学習 連載 中学受験のツボ[算数編]

【小6算数/割合】歩幅・歩数の応用問題で身につけておきたい考え方|中学受験のツボ[算数編]

専門家・プロ
2024年8月24日 杉本啓太

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保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説
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国語理科社会

こんにちは。
株式会社ORA-Trio杉本です。

今回のテーマは「比と割合」。

歩幅・歩数に関する、やや応用的な問題について解説します。

 

以前の記事で、歩幅・歩数に関する問題について一度解説しましたね。

そのときは「歩幅・歩数から速さの比を求める」といった問題でした。今回は同様の考え方を使い、「A君がB君を追いかける」といった、実際の動きを伴う問題にチャレンジしていきます。

 

歩幅・歩数から速さの比を求めるだけでなく、旅人算に近い考え方も必要となってきます。

このような問題は、いま求めている数値が「距離」なのか「歩数」なのか「速さ」なのかわからなくなるなど、解いている途中で混乱してしまう子も多い印象です。

何の数値を求めているのかを丁寧に確認しながら進めていきましょう。

歩幅・歩数を使う応用問題

以下の例題を見てください。

例題

こむぎさんが4歩で進む距離を、いろはさんは3歩で進みます。また、こむぎさんが7歩進むあいだに、いろはさんは6歩進みます。

(1)こむぎさんといろはさんの進む速さの比は、何対何ですか
(2)こむぎさんが家を出発して80歩だけ進んだとき、いろはさんも家を出発してこむぎさんを追いかけました。いろはさんは、何歩だけ歩いたときに追いつくでしょう

 

問1

まずは(1)、こちらは以前の記事で紹介した解法の復習です。

 

「こむぎさんが4歩で進む距離を、いろはさんは3歩で進む」ということは、

こむぎの歩幅×4=いろはの歩幅×3 となります。

つまり、こむぎの歩幅:いろはの歩幅=3:4 となります。

 

また、「こむぎさんが7歩進むあいだに、いろはさんは6歩進む」という情報から、

こむぎの歩数:いろはの歩数=7:6 となります。

 

速さの比は「歩幅の比×歩数の比」で求めることができます。

ですから、速さの比は、

3×7:4×6=7:8 となります。

 

歩幅の比×歩数の比=速さの比」といった形で、速さの比を求める方法をしっかり理解しておきましょう。

 

問2

さて、次に(2)を解説します。

 

この問題のコツは、最初に「歩幅」を数値で設定してしまうことです。

今回は以下のように設定します。

こむぎさんの歩幅:3
いろはさんの歩幅:4

 

こうすると、こむぎさんが家を出発して先に進んでいた距離は、以下の式で求められます。

3×80歩=240

 

こむぎさんといろはさんの速さの比は7:8なので、いろはさんが家を出てから歩く距離はそれぞれ⑦、⑧と設定することができます。

そして、下のような図を描きます。

すると、⑦と⑧の差である①と、こむぎさんが先に進んでいた距離240が等しいことがわかります。

 

ここから、いろはさんが追いつくまでに進まなければいけない距離を求めることができます。

①=240、追いつくまでに進む距離は⑧なので、240×⑧=1920 となります。

そして、いろはさんの歩幅は4なので、追いつくまでの歩数は1920÷4=480歩 と求めることができます。

 

歩幅・歩数から速さの問題になり、再び歩幅・歩数の考え方に戻ってくる、というイメージです。

手順が複雑なので、一つひとつ丁寧に理解していきましょう。

まとめ

今回は、「歩幅・歩数」の考え方と、旅人算の考え方、ふたつを融合するタイプの問題について解説しました。

正直なところ、今回の問題は数値の設定や図が独特なため、初見で解ける子はそこまで多くないと思います。

大切なのは、今回の問題から「このような数値の設定方法がある」「このような図の描き方がある」としっかり覚えておくことです。

そうすると、今後似たような問題が出てきたときに「前に学んだ方法が使えるのでは」と思いつくための“引き出し”となります。

このような“引き出し”を増やしていくことで、初めて相対する問題にも対応できる柔軟性が身についていくでしょう。

それではまた!

※記事の内容は執筆時点のものです

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