【小5社会/地理】地方別分野の知識を整理するコツ ―― 地方ごとの地形と農業の特徴も|中学受験のツボ[社会編]
こんにちは、井上です。
5年生で学ぶ社会は、ゴールデンウイークの前と後で次のように分けられます。
ゴールデンウイーク前……産業分野の学習
ゴールデンウイーク後……地方別分野の学習
地方別分野では、各地方の産業についても一緒に学びます。
つまり、産業の学習で理解しきれなかった部分があっても、地方別分野の学習でリカバリーできるチャンスがあるのです。
ただし地方別分野に関しては、ひとつの地方に多くの事柄を当てはめて学ぶため、覚えるべき内容は毎週かなりの量になりがち……。
お子さんによっては、大事な知識を十分に覚えないまま1週間が経過してしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、地方別分野の膨大な情報を整理するコツを紹介します。
都道府県の位置と形をしっかり覚える
日本は8つの地方に分けられますが、テキストによっては情報量と内容に応じて2つの地方を1つに組み合わせていたり、西から順番に説明していたりとさまざまです。
そして、都道府県・都市・地形・農業・工業・交通・文化など、毎週盛りだくさんの内容を学習しますが、いずれにしても最初に覚えておきたいのは「都道府県の位置と形」です。
都道府県の位置と形は、情報を盛り込む“ロッカー(収納箱)”のようなもの。
そもそもどこに詰め込むべきかわからないと、情報の整理はうまく進みません。
お子さんは「覚えているから大丈夫!」と言うかもしれませんが、白地図やゲーム、カード、アプリなどを使って、都道府県の位置と形を確認してあげてください。
鼻歌交じりに言えるくらい完璧であれば褒めてあげましょう。どうやら怪しそうであれば、一緒に楽しみながら覚えてみてください。
地形と農業はセットで覚える
地形と農業(農林水産業)は結びつきが強いため、それぞれの知識をセットで押さえるのがおすすめです。
ここでは地方ごとに分けて、それぞれの地形と農業の特徴をお伝えします。
北海道地方
北海道地方は、中央部に石狩山地、中央から南に向かって日高山脈が伸びています。
農林水産業が盛んな北海道地方では、九州地方と同じく食料品工業が盛んです。
エリアごとに、以下のような特徴もあります。
1、石狩川沿いの上川盆地・石狩平野……稲作地帯
2、十勝川沿いの十勝平野……畑作地帯
3、根釧(こんせん)台地……酪農地帯
東北地方
東北地方は、背骨のように長く連なる奥羽山脈が中央にあり、日本海側には出羽(でわ)山地、太平洋側には北上(きたかみ)高地が並んでいます。
農業に関しては、大きくふたつのエリアに分けられます。
1、津軽平野・秋田平野・山形平野・仙台平野など
国産の50%以上を占める津軽平野のりんごの生産以外は、すべての平野で稲作が盛ん
2、山形盆地・福島盆地など
山形盆地は「おうとう(さくらんぼ)」、福島盆地は「もも」の生産が盛ん
東北地方の工業は、それほど盛んではありません。しかし古くから冬は雪に閉ざされてきたため、その長い冬を使って、地元の材料をもとにして多くの工芸品がつくられてきました。
これらの工芸品は、経済産業省によって「伝統工芸品」にも指定されています。
関東地方
関東地方は、越後山脈の西側に広がる関東山地によって中部地方と分けられています。
また、海に面しているエリアには関東平野と武蔵野(台地)が広がっています。
農業・工業の特徴をエリアごとに分けると、以下の通りです。
1、北部・西部の山間部
・浅間山のふもとにある嬬恋(つまごい)村では高原野菜が栽培されている
・海に面していない関東内陸工業地域では機械工業が盛ん
2、「1」以外の台地・平野部
千葉県や茨城県は近郊農業が盛んで、安くて新鮮な野菜を大都市圏に向けて生産している
3、南部の臨海部
・臨海部には、京浜工業地帯・京葉工業地域・鹿島臨海工業地域が広がっている
・日本一の貿易額を誇る成田国際空港をはじめ、東京港・横浜港・千葉港などの貿易港がある
・工業地帯・工業地帯で使用される原材料のほか、大消費地が隣接しているため衣料品や食料品の輸入も多い
中部地方
中部地方は9県と多いだけでなく、地形・産業などの情報量も特に多いエリアです。
情報が盛りだくさんのため、まずは県の位置や形を完璧に覚えてから、それぞれの知識を押さえましょう。
学習の際は、9つの県を4県・3県・2県に分けて「4・3・2」と覚えるのがおすすめです。
日本海に面している「北陸4県」
越後平野と富山平野は、稲作の単作地帯
内陸県の「中央高地3県」
・山に囲まれた長野盆地などでは果実の栽培が盛ん
・八ヶ岳のふもとの野辺山原(のべやまはら)では高原野菜が栽培されている
太平洋に面している「東海2県」
耕作地では思ったように農業用の水が得られないため、愛知用水・明治用水・豊川用水では灌漑*(かんがい)をしている
*河川や湖などから水を引き、田や畑へと人工的に給水・排水する仕組み
中部地方には、工業生産額日本一の中京工業地帯や、東海工業地域があり、それぞれ機械産業が特に盛んです。
なお、四日市市は近畿地方の三重県にある市ですが、中京工業地帯に含まれると考えられており、四大公害病のうち水俣病以外の3つ(四日市ぜんそく・イタイイタイ病・第二[新潟]水俣病)が発生した場所としても知られています。
近畿地方
近畿地方に関しては、丹波(たんば)高地と紀伊山地の2本のラインで分けるようにして、北から三分割して覚えましょう。
1、――
※ 1分割目には中学受験で押さえておきたい事柄がないため、ここでは空欄にしています
2、近江盆地(琵琶湖が有名)、奈良盆地、京都盆地などがあるエリア
3、山が多く、林業が盛んなエリア(吉野杉が有名)
奈良盆地
奈良盆地は、瀬戸内地方と同じように山に囲まれており、大きな川が少ないため、古くから農業用水用の「ため池」がつくられてきました。
現在、奈良県大和郡山(やもとこおりやま)市では、ため池を利用した漁業として「金魚(観賞用)の養殖」がおこなわれています。なんと、金魚すくいの世界大会も開かれています。
山地の特徴
近畿地方から九州地方までの山地(高地)には、以下のような特徴があります。
北側(筑紫山地・中国山地・丹波高地)……低くてなだらか
南側(九州山地・四国山地・紀伊山地)……高くて険しい
衛星写真で確認するとこれらの特徴がわかりやすいので、ネットなどで検索し、お子さんに見せてあげてください。
断面図の問題にも対応しやすくなりますよ。
内陸県
近畿地方には「内陸県(海と接していない県)」がふたつあります。
奈良県と滋賀県ですね。
お子さんが内陸県をすべて挙げられるか、ぜひ聞いてみてください。
ちなみに8つの内陸県(滋賀県・奈良県・岐阜県・長野県・山梨県・埼玉県・群馬県・栃木県)のほとんどは、お互いに県境を接しながらつながっています。
ところが奈良県だけは、京都府と三重県によって滋賀県ともさえぎられており、独りぼっちです。
中国・四国地方
中国・四国地方に関しては、中国山地と四国山地の2本のラインを境にして、北から三分割して押さえましょう。
また、中国・四国地方の気候の問題では「瀬戸内地方の降水量が年間を通じて少ない理由」がよく問われます。
日本各地の気候に関しても応用できる重要な理由(考え方)なので、夏と冬に分けて以下のキーワードを確認しておきましょう。
<夏>
・日本海流(黒潮)
・南東からの湿った暖かい季節風
・四国山地にさえぎられる
<冬>
・対馬海流
・北西からの湿った冷たい季節風
・中国山地にさえぎられる
年間を通じて降水量が少ない瀬戸内地方では、古くからため池をつくり、水不足を解消していました。
水田を使わない小麦が盛んに栽培されたこともあり、香川県の名産品でもある「讃岐うどん」がつくられるようになったんですね。
九州地方
北海道地方と同じく農林水産業が盛んな九州地方では、食料品工業が盛んです。
農林水産業の特徴に関しては、筑紫(つくし)山地と九州山地の2本のラインを境にして、北から三分割して覚えましょう。
1、筑紫平野 …… 稲作
2、宮崎平野 …… 畑作(※八代平野は、例外として稲作が盛ん)
3、シラス台地 …… 畜産
まとめ
地理の地方別の学習では、地形をもとに、その地域の産業を押さえることが大切です。
中部地方の産業や、関東地方で特に注目される都市問題をはじめ、地方別の学習はどうしても量が多くなってしまうことにも注意しましょう。
都市については、都道府県庁所在都市や百万都市、政令指定都市を押さえるだけでなく、産業別の学習で後回しにしていた「工業都市」についても押さえておいてくださいね。
それでは、また。
※記事の内容は執筆時点のものです
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