連載 三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」

学校改革はさまざま|三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」(14)

専門家・プロ
2018年4月09日 大橋清貫

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前回は「もう戻ることがない流れのなかで学校は新しい教育にチャレンジしている」そんな内容でした。同時にそれは「学校によって大きく異なる」とも述べました。今回はなぜ学校ごとに対応に違いが出るのかに触れたいと思います。

学校という組織の特徴

学校では企業でいう管理職的な立場にあるのは学長、校長、教頭など数えるほどしかいません。よく学校組織は鍋蓋や文鎮にたとえられます。それはフラットな組織であることを伝えるために使われているようです。

つまり校長等を除けば全員が同じ、新卒の教師も大ベテランの教師も同じ教師、生徒から見れば同じ先生という立場です。とてもシンプルです。

別の視点でいえば教師はとても自主独立性の高い立場です。カリキュラムやシラバスの縛りはもちろんありますが、授業内容は教師の自由です。それは決して悪いことではなく、教師が創意工夫を凝らした授業をすることを可能にしている背景だと言えます。

実際、優秀な先生は独特の授業をされる方が多いと思います。そしてその授業に自信と誇りをお持ちです。

つまり学校はトップの号令直下で一斉に舵を切るトップダウン型の組織とは大きく異なります。どれだけリーダーシップのある学校トップでもそれはできません。それが学校という組織の特徴です。

それでも学校は改革を志向する

学長や校長を対象としたセミナーはたくさんあります。内容は学校改革が多いと聞きます。私自身も時々講演させて頂いていますが、先生方の最大の関心事は学校改革の必要性の話ではなく、学校改革を「どう行うべきか」だと言えます。

もちろんアクティブ・ラーニング等の教授法やその評価法、2020大学入試改革の内容やその準備も気になるところだと思います。

しかし、加速する教育界の新しい動きの中で、生徒保護者に支持される学校にならなければという思いは多くの学長や校長のなかで日増しに強くなっていると思います。

新しい時代に求められている教育も学校によりさまざま

学校説明会に参加すると「学力だけでなく21世紀社会、グローバル社会での活躍をするための教育」の必要性の話が多いのではないかと思います。

全くその通りなのですが、その為にどんな教育をしているかは、学校により内容も程度も違います。

それはなぜかということは、もうおわかりだと思います。「言うは易く行うは……」ということです。学校には独自の校風も伝統もあります。先生方お一人お一人に崇高な教育の考えがあります。学長や校長がいくらその気になっても、びくともしないこともあります。

それでも一歩一歩進めている学校も少なくありません。ですから新しい時代に求められている教育も学校によりさまざまとなっています。それが現実です。

そのあたりの判断は実際に学校に足を運んでご判断いただきたいと思います。もちろん受験情報誌も評論家の先生のお話も参考になります。なかには現場に足を運んでの取材をされているメディアにはその豊富な情報と分析に驚かされることもあります。

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※記事の内容は執筆時点のものです

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