や相手国はどのように変化した?|中学受験のツボ[社会編]

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2024年4月10日 井上佳之

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説
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国語算数理科

こんにちは、井上です。

輸入における「取引品目」や「相手国」のランキングは、毎年変動します。そのため6年生で受検する模試、あるいは入試直前期に明らかになる最新のデータには注意が必要です。

しかし、過去の「できごと・事件」によって、どのような「貿易の変化」が起きたか? については5年生でも理解し、覚えておく必要があります。

そこで今回は、中学入試に出題されやすい5つの項目に絞り、「できごと・事件」によって起きた「貿易の変化」を整理してお伝えします。

戦前と戦後の工業の変化

まずは、戦前(1930年代)と戦後(1940年代から1960年代)の工業の変化について。

資源に恵まれていない日本は、原材料を輸入して製品を輸出する「加工貿易」をおこなうことで、戦前・戦後にかけて国を発展させてきました。

■できごと・事件

【工業の中心】
<戦前> せんい工業 → <戦後> 重化学工業

■貿易の変化

【輸入品】
<戦前>せんい原料 → <戦後>石油・鉄鉱石

【輸出品】
<戦前>せんい品 → <戦後>機械・鉄鋼

 

戦後の高度経済成長期と石油危機

戦後の日本は、比較的安い労働力と、高い技術力を「重化学工業」に利用することで貿易上の利益を高め、世界2位の経済大国になりました(高度経済成長)。

ところが1973年の第4次中東戦争によって「石油危機」が起こり、原油の価格が高騰(こうとう)したことで高度経済成長は終わりをむかえます。

また、安い海外製品の“逆輸入”が増加したことで「加工貿易」が薄れていった結果、石油危機のあとは、輸入品・輸出品ともに製品の「機械類」が1位になりました。

■できごと・事件

【工業の中心】
石油危機前:石油化学工業・鉄鋼業(素材型産業)
石油危機後:機械工業(組立型産業)

■貿易の変化

【輸入品】
石油危機前……1位:石油 2位:機械類
石油危機後……1位:機械類 2位:石油

【輸出品】
石油危機前……1位:機械類 2位:鉄鋼
石油危機後……1位:機械類 2位:自動車

 

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井上佳之

井上佳之

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学習塾伸学会講師。中学受験講師歴は30年に及ぶ。教室や地域の責任者として受験指導、保護者説明会・面談対応、カリキュラム・教材の作成等に携わる。東京・神奈川・埼玉・千葉の御三家をはじめとする、ほぼ全ての難関校に生徒・保護者を送り出した経験をもつエキスパート講師。社会科は、これから大人になる生徒の生きる力にもなりうる科目であり、家族の会話を豊かにし、他科目の学習意欲にも火をつける魔法の力を秘めていると考えている。