「お調子者タイプ(手抜きキャラ)」の子の失敗&成功エピソード|本物の力を育てる「合格する子どもの伸ばし方」
お調子者タイプ(手抜きキャラ)の失敗エピソード
手抜きキャラの子がうまくいかない原因は、大きく分けて2つあります。
1、受験直前でも長時間集中できない
2、本人が納得していないまま、受験勉強で追い込まれる
1は、「やらなきゃいけない」と頭ではわかっているけれど、身体がついていかないという状態です。
こうならないためには、長時間継続して勉強するクセをつける必要があります。長時間の授業を受けた経験が多い子は、1になりにくくなります。
2は、受験直前でも、「なんでやらなきゃいけないんだ!」と反発してしまうという状態です。
私が運営する塾でも、おかあさんが息子に対して、「ちゃんと勉強しないなら受験なんてやめなさい!」と6年生の秋になって怒鳴りつけたことがありました。すると、彼はその場では泣きながら謝罪。塾でも、「気持ちを入れ替えてがんばって!」と叱咤激励しました。でも、翌日塾に来なかったのです。
聞けば、受験をしない小学校の友達と遊んでいたとのこと。受験に向かう気持ちが切れてしまったのでしょう。
結局、残り3カ月というところで、彼は中学受験をしないことになりました。
受験直前になって、突然怒っても難しいということですね。その子なりにがんばっていることをもう少し考えて、声をかけるべきだったと、こちらも反省しています。
手抜きキャラの子は、親からよく小言を言われがちです。ですから、「残り3カ月になったら、誰からも文句を言われないように必死にやろう」と、前もって子どもに伝えておいたほうがいいのです。
お調子者タイプ(手抜きキャラ、感情的キャラ)とのんびりタイプは、親がしっかり関わり、それぞれのやる気が続くように、うまく導く必要があります。
また、ずっと放っておくと、気づいたら全然勉強していない、宿題をしていない、ということになりやすいので、なんとか「やる気のスイッチ」を見つけてあげなければいけません。イヤイヤやらせても、伸びにくいからです。
「有名だから」「ほかの子も行っているから」という理由で、勉強の場を選ばないほうがいいでしょう。
「授業がおもしろいから、この先生がいい」「尊敬できるから、この先生に習いたい」という、本人の「好き」に合わせたほうが、伸びやすくなります。
お調子者タイプ(手抜きキャラ)の成功エピソード
家では宿題をしなかったり、丁寧に取り組まなかったり、集中力があまりなかったり……。こんなタイプの子に、毎年かならず出会います。お調子者で、叱られればちゃんと反省するものの、繰り返す――。よく「ほめて伸ばすといい」と言われますが、このお調子者タイプには、あてはまらないことのほうが多いのです。
私の塾にも、そんな子がいました。宿題はそれなりにやってきますが、取り組むのをめんどうくさがって、答えだけ書いてきたりするのです。高学年になってくると、宿題をサボる技術も身につけていきました。
「やったけど、持ってくるのを忘れてしまった」といいわけすることも……。「では授業が終わったら、一度家に戻って持ってきなさい」とこちらが言うと、「遅いから親がダメだと言います」と、さらなるいいわけ。「では親に電話してもいいかな?」と問いかけると、「……すみません。本当はやっていません」と白状。
このタイプの場合、自主的にがんばるのをじっと待っていても、そのときは来ないので、親の関わりが不可欠です。保護者面談でも、親御さんから、こんなぼやきをよく耳にします。
「まったくやっていないわけではないけど、これでは受験自体無理だと思うんです……」
「自分でやろうという気持ちが感じられないのがはがゆいんです……」
「個別指導もつけたほうがいいでしょうか……?」
気持ちはよくわかるのですが、このタイプは、集団のなかでやる気を維持できるので、個別指導になると、「助けてもらえる」と思ってさらに手を抜いてしまうかもしれません。そうす ると、中学受験は乗り切れても、そのあとが心配です。受験が終わっても、人生は続いていくからです。
私は「個別指導は必要ないので、自習室に週に2回通うようにしましょう。そのかわり週に1日はまったく勉強しなくていい日を作りましょう」と提案しました。
手抜きキャラの彼は「週に1日やらなくていい」という提案に大喜び。ときには隣の子に話しかけて注意されることもありましたが、物理的に机に向かう時間を増やした分、勉強量も確保でき 「週に1日やらなくていい」という手抜きタイプにとっての「飴」も合っていたようで、うまくやる気が持続したのです。
このタイプの場合、早めからガツガツ勉強させても、やる気が続きません。むしろ、塾をサボることを覚え、さらに手を抜くようになってしまうことも……。
ですから、途中までは適度に勉強に取り組むぐらいにして、受験半年前からスパートをかけはじめました。6年秋からは、「勉強なしは月1日」にして、必死に勉強に集中してもらいました。
手抜きキャラの子は、目標が遠ければ遠いほどやる気が途切れてしまうのですが、半年前ぐらいになると、ゴールがイメージしやすい分、がんばれます。3カ月前になったら、さらにギアをあげていきます。それでも親からすると、「まだ漫画を読んだりしているんですよ。この時期なのに!」と心配な様子。私はこんなふうに返しました。
「ようやく、ちょうどいい段階にきました。親御さんが『もう少しだけがんばってくれればいいのに』というぐらいの状態がベストです。親の期待どおりに勉強していたら、それは本人が焦ったり追い込まれている証拠ですから、うまくいきません」
結果、彼は慶應中等部など、難関校にすべて合格できました。
まわりにはまじめな子もいて、「そろそろ自分もやらないとまずい」と思える環境だったのも、最後まで食らいつけた要因だったと思います。
子どものタイプは、次のページからチェックできます。
イラスト hashigo(silas consulting)
※記事の内容は執筆時点のものです
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