連載 三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」

中学高校の教育の現状とは|三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」(5)

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2016年6月08日 大橋清貫

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※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです。

これまでの第1回から第4回までのコラムの概要は次のようなものです。それは「中学受験には積極的な理由が必要であること。大学付属校でもいわゆる進学校でもそこにどのような学びがあるかを知ったうえで選択してほしい。それは激変する世界で活躍できる能力の条件が大きく変化していることに起因する」というものでした。

今回は、中学高校の現在の教育はどのようになっているのかを考えていきましょう。もちろん知っている範囲は限定されますので、語れるのは一部だけのことです。それでも何かのヒントになればと願っています。

小学生中学生の保護者世代が受けてきた教育と現在の中高の教育は基本的には同じです。教科書内容を中心に担当教師が丁寧に説明していきます。先生の使命感は教科書内容を生徒にしっかりと理解してもらうことです。そこには先生独自の長年のノウハウや技が盛り込まれ、生徒を引き付ける授業が展開されていきます。

この間、生徒の意識はとにかく理解すること、憶えることが中心となります。先生がアンダーラインを引いて、あるいはこれはよく出ると指摘すれば、ここは重要だという意識は高まります。物事を効率よく学ぶ学習法として優れていると言えます。既習事項については理解力と復習する姿勢があれば、知識の定着が図られていきます。

少々持って回った言い方ですが、既習事項に強いことは大切です。優秀な生徒の条件と言ってもよいと思います。短時間で正解を導き出す力は、試験で抜群の力を発揮します。とりわけ一発勝負型の入学試験では、正答率がものを言います。大学入験で結果を求められる中、各校ともこの傾向が強い気がします。既習事項にめっぽう強い生徒は試験で結果を出す力があります。

しかし、その後に実社会に出た時に必要とされる能力は既習事項に強いだけでは厳しい気がします。すでにやり方が確立していること、どこかでしっかりと実績があることなどは比較的やりやすいことです。既習学習型にめっぽう強い学生の本領発揮ができる分野です。ただ、世界はかつてないほど変化していると思います。なにしろ物凄いスピードで。今まで存在しなかった仕事や新しい分野が次々と登場してきています。既知の知識だけでは十分といえないようになってきています。そこで必要とされるのは未知の分野に果敢に挑み、解決していく力だと思います。

実は学校の世界も同じです。今、目の前で繰り広げられている学校教育の新しい課題に各校は懸命に答えを探しています。従来のやり方ではこの課題に対応が難しいと言えます。

さりとてどんな教育がその答えなのか。解答にたどり着いた時に、実行が可能なのか。そのためには何か必要なのか。この視点で学校の情報を探していくと、何かが見えてくると思うのです。

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■三田国際学園学園長 大橋清貫の「選びたい教育」バックナンバー

※記事の内容は執筆時点のものです

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